富山県小矢部市北部〜石川県津幡町南部地域

2007年9月14日(金) 担当:谷 英治,伊藤恒平,浅井健史


 4年生たちの調査のフィ−ルドへ巡検にでかけた.角間キャンパスを午前8時35分に出発.いつもどおり山側環状道路から国道8号線へ乗り換えて,小矢部市北西部の谷のフィ−ルドへまず向かった.国道を下りて小矢部川沿いにやや走ったところに最初の露頭があった(1).どうにも理解できない不連続面がここにあると谷は言う.


 道路際の比較的大きな露頭だった.地層は南へ傾いている.まだ深い植生を分けて露頭に近づく.

 多量の白色軽石からなる軽石凝灰岩だった.軽石は円磨・淘汰ともに不良だ.有色鉱物がわずかに含まれている.

 谷の言う不連続面を探しに露頭右手の沢を登る.軽石凝灰岩に含まれる白色軽石は上位に向かうにつれて粒径を減じていくようだ.


 比高10mほどの沢を詰めたあたりの凝灰岩は,白色の基質に白色軽石が散在する含軽石白色凝灰岩になる.

 問題の露頭に到着した.左手の白色凝灰岩と右手の黒い地層とがほぼ垂直に接している.しかし,触ってみたら黒い地層に見えるのは法面への吹き付けだった.

 沢から下りて道路沿いの露頭を見直した.南々東へ30度ほど傾斜しているが,層理面は液状化のためか大きく湾曲している.

 上位層準になると軽石がまったく見あたらなくなる.かたくり粉のような手触りが特徴的だ.この層準に挟在する炭化物の薄層で走向・傾斜を測っておく.

 次の露頭へ移動した.国道を金沢方面に引き返し,その途中で南に下りる.国道を下りてすぐ右手に入った奥に大きな砂取り場があった(2).露頭の中〜上部は植生に被われていたが下部は地層が見事に露出していた.

 砂取り場の北西の面に南東へ傾斜する不連続面が見つかる.

 黄褐色の中〜粗粒砂岩を含礫砂岩が浸食面で被っていた.上位の含礫砂岩に含まれる礫の円磨度は良好だが淘汰はそれほど良くはない.浸食面付近の礫同士は密着しその隙間を中粒砂が埋めている.しかし,上位に向かうにつれて礫の大きさも量もともに減少し中〜粗粒砂岩に移行する.

 下位の黄褐色中〜粗粒砂岩.塊状無層理で化石などはまったく見つからない.

 下位の中〜粗粒砂岩には液状化痕らしい堆積構造がある.


 不連続面から20m右手にもうひとつの不連続面があった.ここでは右手の中〜粗粒砂岩と左手の含礫砂岩がやはり浸食面で接していた.どうみても含礫砂岩が上位と解釈される.

 右手の中〜粗粒砂岩には大きな生痕化石がまれに見つかる.

 この露頭をやや離れてみるとふたつの不連続面の位置関係がよくわかる.おそらくチャネルフィル堆積物だ.

 砂取り場の反対側には現在稼働中の採掘場があった.ずっと奥の低まったところに調整池がある.

 この大露頭の最上部付近に灰白色の地層が見えていた.色から判断すると泥質岩だろう.近々,谷がこれを確認することになった.チャネルフィル堆積物をもう一度眺めて次に移動した.


 国道を横切って北西へ向かい伊藤のフィ−ルドに入った.露頭にとても乏しい地域だ.深い沢はあるが露頭はまだ植生にびっしりと被われているようだ.廃棄物処理場付近にも露頭はまったく見あたらない.道路沿い(3)で泥岩の風化した露頭を見つけただけ.露頭の発見がこの地域の最優先課題となった.

 南西へ移動して津幡町南部となる浅井のフィ−ルドに移動した.水田の中を碁盤の目のように走る道路の途中に泥質岩のいい露出があった(4).

 下位には緻密な青灰色の砂質泥岩がある.一方,上位には炭化物を含む細〜中粒砂岩が位置する.地層全体は東へ緩く傾斜しているようだ.

 農道に沿って泥質岩のいい露頭が続く.

 砂質泥岩になったり泥質砂岩になったりと岩相の垂直変化が著しい.水平方向にも変化しているようだ.


 農道のつきあたりから先は深い植生に包まれた沢だった.ここは浅井が近々調べて結果を報告することになった.

 倶利伽羅道の駅で休憩をかねたミーティングののち大学に引き返した.正午前に角間キャンパスに到着.


本日のルート



  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3
  • GPS: Sony GPS-CS1K