火山と噴火災害

(1996年度後期開講)

(共同担当者:酒寄淳史教育学部助教授)


課題レポート その1

 歴史時代から現在にかけて,世界各地あるいは国内で発生した火山噴火ならびにその噴火に伴って発生した噴火災害をひとつ選び,噴火災害を引き起こした噴火の推移(噴火の開始あるいは前兆現象から噴火の終焉にいたるまで)ならびにその期間の付近の人々の対応について,これまでの講義内容を踏まえ論述せよ.さらに,そのとき諸君がその場に居合わせたとしたら,生き延びるためにどのような行動をとったと想像するかについても記せ.このような噴火災害を題材とした文献(専門書・小説・科学図書)などは数多く出版されているので,参考文献としてこれらからひとつ以上を選ぶこと.ただし,今回の雲仙普賢岳の噴火は,あまりにも資料が多すぎるため本レポートの対象からは除く.

 本レポート作成にあたっては,右側頁を参考のうえ,以下の点にも留意すること.

  1. 本紙を表紙として使用し,B5またはA4のレポート用紙に横書きすること.また,提出にあたっては,レポートがばらばらにならないように,用紙の左側もしくは上側をホッチキスでとめること.
  2. 鉛筆は使用しない.必ず,ボールペンなどの消えにくい筆記具を用いること.
  3. 枚数は問わない.内容さえ要求を満たしていれば簡潔に書かれたものを歓迎する.
  4. 必ずレポート末に参考(引用)文献を示すこと.
  5. 健闘を祈る.

提出期限:平成8年12月27日午後5時

提出場所:総合教育棟北棟6階667号塚脇研究室前

本レポート作成の手引き (こんなふうに書いたらいいよ,という例)

  1. まずはレポート題目:「島原大変肥後迷惑:そのとき侍はどうしたか?」,「エトナ火山の××年噴火とローマ帝国」,「ポンペイで逃げおおせた人たち:その後」,「熔岩に水をかけ続けた男」など,なるべく読者(酒寄・塚脇)にとって魅力的な表題にする(ただし,内容もそれに伴っていることが要求される).
  2. つぎに執筆者(諸君)の氏名(所属):○田×子(金沢大学××学部××学科××課程×年).血液型などよけいなことは書かない.
  3. そしてレポート本文に入る まずは,”はじめに”を書く.ここには,本レポートで表題に述べた題材を選んだ理由や,それに興味を持ったいきさつなどを,簡潔かつ明瞭に記す.
  4. つぎに,文献から得られた情報について記載的に書く.たとえば,この章題を”××火山××年噴火”というふうに付け,さらに章の中を「噴火の推移(前兆現象から終焉まで)」,「人々の動向:噴火初期」,「人々の動向:噴火末期」というように分け,自分の考えなどはいっさい交えず,ひたすら文献から読みとれる事実について,必要に応じて章をさらに分けながら記述する.ここで文献引用をする場合には,引用前あるいは後に「酒寄・塚脇(1996)は,・・・・と述べた」,あるいは「・・・・・・と報告されている(金子,1994)」というように,引用元をそのつど明記すること.
  5. そして,自分の”考察”に入る.ここでは,前章での記載にもとづきながら,そのときの噴火はどのようなものであったろう,とか人々がこのような行動をとったのはこれが原因だろう,そして自分がそこに居合わせたら,本講義で得た知識のおかげでこうやって生き延びただろう(あるいは,知っていてすぐに居直っただろう)など,自分の考えなどを十二分に交えながら,また必要に応じて章を細分しながら考察を進める.なお,「講義をよく聞いていなかったから,すぐに死ぬだろう」というのは認めない.
  6. それからまとめる.まとめでは,これまでに書いてきたことを簡潔にまとめ,本レポートによって自分が得たことについて述べる.さらに,必要と考えれば今後の検討課題や本レポートの発展性についても触れておく.
  7. 本レポートを書くにあたってお世話になった方々(もしいれば)に”謝辞”を述べておく(たとえば,「金沢大学×学部××氏には,・・・についてノートを見せていただいた」など.この場合,”誰”に”どういう点”で”どう世話になった”か,をそれぞれ明記する).
  8. 最後に,本レポートを執筆するにあたって参考とした資料を”参考文献”として以下の例にならって書いておく(上:書籍の場合,中:論文の場合,下:講義資料を用いる場合). 金子史朗,1994,世界の大災害.中公文庫.(ただし本書は絶版) 藤岡換太郎・塚脇真二,1991,火山フロントの火砕物質のゆくえ −伊豆・小笠原弧北端部と房総半島南部間の相鴨トラフでの付加−.火山第2集,第36巻, 51-59頁.(ただし,本論文は講義とは無関係) 酒寄淳史・塚脇真二,1996,金沢大学平成8年度後期教養的科目「火山と噴火災害」講義資料3,図3.

課題レポート その2

 本年度後期の期末定期試験も終わり,諸君らはさわやかな気分でデートを楽しんでいる.そして,以下に述べる状況にあって以下の現象の発生を目撃したとする.それでは,そのとき諸君らはどのような自然災害(噴火災害に限らない)の発生を予測し,2人が(あるいは自分だけ,または相手だけ)が生き延びるためにどのような回避行動をとるか?また,その回避行動をとった場合,2人が(あるいは自分だけ,または相手だけ)が生存する確率はそれぞれ何%くらいと見積もるか? これまでの講義などを参考にし,以下から3つ以上選んで記述せよ.なお,本レポート執筆にあたっては,別記事項に注意すること.

  1. 薩摩半島末端の池田湖のほとりにやってきた.夕暮れの湖畔に車をとめてさあこれからというとき.突然,大きな衝撃を感じるとともに車が横転した.そして,逆さになった窓ごしに湖面から水蒸気が高々と噴き上がるのが見えた.
  2. 阿蘇南郷谷にある垂玉温泉に向かって車を走らせていた.車がカルデラ内へと入り,国道57号線から325号線に移ったあたりで,ふいに大きく突き上げられるような衝撃を感じた.そして,阿蘇中岳のほうから多量の火山灰が空高く噴き上がり,はるか上空でその噴煙柱の先端がゆっくり崩壊し始めるのが見えた.
  3. 鶴来町を流れる手取川河原でのキャンプ中.朝からしとしとと降り続く糠雨のため,テントの中で夕食の支度をしていた.突然の地響きと轟音とに急いで外に出てみたら,白山山頂があるあたりの雲が赤々と染まり,天空には稲妻が炸裂していた.そして,しばらくすると赤々と燃える熔岩が雲下の山腹をゆっくりと流下し始めた.
  4. 山梨県にある河口湖のほとりをのんびりと散策していた.ふいにカタカタと小さな微動をからだに感じ,それが終わって約30秒後にユッサユッサとひとりでは立っていられないほど大きな揺れが襲ってきた.
  5. 伊豆大島にある波浮港の堤防を歩いているとき.ふいに大きな地鳴りが始まったかと思ったら,北に見える三原山の山腹が大きく裂けた.そして,明るい陽射しの中で真っ黒に見えはしたが,明らかに熔岩とわかるものが,そこからゆっくりと溢れだし始めた.
  6. 四国西端の佐多岬半島でラジオを聴きながらのドライブ中.突然,「ズルい女」が臨時ニュースに変わった.そして,アナウンサーが緊迫した声で,「30分前に阿蘇山付近で5度目の巨大噴火が発生し,九州全域からの連絡が途絶えた」ことを告げた.

注 意 事 項

  1. 本課題用紙左側頁を切り取って表紙として使用し,B5またはA4のレポート用紙に横書きすること.また,表紙には,選んだ番号を○で囲っておくこと.
  2. レポートの提出にあたっては,レポートがばらばらにならないように,用紙の左側もしくは上側を必ずホチキスなどでとめること.
  3. 鉛筆は使用しない.必ず,ボールペンなどの消えにくい筆記具を用いること.
  4. ひとつの問題(状況)について,かならず1枚以上のレポート用紙を用いること(ひとつひとつを別の用紙に書くこと).ただし,内容さえ要求を満たしていれば簡潔に書かれたものを歓迎する.
  5. 必要であれば以下の例にならって,参考(引用)文献を示すこと.
  6. 問題にあらわれる地域やそのあたりの地形などについては,手近な地図類(高等地図帳や道路マップなど)で必ず確認すること. 参考文献の書き方(例) (上:書籍の場合,中:論文の場合,下:講義資料を用いる場合). 金子史朗,1994,世界の大災害.中公文庫.(ただし本書は絶版) 藤岡換太郎・塚脇真二,1991,火山フロントの火砕物質のゆくえ −伊豆・小笠原弧北端部と房総半島南部間の相鴨トラフでの付加−.火山第2集,第36巻, 51-59頁.(ただし,本論文は講義とは無関係) 酒寄淳史・塚脇真二,1996,金沢大学平成8年度後期教養的科目「火山と噴火災害」講義資料3,図3.

提出期限:平成8年12月27日午後5時

提出場所:総合教育棟北棟6階667号塚脇研究室前


課題レポート その3

火山噴火や地震,津波など,自然災害の脅威に常に脅かされる国々では,ハザード・マップ(Hazard Maps:自然災害における被災地域・状況等予測地図)を作成し,それにもとづいてこれらの自然災害からの回避あるいは災害の軽減を計る試みがなされている.

 それでは,石川県にとってもっとも馴染み深い火山であり,かつ歴史時代の噴火記録の残る白山について,以下の1〜4に述べるような噴火活動を想定したとしたら,どの程度の範囲が噴火災害を被ることとなるだろうか.本講義や一般書籍などを参考とし,それぞれの想定噴火活動におけるハザード・マップを別添地図に作成せよ.さらに,それぞれの図の下欄には,そのように想定した理由や追記すべき事項などを書き添えること.

 なお,ごく短時間(瞬時〜当日中)のうちに壊滅的打撃を被る地域を赤,緊急に住民の避難が必要となる地域(迅速に避難さえすれば人的被害のみは防げる地域)については黄またはピンクに着色すること.海域については無視してかまわない.複合噴火災害(複数の噴火災害が重なって発生すること)の可能性のある場合,ならびに被災地域の可能性が複数あってかつそれらが重複しない場合には,それぞれの被災地域が明瞭に区別できるようにし(たとえば,それぞれの被災予測地域にそれぞれ適切な記号や模様を付ける),考えうるすべての可能性について作図すること.なお,疫病の蔓延や社会的パニックの発生など,2次的災害の発生は考慮する必要はない.

想定噴火活動

  1. 4月初旬.うぐいす平(御前峰の東北東約4km)より安山岩質の熔岩流が流出する.噴火終了までに流出すると予測される熔岩の量は約0.8km3である.
  2. 2月初旬.白山最高峰の御前峰と大汝峰との間に熔岩ドームが形成され,小規模火砕流発生の危険性が高まる.発生した場合,噴火終了までに噴出すると予測される火山砕屑物(火山灰・岩滓・軽石など)の量は約0.1km3である.
  3. 9月下旬.白山直下より火山性の地震が検出される.その解析の結果,熔岩流出の可能性は低いが,山体崩壊の危険性ありとなる.なお,白山大汝峰付近を通る断層の方向は北西−南東方向である.また,山体が崩壊する可能性があるのは,標高2,000m以上と仮定する. 想定噴火活動4:8月中旬.白山付近より大規模火砕流が噴出.噴火終了までに噴出すると予測される火山砕屑物(火山灰・軽石など)の量は約100km3.

 なお,本レポート作成にあたっては,以下の点に留意すること.

  1. 本紙を表紙として使用する.提出にあたっては,すべての用紙の左肩もしくは上側をホッチキスまたは糊でとめること.はずれる危険性のある固定器具(クリップなど)は使わない.
  2. 配布した用紙の下欄のみでは足りないときは,A4のレポート用紙を追加し,それに記載してもかまわない.
  3. 記述には鉛筆は使用しない.必ずボールペンなどの消せない筆記具を用いること.また,地図への着色にあたっては,必ず指定の色を用いること.
  4. 本レポートの提出締切は平成9年2月17日(月)午後5時.場所は総合教育棟北棟6階塚脇研究室前とする.なお,本レポートの返却等を希望する受講生は本年3月10日以降に来室されたい.