津幡町南部下中〜岩崎地域

2004年11月23日(火) 担当:飯村直哉,三宅 歩,下本恭弘


 4年生の卒論指導で陰地ともども津幡町南部のフィ−ルドに行った.北陸の秋とは思えないほどのいい天気だった.もっとも南に位置する飯村の担当地域にまず入る.


 道路から南にのびる沢に入った.秋とはいえ植生はまだ残っている.


 沢をちょっとつめたところに露頭があった.青灰色の泥岩だ.高窪層なのか大桑層下部なのかはわからない.

 そのさらに上流にも同じ泥岩が露出する.やや砂まじりになっているような気がする.

 さらに上流の小さな滝にも同じような泥岩が露出していた.この露頭は風化が著しい.

 沢をつめきって尾根が見え始めたあたりに比較的大きな露頭があった.叩いてみると白色粗粒の凝灰岩だった.


 粗粒の軽石を多量に含み平行葉理が発達する.最上部には硬質の細粒凝灰岩らしいものもある.どうやら吉岡の上涌波凝灰岩のようだ.そうすると,これまで見てきた青灰色の泥質岩はすべて高窪層ということになる.

 この沢を降りて道路を徒歩で次の沢へ向かった.飯村のすぐ北側を担当する三宅の担当地域になる.

 道路を東へしばらく歩いて農道に入る.

 農道からはあぜ道を伝って沢へ向かう.


 沢の入口付近に露出しているのはやはり青灰色の泥質岩だった.

 沢をつめていっても出てくるのは同じような泥質岩ばかり.

 沢がだんだんと広がり露頭がありそうな気配がなくなった.

 もとは泥質岩だろうと想像される風化の著しい露頭が見つかるのみだった.


 あぜ道を引き返して車へ戻った.

 東へ少し車を走らせたところの川沿いに露頭があった.水は思ったよりも温かい.近づいてみると比較的固い暗灰色の砂岩だった.

 川沿いに同じ岩相が連続する.蔵原層のように見えるがよくわからない.

 川沿いの崖の上のあたりにも同じような岩相が露出しているようだ.走向や傾斜を測ろうにも明瞭な層理面が見あたらなかった.


 道路をさらに東へ進み,トンネルを抜けて北へ向かおうとしたところに巨大なのり面があった.ほぼ全面露頭だ.高さが20mはあるだろう.

 もっとも下の段は灰白色の凝灰質砂岩だった.炭化物が混じっている.岩相のみからは犀川層とよく似ている.

 ひとつ上の犬走りにあがってみた.

 やはり同じ岩相だった.細かい白色軽石も目立つ.


 そこから見下ろすとかなりの高さなのがわかった.

 さらに一段あがってみた.上半部がやけに茶色く風化している.下半部はこれまでと同じ岩相だ.

 茶色く風化した部分は比較的やわらかい虫〜粗粒砂岩だった.不明瞭な平行葉理が観察される.岩相のみからは卯辰山層のように判断される.

 最上段からの見晴らしはとてもいい.

 一足さきに露頭を降りての記念撮影.下段から下本,飯村,陰地,そして最上段が三宅.

 国道を横切り大きく北へ向かって下本の担当区域に入った.集団墓地近くの露頭にまず案内された.

 風化が進んでいる露頭だったが,灰白色無層理の砂質泥岩だとわかった.生痕化石がまばらに見つかる.


 この道路に沿っては同じような泥質岩が露出する.いずれも無層理で走向や傾斜はまったくわからない.


 小さな石灰質ノジュールが見つかる.高窪層だろうか.

 道路から北にのびる林道に入った.ここに露出するのも青灰色の泥質岩だった.

 先の大型台風で倒れた木々が林道に横たわる.

 路面にも青灰色の泥質岩が露出する.


 道路に戻ってもやはり同じ岩相が続く.

 道路は大きく左に曲がるととともに上り勾配になった.上りきるやや手前に比較的大きな露頭があった.

 ここにも同じような泥質岩が露出する.しかし,露頭の下部に白い凝灰岩があるのを陰地が見つけた.

 白色細粒で比較的固い凝灰岩だった.基底部には細礫や白色軽石をともなう粗粒部がある.西川のOL2a凝灰岩のように見えるが確実ではない.


 この露頭で地層の走向・傾斜をようやくとることができた.

 道路づたいに尾根を越えたところで小さな沢に降りた.ここに凝灰岩らしきものがあるという.

 狭い露頭だったが掘っても現れるのは青灰色の泥質岩ばかり.

 あきらめて道路にとめてある車へ戻った.そしてそのまま研究室へ.


  • Camera: Fuji BigJob DS270HD
  • Lens: Super EBC Fujinon 6.2mm f.2.8