2002年度卒業論文研究発表会
|
||
2003年2月21日(金),工学部土木建設工学科B棟講義室 その1:星野恵一「石川県金沢市北東縁部地代〜琴坂地域の地質」 |
||
|
||
もっとも北のフィ−ルドを担当した星野恵一の発表が始まった.昼休み直後とあって審査する教官の出足がやや悪い.時間を気にするように星野が腕時計に目を落とす.司会をするのは水工講座の齋藤武久さん.どぎもを抜くような質問をいつもくださる方だ.卒業論文を齋藤さんに手渡して発表が始まった. | ||
|
||
調査地域の位置を伝え,それからこの地域のもつ地質学的な意味を説明する.それに続いて金沢市地域一円にかかる地質学の研究史をていねいに説明していく. | ||
|
||
両手に握りしめた原稿から星野は片時も目を離さない.レーザーポインタを使って図を示すときも手首だけを器用に返している.やや緊張してもいるようだ.「大桑層は中部,上部,そして下部から・・・・」と順番がばらばらになっていた. | ||
|
||
調査地域の地形,調査したルートの位置,そしておおまかな層序,と話は順調に進んでいく.原稿は両手でしっかりと握りしめたままだ. | ||
|
||
岩相を説明するときになってようやくゆとりがうまれたようだった.原稿からときおり片手を離してポインタを操作するようになった.お気に入りの海綿動物「Makiyama chitanii」の説明も見事にきまる.ただ,スクリーンから垂れ下がった地質図はやや示しにくいようだった. | ||
|
||
最後に地質構造の話になった.ここでは原稿を赤い画用紙に持ち替えて向斜構造の位置や方向性などを説明する. | ||
|
||
そして時間ほぼちょうどで発表がおわった.緊張したおももちで質問を待ち受ける.星野の後日談によれば「いっぱいに開いていた心の窓がこの瞬間に閉まった」という. | ||
|
||
最初の質問は高原利幸さんからだった.大桑層の上部や中部の不均一な分布についての問いかけに笑顔で的確に答える. | ||
|
||
続いて高山さんから調査の精度についての質問があった.思いがけない質問にやや硬い表情ながらも落ち着いて答える. | ||
|
||
そして高原さんからふたたび質問がよせられた.「地質図や断面図が調査者によって異なるのはなぜだろう?」という現場での経験にもとづくきびしいもの.言葉に一瞬つまった星野だったが,笑顔と開き直りともとれる回答で応えていた.そして発表時間終了のベルが鳴る.深々とお辞儀をし安堵の表情を浮かべて戻ってきた. | ||
|
||