金沢市北部地代地域巡検(担当:樽見哲史)
2000年12月7日

 いつものコンビニで弁当を買って樽見のフィ−ルドへ向かう.今回の巡検地は地代町付近の通称「タヌキ沢」.昼食を終えてから最短ルートで沢に下ることになった.しかし,沢の傾斜がきついうえに植生も深い.途中に粗粒の厚層凝灰岩がある.


 沢の途中にはいくつもの滝があった.これを飛び降りたり這い降りたりあるいは迂回したりとくたびれるルートだ.この滝では貴重な足場となる木を冨井が蹴り折ってしまった.前田はすでに足場を切り始めている.このあたりには青灰色の砂質泥岩が露出していた.

 途中で前田が致命的な滑落をしかかるもなんとか全員無事に沢底へたどりつく.このあたりにタヌキの白骨死体があった.

 V字型に削りこまれた沢に沿って青灰色の泥岩あるいは砂質泥岩が連続して露出する.イベントコースとしてもおもしろい沢だ.

 地層はほとんど水平のようだ.ところどころに石灰質ノジュールが層をなしている.

 青灰色砂質泥岩には一面に生痕化石が発達しているが,未発達部分には斜交層理が観察される.

 巣穴痕らしい生痕が発達する転石があった.巻貝の印象化石が入った砂質泥岩の転石も見つかった.

 イベントコースを抜けたあたりに粗粒凝灰岩が露出していた.下位の青灰色砂質泥岩とは明瞭な境界で接する.しかし,滑落してきた大転石の可能性もある.

 この露頭写真を撮ろうとしたときに,目の前に立っていた樽見が足を滑らせた.ころぶまいと振り回された手がレンズの前をよぎっていく・・・・.

 砂質泥岩には層厚30cmほどの青白色細粒凝灰岩も挟在している.上涌波地域の釣部凝灰岩の一枚と似た岩相だ.

 さらに沢をつめてゆくと砂防ダムがあった.沢の左岸にも厚い粗粒凝灰岩が露出している.その最上部には泥質凝灰岩と白色細粒凝灰岩との細互層(いわゆる「パキ」)があり,その直下にはコンボルート層理の発達も認められる.上涌波凝灰岩に間違いなさそうだ.

 砂防ダムを越えてルートは続く.

 次に植生の深い斜面を登る.

 尾根近くに達したあたりにも青灰色砂質泥岩の露頭があった.露頭の上位に向かって徐々に粗粒化し,最上部では青灰色の細粒砂岩となる.このあたりが大桑層中部に相当するのだろうか.そのさらに上位には黄褐色の塊状細粒砂岩の露頭があった.樽見のいう「ポクポク砂」.これが大桑層上部だとすると,この地域では同層中部がきわめて薄いことになる.

 車に戻ったときにはもう日が沈みかけていた.

 研究室へ戻って一服.タバコを手にした前田の貴重な写真.

  • Camera: Konica 現場監督WB28
  • Lens: Konica Lens 28mm f.4
  • Film: Fujicolour Super 400
  • Scanner: Epson FS-1200WINS