金沢市医王山南西麓東町付近

2006年12月1日(金) 担当:川戸慎也


 今学期の地学実験の最終地質調査実習とあわせ,川戸慎也が卒業論文研究調査を行っている金沢市医王山付近へ指導に行った.冷たい雨の降る悪天候の中を共用車で出発したが,途中からなぜかいい天気になってきた.山側環状道路をとおり湯涌温泉をへて東町付近で北東へのびる狭い林道へ入る.杉林の中を曲がりくねる林道をしばらく走ったところで最初の露頭に到着した. 地学実験の受講生たちにはまず自主的な観察を開始してもらった.


 この露頭には中新統医王山層の緑色凝灰岩が露出する.緑白色で緻密ながらももろい細粒凝灰岩だ.

 場所によっては白色軽石に富むところもある.地学実験の受講生たちがあちこち叩いてくれるおかげでいろいろな岩相が見つかる.


 緑色細粒凝灰岩の角礫が散在する白色細粒凝灰岩もすぐ近くに分布する.

 林道をさらに上って次の露頭へ移動した.林道の途中から急峻な谷地形がよく観察される.この奥には露頭がありそうな気配だ.

 最近の崖崩れで出現したばかりだという大きな露頭があった.その右手にはなかなかいい感じの露頭もある.

 崩壊したばかりという崖に露出する凝灰岩は意外と風化が進んでいた.一方,右手の露頭には淡褐色の細粒凝灰岩が露出していた.露頭表面が象皮状なのが特徴的だ.安山岩の小さな角礫がときおりみうけられる.

 林道を奥へ歩いてみると道路沿いに同じ岩相が続いていた.


 林道をさらに奥へ進んで3番目の露頭に到着した.車から降りて対岸をみたら,そこには成層した凝灰岩らしき露頭があった.おおざっぱに東西走向で南に25度程度傾斜しているようだ.川戸と三宅,そして実験TAの神納がそれを観察するため沢に降りていった.

 地学実験の受講生たち,そしてTAの村Pと林道に残ってここに露出する礫岩を観察しておく.この露頭に露出していたのは医王山層には珍しい円礫岩だった.礫の淘汰は不良ながらも個々の礫の円磨度は高い.礫種はおもに安山岩.露頭全体が個々の礫を含めてじつに硬い.

 沢へ降りていった3人が谷底に到着したのが見えた.

 しばらくするとその中のひとりが成層した凝灰岩らしき露頭の下部にとりついたのがわかった.赤いジャケットはどうやら川戸のもののようだ.


 林道をさらに奥へ歩いてみた.やや上流へ行くとそこには淡褐色の細粒凝灰岩が分布していた.円礫岩の層厚はそれほど厚いわけでもないようだ.林道を引き返しているところで沢へ降りていった3人が斜面を登ってくるのが見えた.それと同時に雪交じりの雨も降りはじめる.あまりの寒さに撤収体制に入る.

 車に乗って角間キャンパスへ雨の中を引き返す.午後3時30分に研究室に到着.

 


  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 508-17.4mm f.2.5-4.3