金沢市北東部上涌波・竹又地域(大桑層中部の試料採集)
2003年4月19日(土):担当 塚脇真二

 田中源吾とともに大桑層中部のサンプリングに出かけた.理学部地球学科加藤研究室一同も同行する.角間を出発し小二又から牧をとおって上涌波に到着.そして吉岡のルート6となる林道に車を乗り入れ,その途中に車を止めて歩き始める.あいにくの雨模様だったが作業に支障があるほどではない.


 林道沿いの露頭をときおり叩き,大桑層下部や中部の岩相を田中に紹介しながら先へ進む.する.早春とあって植生の枯れ果てた露頭面にOM4凝灰岩がよく見えていた.

 ヘアピンカーブを曲がりきったところから大桑層中部が本格的に連続するようになる.

 大桑層中部の典型的な岩相に田中が見入っていく.生痕化石が著しく発達するのに対して貝化石層が貧弱なのが興味深かったようだ.

 林道が左に緩く曲がるところにめざすOM3凝灰岩が見えてきた.青黒い細粒砂岩に白い凝灰岩層はよく目立つ.露頭の下部には吉岡の有名なステップがまだ残っていた.

 雨がときおり強く降ってくる.

 田中が大桑層中部のサンプリングを開始した.手際がよいとはいえないが風化の程度を確認しながら着実に仕事を進めていく.加藤研究室でも同層準からの試料の採集を始めた.

 サンプリングを眺めているのに飽きて林道のさらに上へ大桑層の上部を見に行った.冨井のヘビ事件や樽見の滑落など,数々のハプニングやイベントがあったなつかしい露頭だ.冬の降雪や雨に洗われたせいか細粒砂岩の成層がよくわかった.

 戻ってみるとサンプリングがちょうど終わったところだった.大きく掘り込んだ穴は落ち葉や岩片でていねいに埋めてある.

 車を止めたところまでぶらぶらと林道を歩いて下りながら,その途中に露出するOL2a凝灰岩や,大桑層下部の最上部となる中粒砂岩を田中に見てもらう.

 上涌波から車を走らせて富山県との県境に近い竹又へ向かった.昨年度卒業の加藤晃義のフィ−ルドになる.雨はまだ降り続いている.植生が枯れ果てているおかげで昨年度の4年生たちと下った用水路が斜面によく見えていた.

 その用水路沿いに下っていったが,末端のセメント壁を全員が安全に降りられそうにはなかった.そこで引き返して道路の反対側にある簡易トンネルの中を通ってめざす沢に入った.

 今朝から降り始めた雨のせいか沢の水は多かった.それに加えて水はまだまだ冷たい.この沢でいちばんの難所となる「細田のジャグジー」地点の水量も思った以上に多い.その手前で立ち止まる加藤研究室をあとにして田中とともに先へ進む.


 ジャグジー風呂地点は昨年よりも深くなっているようだ.降りた直後は底に足がとどいたが,先へ進むにつれて深くなり最後には泳ぐ羽目になった.水が得意という田中は臆することもなくついてくる.

 その地点を抜けてすぐ右手にOM3凝灰岩が露出していた.大桑層の青灰色細粒砂岩中のこの凝灰岩は白くてよく目立つ.上下の境界もきわめて明瞭だ.

 田中がさっそくサンプリングを始めた.流水に現れ続けているせいか化石の保存状態はいいようだ.サンプリングのついでにOM3凝灰岩の典型的な岩相もよく見ておいてもらった.

 加藤研究室の華子と内村も全身ずぶ濡れになりながらこの露頭へやってきた.引きつった笑顔でカメラに納まってくれる.

 サンプリングを終えて沢を引き返した.強い流れの中を田中がまず泳いでくる.そして器用に滝をはい上がってくる.続いて泳いできた内村をふたりがかりで滝の上に引き上げる.残る華子はなかなかやってくる気配がない.まったく泳げないという.田中が水中へ引き返して彼女を連れてきた.

 もうひとつの小滝をよじ登ってこの沢を脱出した.やってきた簡易トンネルをくぐり斜面を登って車へ戻る.ここで今日のフィ−ルドはおしまいとした.

  • Camera: Casio G.Bros GV-10
  • Lens: Casio Lens 4.6mm f.2.8