日本列島の誕生
2004年度後期期末試験課題

 以下の設問から各自が必要とする数を選んで解答せよ.解答にあたっては別解答用紙を使用し,解答した問題の番号を明記すること.なお,講義で取得した点数(毎回のレポート+課題レポート)と本試験の合計点数をもって最終成績評価の基準(59点以下:不可,60〜69点:C,70〜79点:B,80〜89点:A,90点以上:S)とする.なお,以下の諸問題の採点にあたっては部分点も考慮する予定である.

問1.我が国の地質学会で,四万十帯は長い期間にわたって「謎の地層」と呼ばれてきた.解明が遅れてしまった理由について,四万十帯の地層としての特徴を記述し,そのような特徴がどうして解明の遅れにつながったのかを地質学の一般的解析手法などを考慮しながら説明せよ.(15点)

問2.四万十帯にはさまざまな種類の岩石が認められる.それらの岩石について,四万十帯を構成する主要な岩石と副次的な岩石を列挙し,それらが海洋プレ−ト上のどのようなところで形成されるかについてそれぞれ述べよ.そして,これらの岩石の存在を総括して考えることで,どのような四万十帯の形成過程が浮かび上がってくるかを略述せよ.(15点)

問3:四万十帯で発見されるもっとも古い岩石は今から約1億2千万年前のものであり,もっとも新しい岩石は約2千万年前のものである(資料9の図7参照).このように四万十帯を構成する地層の年代の幅は約1億年である.一方,秩父帯のもっとも古い岩石は約3億5千万年前のものであり,もっとも新しいものは約1億2千万年前のものである(同).すなわち,秩父帯の岩石が示す年代幅は約2億3千万年にも及ぶ.このように四万十帯と秩父帯とで形成にかかった時間に大きな違いがある理由はふたつ考えられる.それぞれどのような考えか記述せよ.(20点)

問4.四万十帯を特徴づける「メランジュ」という堆積物は,その原意「かきまぜる(フランス語)」が示すように,さまざまな堆積物や岩石が入り混じった「混在堆積物」をもともとは意味する.では,このような混在堆積物は現在の地球表面のどのようなところで形成されると考えられるか.付加体以外での具体的な場所とその理由とを述べよ.(15点)

問5.金沢市ならびにその周辺地域に分布する地層は,そのほとんどが水深200m以浅の浅海から陸上にかけて形成されたものである.一方,房総半島や静岡県掛川地域(御前崎付近),そして宮崎県日南海岸にも,ほぼ同じ時代の地層が分布するが,これらのほとんどは深海底で堆積したものである.このように日本海側(金沢)と太平洋側(房総半島など)とで地層が形成される場所に大きな違いが生じるのはどのような理由によるものか.記述せよ.(20点)

問6.加賀平野および能登半島の2地域おいて,影響が大きい震源域(地震発生場所)について,日本列島誕生の過程を交えて説明せよ.(15点:高原利幸氏提供)