英国諸島の地史
1997年度前期期末試験問題

 イングランド北西部の湖水地方(Lake District)は,なだらかな丘陵と静かな湖沼とが織りなす美しい風景で,また童話「ピーター・ラビット」の舞台として有名な地方である.その一方で,比較的狭い地域にもかかわらず,湖水地方には古生代前期から中生代にかけて形成された地層や貫入岩体が複雑に分布し,これに加えて最終氷期(氷河時代)の氷河による浸食地形の発達も著しく,英国諸島の地史を考えるうえできわめて重要な地域ともいえる.すなわち,湖水地方の美しい風景は,数億年間にわたるさまざまな地質学的諸現象の結果ということもできよう.

 このような湖水地方の地史学的重要性を十分に理解したうえで,同地方に分布するさまざまな時代の地層の岩相,分布,堆積構造,産出化石,そして地質構造などにもとづき,まず同地方の地史を代表する4つの時代を選び出しなさい.そして,それぞれの時代についてその当時の推定風景(下図参照:縮尺や俯瞰角度などは任意),ならびにその説明を解答用紙にそれぞれ記入しなさい.

 なお,ここでいう地質時代は,”紀”を基本単位とする.しかし,必要に応じてさらに細分(たとえば,The Coal MeasuresやThe Rhaetian Ageなど)してもかまわない.