トンレサップEMSB-U32 2005年1月調査渡航(抜粋)
2005年1月15日〜1月24日

2005年1月15日(土):関西空港→バンコク→シェムリアプ

 関西空港を離陸.日本上空は雲が多く大気もかすんでいる.


 赤外線に切り替えると四国のさまざまな地形が見えてきた.

 南シナ海を横切って大陸の上空へ入ってもやはり雲は多かった.雲の間からメコン河やコラート高原の一部が見えただけ.

 バンコクからシェムリアプまではすべて雲の中,そして雲の上.夜は打合せをかねてシェムリアプ市内のカフェへ.

2005年1月16日(日):シェムリアプ

 ホテルで許可書を受け取りそのままトンレサップ湖へ.湖岸はかなり沖へ移動している.湖畔の船着場にはハングル文字が描かれたバスがひしめく.


 船を借り上げて湖へ向かう.蛇行する水路をしばらく走ったところで湖が見えてきた.遠くに見える観測タワーへ向かうつもりが風と波のため途中であきらめる.

 南側の湖岸に船をつける.荒木が植生の観察を行う.サガリバナの森がほとんど陸化しているそうだ.

 湖畔を眺めながら北へ移動し,別の水路をとおって船着場へ戻った.

 例の祠のあるあたりがすっかり陸化している.船着場近くの水上公民館では結婚披露宴の真っ最中だった.

 プノンクロムの麓,そして市内からプノンクロムへ向かう道路の左右.いずれにも水はほとんど残っていない.

 昼食後は巡検案内の下見のため遺跡地域へ.まずタプローム寺院.

 続いてスピエントマー.シェムリアプ川の水位は先月とほぼ同じくらい.水勢はやや弱い.水の濁りも少ないようだ.

 最後にアンコールワットへ.環壕の水に赤潮はみあたらないが,枯れかかった水生植物が岸に打ち寄せられていた.「集団枯死」というらしい.

 南北の聖池には十分に水があった.北側聖池の水面は植物でびっしりと被われている.

 午後遅くとあって参道は観光客であふれている.しかし,人気のないところはとても静か.
 夕食後はピースインツアーの新年会へ.

2005年1月17日(月):シェムリアプ

 午前中はアプサラの事務所で調査の打合せ.そしてバンコクから到着した大八木を迎えてボレイアンコールホテルに全員でチェックイン.プールサイドでひとときの休息.


 お昼過ぎにシェムリアプ空港で巡検参加者を迎え,ホテルにちょっと立ち寄ってすぐに湖へ.昨日より波が低かったためタワーへたどり着くことができた.オレンジ色のブイが見あたらないのに気づく.

 夕食はバイヨンUレストランでクメール舞踊をながめながら.舞台に近づく荒木.そして最後には舞台上へ・・・.


2005年1月18日(火):シェムリアプ

 朝から遺跡地域で巡検案内.まずタプローム寺院から.


 続いてスピエントマーへ移動する.

 午前中の最後はアンコールトムのバイヨンへ.

 昼食後にアンコールワットへ.環壕に打ち寄せられた水生植物を地元住民が取り払っていた.

 ひさしぶりに中央祠堂へ上る.
 巡検参加者を空港まで見送って市内へ戻る.夕食は国外研究者たちとの打合せを兼ねてレッドピアノで.

2005年1月19日(水):シェムリアプ

 トンレサップ湖北部の横断観測の日.湖況を懸念しながら船を進める.


 波はあったがどうにか沖へ出ることができた.まずタワーへ向かう.

 係留してあったブイがなくなっていた.測器の状態はこれらの写真のとおり.

 測器を元に戻し,それから大八木が水質を測って湖水を採集する.

 湖をまず南へ横断した.船酔いで荒木がマーライオン状態になりかかる.南西岸から観測開始.

 9番目の測点付近で対岸が見えてきた.荒木が息を吹き返す.

 船を岸に沿って走らせ植生や陸地の状態を荒木に観察してもらう.いくらかの漁船を見かける.

 船着場へ戻ってきたのは出港してからぴったり8時間後だった.

 夕方のせいか観光客を乗せた船がやたらと多い.

 市内へ戻る途中のシェムリアプ川で大八木が水を採集する.

2005年1月20日(木):シェムリアプ→プノンペン→コンポンチュナン

 早朝便でプノンペンへ.大気のもやのため地表はほとんど見えない.赤外線に切り替えるとプノンクロムやシェムリアプ市のようすが見えてきた.


 湖の北東岸を通過してしばらくすると南西岸が見えてきた.

 チュノックトゥルー付近も見えてくる.コンポンチュナン付近の山塊も視界に入ってきた.

 トンレサップ川ではダイ漁の位置がよくわかった.

 メコン河上空を通過したところで飛行機はUターン.トンレサップ川を飛び越えてプノンペン空港に到着.

 ダイヤモンドホテルに荷物をあずけ,資源局の事務所で打合せをすませてからコンポンチュナンへ車で移動.昼食後,リシセンホテルへチェックインし,ホテル前の船着場で船を借り上げてトンレサップ川の横断観測を開始した.水位が下がったせいか川岸が高く感じられる.

 川岸には水鳥の姿がやたらと多い.

 トンレサップ川の本流と支流とで横断観測をそれぞれ実施する.川岸にはホテイアオイがうち上げられかかっている.

 プラホックの季節のせいか,多量の塩を積み込んだ船をひんぱんに見かける.

 帰りにダイ漁の網へ立ち寄った.先月に比べて漁獲高がとても少ない.

 水位が下がったため船着場付近では川岸の堤防直下の河床が広く露出していた.

 夕食は市内のメコンレストランで.

2005年1月21日(金):コンポンチュナン→チュノック・トゥルー→コンポンチュナン→プノンペン

 早朝,車でチュノックトゥルーへ向かう.バリボーからの道はほこりっぽかった.学校前には人家がまるで見あたらない.


 学校から数100m離れたところに船着場は移動していた.そこから湖へは狭い水路が通じている.

 さっそく船を借り上げて湖へ向かう.先月よりやや沖合に水上集落は移動していた.

 水上集落の先もやはり水路になっていた.

 漁をする小舟がとても多い.遠くに観測タワーが見えてきた.周囲はほぼ陸化している.

 ブイも測器も無事だった.大八木が測器の場所をやや深いほうへと移動させる.

 荒木がタワーに上って周囲の地形を画像に収める.左の写真が今回撮影したもの.そして右の写真は先月のもの.


 タワーを離れて湖へ向かった.刺し網や芝漁の芝束があちこちに仕掛けられている.

 湖南部を南から北へと向かって横断観測の開始.波が高い.

 コンポントム沖で横断観測が終了.すぐに船着場へ引き返した.途中の三角州地帯でも水鳥を数多く見かけた.

 タワーの近くをとおって船着場へ戻る.

 すっかり陸化した学校前の道路をとおって国道へ.

 コンポンチュナンでの昼食後,立派に舗装された国道5号線を走ってプノンペンへ戻った.
 ダイヤモンドホテルにチェックイン.

2005年1月22日(土):プノンペン

 午前中のうちにメコン河とトンレサップ川との合流点での横断観測を実施した.ここにも漁をする小舟がやたらと多い.


 メコン河からバサック川へと流れ込む小水路沖から北に向かって測線を設定し,まず北側へ移動した.

 そして観測を開始する.メコン河の青く澄んだ水(左)がトンレサップ川の茶色く濁った水(右)へと不規則な境界(中)で変化する.

 群れ集う小舟の隙間を縫うような観測だった.約3時間半で観測終了.
 午後はオフ.

2005年1月23日(日):プノンペン→バンコク

 午前便でプノンペンを出発する.同市内を見下ろしながら西へ.


 もやの多い大気のため地表はあまり見えなかったが,赤外線でトンレサップ湖の輪郭は確認することができた.

 タイの上空へ入る.田畑がきれいに区画化されている.

 そしてバンコクのドンムアン空港に到着.
 バンコクでは地元研究者との打合せを予定していたが,先月のスマトラ津波のため打合会はすべて中止.市内の書店で文献調査などをして過ごす.

2004年11月7日(日):バンコク→関西空港→金沢

 大気はやはりかすんでいた.赤外線で地表地形を眺めてすごす.


 離陸後約1時間でメコン河の上空にさしかかる.

 メコン河左岸の地形はわりとよく見ることができた.

 ダナン付近で南シナ海上空へ.

 約3時間後に台湾上空を通過.高山の山頂付近には雪が積もっている.

 日本上空は雲に覆われていた.その隙間から四国の山岳地帯を見ることができた.

 蛇行する河川沿いの小さな田畑が日本らしい.

 四国を横切って関西空港に到着.

  • Camera: Sony Handycam DCR-PC120 and Pentax Optio S4
  • Lens: Carl Ziess Vario-Sonnar 4.2-42mm f.1.8* and SMC Pentax Zoom 5.8-17.4mm f.2.6-4.8