金沢市上涌波地域(野外調査実習,その3)

2007年5月30日(水) 担当:塚脇真二


 いまにも雨が降ってきそうな天気だったが3回目の地質調査実習のため金沢市北東部の上涌波へ公用車で向かった.午前8時半に角間キャンパスを出発.上涌波で林道へ入って前回と同じ場所に車を止めた.ここが今日の出発地点になる.十数メートル歩いた右手に最初の露頭がさっそく見つかる.


 ここには直径数cmの白色軽石が密集した層がある.下位にあるのは青灰色の泥質砂岩.

 そこからやや歩いたところにも軽石密集層がある.この密集層の層厚は1m程度か.

 そのさらに上位になると生痕がまれにみつかる黄白色の細粒〜中粒砂岩となる.4年生たちは地質調査にだいぶ慣れたようだ.説明や解説は岩相や構成粒子などのみにとどめる.


 林道をさらに進んだところに岩相の大きな変化があった.比較的大きな露頭の中央に白い一筋の線がある.

 白色極細粒の薄い凝灰岩があった.西川が発見したOL3凝灰岩だ.この凝灰岩をもって大桑層は下部層と中部層に区分される.直下にあるのは青灰色の泥質砂岩.この上位には層厚20cmほどの漸移層をはさんで青灰色泥岩が位置する.この凝灰岩で走向・傾斜を測定.


 OL3凝灰岩より上位になると大桑層は極細粒の青灰色砂岩になる.このあたりで雨が降り始めてきた.

 途中で右手にある沢に入ってみる.そこに高さ10mほどのいい露頭を発見.

 4年の伊藤がさっそく崖を登っていく.ときおり降ってくる雨のせいで足場が悪い.しかし彼らは崖登りにも慣れてきたようだ.青灰色砂岩の岩相がずっと連続することを確認して戻ってきた.


 林道が右に大きく曲がるあたりで岩相が変化する.ここに露出するのは白色軽石や細礫を多量に含む青灰色細粒〜中粒砂岩だ.吉岡のOM4凝灰岩に相当する.しかし,たしかに軽石は多量に含まれているが,これを凝灰岩と認定するのはやや強引な気もする.

 その奥にはこれまで研究室の伝説をいくつも作ってきた崖と滝がある.足場が悪いことと時間が限られていることから今日は見るだけ.

 右に曲がる林道をさらに先へ進む.このあたりから右手に沿って露頭が連続するようになる.


 露出するのは大桑層の中部層.青灰色の極細粒砂岩から構成され二枚貝の化石を普通に含むのが特徴だ.

 層準によっては貝化石がまったく見あたらなくなる.

 貝化石がふたたび出現する層準.


 そして直径数cmの生痕化石が一面に発達する層準.

 露頭の頭上高くに凝灰岩が見えてきたところで実習終了.公用車で角間キャンパスへ引き返した.

 午後0時半に研究室に到着.ハンドレベルで高さを測る方法を説明し今後の予定を決めて解散.


  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3
  • GPS: Sony GPS-CS1K