英国諸島の地史(Geological History of the British
Isles)
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−2007年度(平成19年度)前期開講:資料−
開 講:木曜日2時限,講義室:E10講義室(定員:154名)
講 義 の 概 要
地球表層部の過去の変遷を扱う学問として地史学がある.そして,地史を解釈する素材として岩石・鉱物・化石やこれらを含めた地質構造などがあげられる.したがって,地史学は地学の一分野であるが,地学諸分野の総合のうえに成立つといってもよい.英国諸島は,18世紀以来の近代地質学発達の古典的地域であり,ここを発祥の地として数多くの地質学的基本概念や用語が提唱された.たとえば,”化石による地層同定”の経験則は英国の地質をもとに確立されたものであるし,カンブリア紀・オルドビス紀そしてデボン紀と,古生代前期を代表する時代名はいずれも英国諸島の地名や民族名に由来する.日本列島が活発な地学現象の中から誕生したのに対し,英国諸島は約6億年前から現在にいたるまで比較的静穏な環境のもとに構築されてきた.そのため同諸島は地史学の基礎を学ぶには絶好の材料を提供してくれる.そこで本講義では,担当教官が在英中に収集した資料などにもとづき,約6億年前から現在にいたるまでの英国諸島の地史を,地層の形成環境や生物相の変遷などを中心に論じる.
講 義 計 画 (予 定)
- 4月12日:@ガイダンス ※履修届受付
- 19日:A地質学の基本用語(地質学とは,地質年代,岩石の種類,化石,プレート・テクトニクス)
- 26日:B最古の岩石(先カンブリア代・・・海面の上昇と下降)
- 5月 3日:祝日
- 10日:C古生代1(カンブリア紀・・・生物の爆発的な発展)
- 17日:国際会議出席のため休講(予定)
- 24日:D古生代2(オルドビス紀・・・火山活動)
- 31日:E古生代3(シルル紀・・・砂漠化)
- 6月 7日:F地殻変動1(カレドニア造山運動・・・山脈の形成)
- 14日:G古生代4(デボン紀・・・乾いた大地と浅い海)
- 21日:H古生代5(石炭紀・・・大森林の形成)
- 28日:I地殻変動2(ヘルシニア造山運動:ペルム紀,三畳紀・・・再び砂漠化)
- 7月 5日:国際会議出席のため休講(予定)
- 12日:J中生代(ラティアン,ジュラ紀,白亜紀・・・静かな時代)
- 19日:K新生代(第三紀・・・哺乳類の発展)
- 26日:L新生代(第四紀・・・氷河時代)
- 8月 2日:M期末定期試験
参 考 書
- Ager, D. V., 1975,
Introducing Geology. Faber Paperbacks, London, 256p.
- Ager, D. V., 1980,
The Geology of Europe. McGraw-Hill, London, 535p.
- Anderson, J. G. C.,
1978, The structure of Western Europe. Pergamon Press, Oxford, 250p.
- Anderson, R., Bridges,
P. H., Leeder, M. R. and Sellwood, B. W., 1979, A Dynamic Stratigraphy of
the British Isles - a Study in Crustal Evolution. George Allen and Unwin,
Herts, 301p.
- 浅野 清ほか,1967,地史学(上下巻).朝倉書店,東京,683p.(各¥4,500)
- Debelmas, J.,
1974, Geologie du la France, vol. 1 and 2. Doin, Paris, 544p. Institute of
Geological Sciences, 1955-1983, British Regional Geology. Institute of Geological
Sciences, London.
- 都城秋穂編,1979,岩波講座地球科学16「世界の地質」,岩波書店,東京,431p. (¥3,800)
- 杉村 新・中村保夫・井田喜明,1988,図説地球科学.岩波書店,東京,266p. (¥3,600)
- A. ウェーゲナー(都城・紫藤訳),1981,大陸と海洋の起源.岩波文庫,244p. and 249p. (¥350:上,¥400:下).