海の地質学
(2002年度後期開講)

課題レポート その1

 海面の高さ(海水準)は地球の歴史をとおして絶え間なく変化してきた.たとえば約2万年前の最終氷期最盛期の海水準は現在よりも100m以上も低かったと推定されている.また現在では,人間活動にともなう地球の温暖化により両極の氷河が融解し,それにともなっての海面の上昇が懸念されてもいる.それでは世界中の人間がいっせいに海に入ったとしたら,海面はどのくらい上昇するだろうか? レポート執筆にあたっての注意事項に留意のうえ海面が上昇する量(高さ)を求めよ.

  1. 世界の人口,海洋の総面積,海洋の平均水深,人間の体積など,海面上昇量算出にあたって必要な数値は各自で調べること.また,それぞれの出典,その出版年およびデータの調査年をそれぞれ明記すること(例:○×辞典××〜××頁,1994年出版,○○出版社,1987年度調査資料).
  2. 世界にはさまざまな人種が存在し,平均的な個体の大きさ等は人種ごとに異なる.また,幼児から成体まで同じ人種であっても年齢によってその体積は異なる.これらをどう平均化したか,あるいはこれらをどう考慮したか,などの根拠も明示すること.
  3. 全員が肩まで海に入るものとする(頭までは入らない).
  4. 求める値はm(メートル)単位で有効数字2桁で示すこと.
  5. 閉鎖性の高い海域(日本海や地中海など)は汎世界的海面変動に対して敏感には反応しない.しかし,計算の煩雑さをさけるためこれらの海域も他海域と同様の反応を示すものとする.
  6. 海水準の上下に関連して海水面の面積も変化する.しかし,計算の煩雑さをさけるため海面が上下した場合の海面の面積は現海水面面積から変化しないものとする.
  7. レポートには必ず表紙を付け表紙と本文とはステープラーなどで留めて提出すること.また,鉛筆など簡単に消せる筆記用具は用いない.必ずボールペンや万年筆などの筆記用具を使用するかワードプロセッサで印字すること.
  8. 上記の諸条件を満たしていないレポートは受理しない.

提出:平成14年10月31日(木)の講義前


課題レポート その2

 氷期には寒冷化によって氾世界的に海水準(海面)が低下する.これは海から蒸発した水分(H2O)が,雨や雪となって陸地に降り注ぐとき,そこで氷河となって固定されるためである.このように氷期には海水準が低下によって海洋の一部である陸棚の一部が陸化してしまうため,縁海と大洋との連絡や海流の流路といった海洋環境が大きく変化する.そして,海洋環境の変化にともなって気候や植生などの陸上環境も大きく変化する. このような海水準低下期の最近の例として,海水準が現在よりも約100〜200m低下したとされる最終氷期最盛期(LGM:約1万8千年前)があげられる.そこで,LGMの世界地図をまず作成し,その地図にもとづいてLGMのときの海洋環境ならびに陸上環境がどのようなものであったか,また現在とはどの程度異なっていたかを推定のうえ論述せよ.なお,本課題レポートの執筆にあたっては下記注意事項に留意すること.

  1. 約2万年前と現在とでは大陸の分布や世界の大地形に大きな変化は考えられない.そこで適切な世界地図にもとづいて配布する別用紙にLGMの世界地図を作成すること.作図にあたってはランベルト正積円筒図法,メルカトル図法,ミラー図法,正距円筒図法など,地図が長方形になる図法を用い,図法に応じた緯線を正確に記入すること.
  2. LGMの海水準変動量は現在よりも100m低下していたものとする.使用する地図に100mの等深線がないばあいには,200mの等深線と現在の海岸線との中間をもって100mの等深線とすること.
  3. 作成したLGMの地図には,代表的な暖流ならびに寒流の推定される流路についても記入すること.大陸氷河の分布は可能ならば記入する.
  4. 作成した地図にもとづいて推測したLGM当時の海洋環境ならびに陸上環境については別用紙(A4またはB5)に記入し,配布用紙とホチキスでとめて提出すること.なお,推測とは単なる想像ではない.作成した地図ならびに参考図書などの資料にもとづいた推測であることが要求される.
  5. 地図およびレポートともに鉛筆などの筆記具は用いない.必ず消えない筆記具を用いること.ただし,暖流や寒流などを色鉛筆で示すときにはこの限りではない.
  6. レポートの作成(地図を含む)にあたり参考とした書籍などがあるときは,レポート末に著者名,発行年,書籍名,発行所(出版社名),発行地を必ず記入する.

提出:平成14年1月16日の講義前