金沢市北東部上涌波地域:新4年生練習フィ−ルド

2006年5月22日(月) 担当:塚脇真二


 新4年生の野外調査実習のため金沢市北東部の上涌波へ行った.角間キャンパスを午前9時20分に官用車で出発.キャンパス裏手の新しい道路を通り,小二又,そして牧町をへて上涌波へ.そこから林道へ入ったところが今日の出発点だ.林道すぐ右手に大きな露頭がある.ここには大桑層基底部となる灰白色の砂質泥岩が露出する.緩やかに南傾斜する層理面が不明瞭ながらも確認される.ここで新4年生たちに地層の見方や野帳の書き方などをざっと説明した.


 砂質泥岩の表面には黄鉄鉱の黄白色皮膜がある.泥質砂岩といっていいような粗粒の部分も存在する.

 林道をのぼりながら右手に連続する露頭を観察する.灰白色の砂質泥岩がずっと続く.

 層厚10センチほどの灰色極細粒砂岩が挟在していた.砂粒子の淘汰はきわめて良好.下限は明瞭ながらも上位の砂質泥岩へは漸移する.もしかしたら細粒凝灰岩かもしれない.ここで走向・傾斜の取り方を指導する.


 新4年生たちの動きはまだまだ初々しい.

 OL2a凝灰岩が見つかった.白色緻密で層厚は2メートル以上にも達する.大桑層下部を代表する凝灰岩だ.

 その上位には淘汰不良の中粒砂岩がある.直径数センチの白色軽石や二枚貝化石が散在する.

 そのさらに上位にOL3凝灰岩が見つかった.白色緻密で層厚2センチほどの薄層凝灰岩.このルートでの発見は初めてだ.

 さらに歩いて林道が大きく右に曲がるところを通過した.ここから先には大桑層中部の青灰色細粒砂岩が分布する.貝化石も散在するが露頭一面に発達する生痕化石が特徴になる.

 露頭の上のほうにOM3凝灰岩が見えてきた.層厚約30センチの大桑層中部を代表する特徴的な凝灰岩だ.吉岡のステップは植生に被われて確認できない.

 林道が左に曲がるあたりで大桑層中部から上部に移行する.道路工事の削り残りらしいところに黄褐色細粒砂岩の大桑層上部が露出していた.


 午前11時50分に現場を出発.正午すぎに角間キャンパスの研究室に戻った.

  • Camera: Pentax Optio WPi
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8