日本列島の誕生
2002年度前期期末試験課題

問1:3つのプレ−トが接する点,すなわち3つのプレ−ト境界が交わる点のことを「プレ−ト3重会合点」とよぶ.このような3重会合点は単なる理論上のものではなく,日本列島の東方や,南アメリカ大陸の西方などに現実のものとして存在する.そして,これら3重会合点の時間的変化についての考察は,ある地域の地質構造発達史を解明する上できわめて重要なものといえる.  では,3つのプレ−トが解答用紙の4つの図のように接する場合,ある一定時間後に3重会合点の位置がどのように変化するか,あるいは変化しないかを考察せよ.それぞれの解答にあたっては,3重会合点の位置が変わらない場合には「不動」と,変化する場合には移動方向を「矢印」で,それぞれ解答用紙の4つの図に記入し,そう考えられる根拠をそれぞれの図の下に述べよ.なお,二本線で示すプレ−ト境界は拡大(発散)境界を,▲▲▲で示すプレ−ト境界は沈み込み(収束)境界で三角形の頂点が向いている方向にプレ−トが沈み込んでいることをそれぞれ表している.またプレ−トB,C上の矢印の向きおよび長さは,プレ−トAに対するプレ−トB,Cの相対的運動方向および速度をそれぞれ示す.(1問あたり15点,計60点)


問2:房総半島から静岡県にかけてのプレ−ト境界をおおまかに図に示す.本州が位置するユーラシアプレートの下にフィリピン海プレ−トが沈み込んでおり,フィリピン海プレ−トは現在はほぼ北西方向へと移動しているが,今から約350万年前にはほぼ北へと移動していたことが推定されている.また,静岡県御前崎地方ならびに房総半島地方にはかつての付加体と考えられる地質体,あるいは下位の付加体の動きを反映したと考えられる地質体がそれぞれ分布している.では両プレ−トの境界となるプレ−ト境界(駿河トラフ〜相鴨トラフ)に過去から今に至るまで変わらず堆積物が均等に供給されたと仮定し,かつ太平洋プレートの影響が両地域ともに無視できると考え,そして伊豆半島の存在を無視できるとしたとき,以下の2つについて考察せよ.(1問あたり20点,計40点)
  1. 静岡県および房総半島ともに地面の隆起現象や傾動現象の発生が現在観測されている.このような隆起や傾動現象とは,約350万年前以前と以降とではそれぞれどのようなものと考えられるか?また約350万年前にどのように変わったものと推定されるか?論述せよ.
  2. 静岡県御前崎地方ならびに房総半島地方にそれぞれ分布する,「かつての付加体と考えられる地質体」や「付加体の動きを反映すると考えられる地質体」には,どのような地質構造がどのような方向に現在発達すると考えられるか?またそれらは約350万年前以前と以降とではどのように区別されると推定されるか?両者をあわせその原因とともに論述せよ.