金沢市医王山南西麓石黒地域

2006年12月2日(土) 担当:大藪泰二郎


 大藪泰二郎が卒業論文研究調査を行っている金沢市医王山南西麓の石黒付近へ研究室全員で巡検に出かけた.天気予報に反しての好天のもと午前8時半に共用車で角間キャンパスを出発.昨日と同じルートで湯涌温泉へ.そして石黒付近で北へのびる狭い林道へ入った.右手の沢には砂防ダムが並ぶ.


 林道に入ってすぐのところに最初の露頭があった.黒っぽい玄武岩質の塊状中〜粗粒砂岩が露出している.玄武岩らしき小さな黒い角礫がときおり見受けられる.露頭には節理が観察されるが断層の可能性もありそうだ.

 そのすぐ右手には緑色凝灰岩があった.細粒で緻密ながらも固結度はそれほど高くない.その直上には不規則な面をもって黒色中〜粗粒砂岩が位置する.


 ふたつの露頭は4mほど離れているだけだった.両者を隔てる植生をはがしていくと,左手の露頭下部にも緑色凝灰岩が見つかった.

 両者の境界はそれほど明瞭ではないがどうやら断層関係にあるようだ.断層面の走向・傾斜を測っておく.緑色凝灰岩に観察される層理面の走向・傾斜も記録しておく.

 林道をさらに奥へ進んだ.これから植林が開始されるらしい右手の斜面にも露頭がいくつか発見される.大藪の話では夏には草ぼうぼうだったところだという.

 しばらく歩いたところで次の露頭にぶつかった.いかにも硬そうな岩石だ.規則的な割れ目が特徴的でもある.

 露頭のどの部分もきわめて硬い.安山岩あるいは熔結凝灰岩だろう.場所によって斑晶が小さかったり目立ったりとさまざまだ.


 林道のやや先には破砕帯とも思える粘土化した基質に角礫が散在するところがあった.このあたりには白色軽石に富む凝灰岩が分布しているようだ.それにしても岩相の変化が著しい.

 林道をさらに進むと大藪が「遺跡」と名付けた露頭があった.この露頭には垂直方向の節理に加えてほぼ水平方向の節理が発達する.

 二方向に発達する節理によって岩石がブロック化している.そのやや奥にはふたたび破砕帯状のところがある.

 そして緑色凝灰岩がふたたび現れた.白色といってもいいだろう.軽石が豊富に含まれる.固結度はそれほど高くない.


 しかし,そのすぐ近くには緑色をより帯びた細粒凝灰岩もある.

 さらに濃い緑色をした典型的な緑色凝灰岩と呼べるものも見つかる.

 ここでけたたましい鳴き声とともにカモシカが現れた.林道もこのあたりで尽きてしまった.この先は植林地のため露頭はないという.冷たい雨も降り始めてきた.ここで今日のフィ−ルドは終了とした.

 共用車で角間キャンパスへ.午前11時前に研究室に到着.短時間だったがいろいろな岩相を確認することができたフィ−ルドだった.

 


  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 508-17.4mm f.2.5-4.3