金沢市南部野田山地域(新人歓迎巡検?)
2003年4月12日(土)

 理学部地球学科の野外調査実習の日にあわせ,今年から研究室にやってきた新人研究者たちとともに散歩がてらの巡検にでかけた.ときおり小雨が降ってくるあいにくの天気だ.角間キャンパスを陰地とともに出発し途中でひとりずつ拾い上げて野田山に到着.平栗橋へと下る途中に車を止め,そこからいったん尾根まで道路を引き返し,それから改めて下りながら露頭をひとつずつ見ていった.標高がもっとも高いところに露出する礫岩をまず観察する.円磨良好ながらも淘汰不良の中〜大礫で構成されている.おそらく段丘礫層だろう.


 歩いているうちに雨がときおり激しく降るようになってきた.遠くの尾根もかすんで見える.振り返ると傘を差して実習をうける地球学科の学生たちの姿があった.

 道路をやや下ると礫層の下位に大桑層の赤褐色砂岩が見つかる.弱固結の均質な細粒砂岩だった.貝化石などは見あたらないようだ.すぐ近くでは地球学科の学生たちがひとつの露頭を埋め尽くしていた.ハンマーの音はなかなか聞こえてこない.

 少し登ってみると大桑層と段丘礫層との境界が見つかった.上位の段丘礫層が下位の細粒砂岩を浸食しているように判断される.道路のはるか先には実習を続ける別の一群があった.

 雨がだんだんと激しくなってきたし,地球学科につきあう気もなかったので研究室のみで先を急ぐことにした.道路をずっと下っていくと,官用車を止めたあたりにも大桑層が露出していた.ここでは二枚貝の印象化石をたくさん見つけることができる.陰地があいかわらずの才能をみせてくれる.そして,ここで車に乗り換えて雨のなか先を急いだ.

 烏骨鶏の里近くの露頭に到着.ここにはいわゆる「高窪層」のいい露頭がある.典型的な泥岩をヴァンナや田中に見てもらう.田中や陰地が青灰色の泥岩に含まれる有孔虫化石を見つけ出していた.

 雨が本格的になってきた.道路の先が白くかすんでくる.そろそろ引き上げどきのようだ.

 高窪層に挟在する凝灰岩を観察して今日の巡検はおしまいにした.走り去る車をうらめしそうに見送る地球学科の学生たちが途中の道路にあった.

 今年度の新人研究者たち.左から堂満華子,田中源吾,リー・ヴァンナ,そして陰地章仁.

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD
  • Lens: Super Fujinon 6.2mm f.2.8