金沢市の医王山西麓一帯:卒業・修士論文指導

2006年9月29日(土) 担当:三宅 歩・長田將吾・川戸慎也・大藪泰二郎


 修士論文,卒業論文研究フィ−ルドの指導にでかけた.研修生たちへの講義をまず済ませ,午前9時45分に角間キャンパスを公用車で出発する.小二又から廃棄物処理場横の新しく完成した県道をとおって田島へ.そして午前10時すぎに二股の最初の露頭(1)に到着した.三宅の話ではここに砂岩泥岩互層が露出しているという.


 地層は緩く北西に傾斜していた.上位に青灰色で淘汰のよい細粒砂岩がある.下位には層厚10cmに満たない淡褐色の泥岩がある.砂子坂層だろうか.

 そこから約5mほど上位にもやや細粒にはなるがよく似た青灰色砂岩が露出する.三宅の観察ではこの林道に沿って同様の砂岩が連続するという.


 二股町内をとおり県道下をくぐって次の露頭(2)に到着した.道路沿いの切り割りに硬そうな地層が露出している.

 淡灰色の硬い砂質泥岩だった.炭化物らしいものが散在する.同じ岩相が上位へ向かって連続するようだ.

 20mほど北にも同じ砂質泥岩がある.このあたりに分布するのも砂子坂層のようだ.

 そこからさらに車を走らせて次の露頭(3)へ.車を停めたあたりの路肩に軽石質凝灰岩の転石があった.

 やや脆弱な凝灰質砂岩が道路沿いに露出している.露頭表面には白色の軽石が目立つ.

 林道沿いに車を走らせてさらに東へ移動した.かなり走ったところで道路沿いにいい露頭(6)があった.露頭全体が淡い緑色を帯びている.ここは確実に医王山層だ.

 硬い凝灰岩が分布している.安山岩の角礫が多量に含まれていて凝灰角礫岩と呼んでもいいほどだ.

 しかし,角礫がほとんど見あたらない層準もある.鮮やかな輝緑色の硬い部分もある.誰かが”飛行石”と名付けた.

 それにしてもこの林道にはやたらとクモがいる.ジョロウグモが多いがこんな妙な形もクモもいた.

 三宅のフィ−ルドを離れ,田島から医王山スポーツセンターをとおって長田と川戸のフィ−ルド境界へ移動した.薄暗い林道はいまにもクマが出そうな雰囲気だ.

 林道の北側には脆弱といってもいいほどの灰色凝灰岩が露出している.

 中〜粗粒の凝灰岩には黒色の岩片や白色の軽石粒が含まれる.

 一方,林道の南側には淡褐色で緻密な泥岩があった.長田の話ではここから二枚貝の印象化石が出るという.ここも砂子坂層だろうか.

 さらに南へ下って湯涌温泉付近の大藪のフィ−ルドへ移動した.狭い林道を入っていくと大きな露頭に出くわした.露頭一面に不明瞭な節理が発達する.

 露頭の下の方は微妙に淡緑色を帯びている.上のほうには角礫と軽石がと目立つ.凝灰角礫岩といってもいいだろう.全体に比較的脆弱だ.

 露頭の上のほうには奇妙に丸くでっぱったところがあった.川戸がさっそく登っていく.

 しかしそのでっぱりに到達したのは三宅だった.やや硬いということだが岩相上の違いはないようだ.この林道にもジョロウグモがやたらと多い.

 林道をさらに登っていくと右手に軟らかそうな地層が露出していた.卯辰山層だろうか?


 地層はほぼ水平だった.全体に脆弱だ.下位には泥質岩がある.上位に向かうにつれてやや砂質となるようだが,そこに泥岩の角礫がみつかる.

 露頭の左手には明瞭な平行葉理が発達する層準もあった.黒い帯を構成しているのは炭化植物破片のようだ.

 林道をさらに移動していくと硬そうな地層が道路沿いの崖に露出していた.

 きわめて硬い凝灰岩だった.これは医王山層で間違いないだろう.

 ここでフィ−ルドをおしまいにして浅野川沿いをとおって角間へ戻った.

 午後3時半に遅い昼食をとって午後4時に研究室へ.


  • Camera: Pentax Optio WPi and Fuji BigJob DS270
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and Super EBC Fujinon 6.2mm f/2.8