石川県辰口町巡検(担当:前田崇志)
2000年10月28日(土)

 M2の前田崇志の調査地,辰口町地域での地質巡検.午前8時半に辰口丘陵公園駐車場に集合しすぐに出発.露頭1:加賀産業道路沿いの「和気の岩」.巨大な流紋岩の岩体がある.手すりやトイレが完備された観光地になっている.


 明瞭な流理構造が観察される.黄白色の細粒凝灰岩?が挟在する.節理かもしれない.

 露頭2:「和気の岩」付近の大きな露頭.弱固結の円礫岩・泥岩・砂岩が成層する.赤褐色や暗紫色の粘土層は古土壌だろう.陸成層にも海成層にもみえる.

 灰色泥岩中には巣穴状生痕が認められる.陰地が二枚貝の印象化石を発見し,これを冨井が追認した.この層準は海成層に間違いない.

露頭3:同じく和気の岩付近.ここには緑色凝灰岩が露出していた.角礫化した部分がまるで生痕化石のようにみえる.

露頭4:辰口付近の民家横の露頭.弱固結の含礫泥岩や砂岩が成層する.泥岩にはおびただしい量の植物遺骸が層をなしている.

露頭5:同じく辰口付近.加賀産業道路沿いの木工場裏.最下位に暗灰色〜暗紫色の泥岩,その上位に中〜粗粒砂岩,そして最上位に褐色の泥岩がある.

 泥岩は粘土といってもよいほどに粘性が高い.多量の植物破片が層をなし,層理面は不規則に波打っている.一方,上位の中〜粗粒砂岩には多量の黒色粒子が含まれていた.炭化した植物破片だろうか.不明瞭ながらも成層し,一部には平行葉理や斜交葉理らしいものが観察される.

 最上位の褐色〜白色泥岩.不明瞭に成層している.ここで冨井が2度転倒した.

露頭6:和光台の宅地造成現場.赤褐色から桃白色の泥岩・砂岩・細礫岩が不規則に互層し,液状化痕らしい内部構造が観察される.

露頭7:辰口町東部の和佐谷神社の裏手.小規模な沢に沿って緑色凝灰岩がところどころに露出する.白色凝灰岩といってもよいほどに細粒・緻密で硬い.

昼食:辰口町南東縁部にある蟹淵の山頂駐車場.小松市方向が一望される.

 山頂展望台からは金沢市方面も一望される.手前に手取川扇状地,その向こうに松任市や鶴来町が見える.遠くに金沢市街地や河北潟が見えたのには驚いた.

露頭8:山頂駐車場付近の露頭.緻密な白色凝灰岩がある.緑色凝灰岩の一部だろうが岩相がかなり異なる.細かい節理の発達が著しい.

 山頂へ至る林道に沿って緑色凝灰岩の好露頭が連続する.典型的な岩相もあれば,細粒白色凝灰岩と呼べる部分もある.ただ,少なくとも3方向に発達する節理群のためいずれの場所でも層理がわからない.

 地層は60〜70度ほど傾斜しているようにみえる.ここを登っていく途中で前田の愛車が底をこすった.どうやらマフラーが凹んだようだ.異音が聞こえるようになった.

 破砕帯とも思える角礫を含む粘土層があった.ただし,よく円磨された凝灰岩礫も含まれている.小松市北部でみたものの延長だろうか?

露頭9:辰口町舘の造成工事?現場の露頭.固結度のかなり高い細粒の凝灰岩や砂岩が成層する.緑色凝灰岩よりは上位の地層だろう.そのすぐとなりにはスランプ構造を呈する部分がある.

 露頭のスランプ構造部分.古斜面の傾斜方向はわからないものの,明らかな海底地辷りの跡と判断される.

 表層地辷り層準の上位には青緑白色の細粒凝灰岩や泥岩,砂岩などが成層する.

露頭10:この日最後の露頭.北陸先端大学近くの宮竹付近.中〜粗粒砂岩や含礫砂岩,礫岩などが雑然と成層する.「てんてん」だろうか.

 巡検を終えてサンパークのミスタードーナッツでミーティング.泥だらけの4人の姿が明るい店内で異彩をはなっていた.ベージュ色の雨合羽姿の陰地の姿も異様だし,冨井と前田が頭に巻いた白いタオルも目立つ.通りすがりの買い物客たちが不信な視線をくれる.まさか,この翌々日にこの店に強盗が入るとは思わなかった・・・.

  • Camera: Fuji HD-P
  • Lens: Fujinon 38mm f.2.8
  • Film: Fujicolour Super 400 and Pro 400
  • Scanner: Epson FS-1200WINS