金沢市南部相合谷地域(緑色凝灰岩,大桑層?)
2002年10月5日(土):担当 陰地章仁

 昨夜の雷雨がうそのような好天になり,2週間近くも延期になっていた陰地章仁のフィ−ルドにようやくでかけることができた.地学実験でおなじみの上辰巳の橋を渡り,その奥となる相合谷近くに車をとめてそこから林道沿いに歩いていった.


 林道が杉林の中をのびていく.緑色凝灰岩の分布地帯だけあって小松や辰口のフィ−ルドを思い出させる光景だ.道路沿いには段丘礫層のようなものがときおり露出していた.

 林道の途中から沢に入った.階段状になったところをちょっと登るとすぐに最初の露頭があった.淡緑灰色の堅い凝灰岩だ.

 露頭にはほぼ南北方向にのびる節理がいくつか見つかる.凝灰岩には粗粒砂や火山岩の細礫がかなり含まれている.

 沢の上流に向かうにつれてだんだんと粗粒になるようだ.そう思ったとたんに細粒で緻密な灰白色凝灰岩があった.礫を含む淡緑灰色凝灰岩とこの灰白色凝灰岩との関係はわからない.

 標高にして50メートルほど登ったところで沢がゆるやかになった.地表を削り込んだ沢の側面には未固結の円礫層が露出している.円礫自体は段丘起源だろうがこの地層自体は崖錐だろう.

 沢がふたたび急になるとともに緑色凝灰岩がまた露出するようになる.おもに灰白色の緻密な凝灰岩だが,粗粒砂を含むものもときおり見うけられる.

 緻密な凝灰岩のなかには層理とも節理とも判別のつかない構造がある.

 沢がおわり尾根が見えてきたところにわりと大きな露頭があった.緑色凝灰岩との関係は不明ながらも露頭のいちばん下にはうっすらと層理のみえる黄褐色の中粒砂岩がある.ごくわずかに東側に傾斜しているようだ.大桑層なのか,卯辰山層なのか,それとも上部砂礫層になるのか判断のつきかねる岩相だ.

 中粒砂岩の上位にはよく円磨された中礫からなる層がある.礫の淘汰は良好といっていいだろう.

 その上位には白色泥岩があり,そのさらに上位には泥岩と砂岩とが不規則に互層している.

 砂岩は中粒から粗粒といったところ.下位の泥岩中にコンボルート層理となって落ち込んでいる.泥岩と砂岩との境界面はきわめてはっきりとしている.

 露頭を見終わって登ってきた沢を引き返した.その途中に奇妙な形の白いキノコ?があった.

 林道へ降りたって車へと歩いていくと,その途中に大桑層上部らしい弱固結の細粒砂岩が露出していた.この露頭と尾根付近で見てきた露頭との関係はもちろんわからない.
 

  • Camera: Casio G.Bros GV-10 and Konica 現場監督WB
  • Lens: Casio Lens 4.6mm f.2.8 and Konica Lens 35mm f.2.8
  • Film: Fujicolour Super 400