能登半島九十九湾海洋調査実習
2003年6月18日(水)

 能登半島九十九湾の臨海実験所を利用してき海洋調査実習を行うことにした.新4年生2名の卒業論文研究の準備も兼ねての実習になる.調査用具を積み込んで角間キャンパスを午前6時に出発し,4年生ふたりを途中で拾い上げて能登有料道路を一路北へ向かった.眠りこける4年生たちを横目でみながら穴水で有料道路を降り,そこから国道249号線を宇出津へ.新しくできていた道路のためにちょっと迷いはしたが午前9時前には実験所に到着することができた.金沢を1時間前の午前5時に出発した田中たちも,どこでどう迷ったのかはわからないがやや遅れて無事到着した.実験所の又多さんの指導をうけながら調査の準備を整えて調査用船舶「くろさぎ」に全員が乗り込む.


 午前9時半に実験所を出発した.この日は朝から雨の予報だったが降り出す気配はない.金沢から朝食抜きでやってきたという田中とヴァンナが船上でにぎりめしを食べる.


 今回の海洋調査は実習を兼ねた下見という意味合いがあったため,観測地点は九十九湾内外のおおまかな5点を設定していた.そのもっとも沖合となる観測点に又多さんが船を向けてくれる.


 波ひとつない九十九湾を水しぶきをあげながら「くろさぎ」が疾駆する.

 湾の外に出てみても海は穏やかだった.遠くはもやでかすんでいるが,雨は降らないし日差しも強くないしで絶好の観測日和だ.

 わずかな時間ののちに湾外の最初の観測地点に到着した.ここで採泥作業の手順を4年生たちに簡単に説明する.

 まずは現在位置と水深の確認から.「くろさぎ」が搭載する魚探とGPSのデータを記録する.

 続いて持参した観測機器を使って塩分濃度や水温などを測定する.

 この観測点では中粒砂混じりの細粒砂が小型の採泥器で回収された.この堆積物を使って試料採集の手順を覚えてもらう.海が穏やかなせいもあるだろうが,乗船した全員が船酔いすることもなかった.

 すべての作業が済んでから湾口部となる2番目の観測点へ向かってもらう.

 観測点到着前に大型の田村式採泥器を準備しておく.

 そして湾口部の観測点に到着した.切り立った海岸には凝灰角礫岩らしい地層がよく見えている.

 この観測点では大植が初めての採泥に挑戦した.リールをもった田中が採泥補助を務める.

 大植が堆積物を引き上げているあいだに,奈津美と朝美が水質を計りサンプル袋の準備をする.

 採泥器はちゃんと着底したらしい.ふたをしっかりと閉じた状態で上がってきた.

 船上に引き上げた採泥器のふたを開け表層堆積物をまず採集する.ここはやや泥混じりの細粒砂だった.

 湾内最初となる3番目の観測点にはすぐに到着した.船の位置を確認するためふたりが又多さんのもとへあわてて走る.雨が降るどころかだんだんと晴れてきた.

 今回の調査ではこの日のために購入したナショナルの携帯用魚探のテストも行った.「くろさぎ」の魚探やホンデックスの携帯用測深器との結果も整合的だった.携帯用魚探のフロートの近くを大きなクラゲがただよっていく.

 4年生たちは作業手順になれてきたようだ.観測点に到着するとすぐに水質の測定作業にとりかかっていた.

 この観測点での採泥は小型採泥器を使って奈津美が挑戦した.水深が20メートルもあったにもかかわらず,海底堆積物をうまく引き上げてくれる.

 ここでも泥混じりの細粒砂が回収された.すぐに堆積物の採集作業に入る.

 ふたりとも船上作業にすっかりなれてきたようだ.余裕の笑顔がこぼれる.

 4番目の観測地点は湾内にある宝来島のやや南だ.ここでの採泥は田中が担当する.引き上げた採泥器のふたをすぐに開け,堆積物上の水中を泳ぎ回る介形虫までホースを使って一網打尽にする.この作業に麦わら帽子は不似合いかもしれない.

 田中が水を吸い取った採泥器の中には海底のようすがよく残されていた.いい試料をとることができて田中も満足したようだ.その横で片足を船べりから差し出す奈津美の行動は意味不明・・・.

 宝来島のよこを通り過ぎて最後の観測点に向かう.

 臨海実験所がみえるところが最後の観測点だ.

 ここでも水深は約20メートルあった.小型の採泥器を使って朝美が堆積物の採集に挑む.奈津美はカメラでアシストする.

 ここでは黒褐色の泥が回収された.表層のごく薄い部分だけが茶褐色になっている.表層堆積物の採集にはこの茶色い部分だけをはぎ取るように気を配ってもらう.

 朝美が船べりにしゃがみ込んでいるのにふと気づいた.すぐ前の海面には何かが漂っている.船酔いで気分でも悪いのかと思ったら,洗面器の堆積物を洗い流しているところだった・・・.

 最後の観測点ではヴァンナが満を持して採泥に挑戦した.大型の田村式採泥器を器用に引き上げる.採泥器の中は堆積物でいっぱいだった.

 この試料の介形虫も田中にすべて吸い取られてしまったようだ.これでこの日の作業はすべて終了.又多さんにたのんで船を実験所に戻してもらう.

 観測を終えて・・・・.田中とヴァンナのツーショット.

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD
  • Lens: Super Fujinon 6.2mm f.2.8