富山県小矢部市北西部地域

2007年11月1日(金) 担当:谷 英治


 4年の谷が調査を行っている小矢部市北部へでかけた.角間キャンパスを午前8時半に出発し,いつもどおり山側環状道路から国道8号線へ乗り換える.フィ−ルド北部にある南へ延びる沢へ入る予定だったが行く途中で雨が本降りになってきた.そこで道路沿いの露頭いくつかをみることに予定を変更し,小矢部市北西部へまず向かった.国道を下りて小矢部川沿いにしばらく走ったところに最初の露頭があった(1).


 層理面が薄く発達する硬い白色凝灰岩だった.上涌波凝灰岩最上部の極細粒凝灰岩よりも硬い.この地域では初めてみる岩相だ.

 さらに北上したところに「弁慶岩」の看板が立っていた(2).ちょっと立ち寄ってみる.

 医王山層にみられるような硬い凝灰岩だ.おそらく大きな転石だろう.岩の表面に空いた穴が弁慶の足跡なのだという.


 入る予定だった沢の入り口にとりあえず車を止める.左手に子撫川の支流が流れる.

 道路沿いにも露頭があった.やはり硬い.緑色凝灰岩のような岩相だ.


 支流の河原へ下りるとそこには大きな廃屋と小さな祠がある.

 支流に入ってやや下る.

 そして目的の谷に入った.すぐに大きな砂防ダムが出現する.6年前に完成したばかりの新しいものだ.


 左岸側からダムを乗り越える.プラスチックの足場があって助かる.

 ダムの上流側へ下りてさらに上流へ.


 堆砂上に咲き乱れるピンクの花をかき分けながら歩く.しばらくすると沢の幅が狭まってきた.

 右手に露頭発見.軽石をわずかに含む硬い泥質岩だ.

 入る予定だった南へ延びる沢を通りすぎてさらに上流へ向かう.

 かなり歩いたところで河床が露頭に変わった.硬い泥質岩が常滑になっている.


 その近くの左岸にも泥質岩が露出していた.破砕されたように細かい破断面が発達する.

 さらに上流へ歩いたところで次の露頭が見つかった.

 やはり泥岩だった.層理面の発達が著しい.この面で谷が走向傾斜を測る.不思議なことにほぼ南北走向の西傾斜だという.

 この沢沿いにはおもに硬い泥岩がずっと連続するようだ.


 ときおり雨が降ってくる.沢もときおり深くなる.

 さらに上流へ向かってほぼ同じ岩相が続く.しかし,傾斜はだんだんと緩くなるようだ.

 しばらく歩いたところで目的の支沢へ引き返した.


 地形を頼りに目的の支沢があるあたりで深い植生の中へ分け入る.

 この沢にも砂防ダムがあった.


 ダムの側面に貼られたネットを手がかりにダムの上へよじ登る.そしてダムの上流側へ飛び降りてさらに上流へ.

 堆砂上の植生が深い.先へ進むのに苦労する.しかも雨がだんだんと本降りになってくる.

 しばらく歩くと右手に露頭が現れた.やはり硬い泥質岩.凝灰質泥岩ともいえそうだ.層理面の発達がやはり著しい.


 ちょっとした滝が出現した.谷は何を祈るのか・・.

 層理面の発達する泥岩の滝を越えてさらに上流へ.

 右手の高いところに露頭が見つかった.


 ここで見つかったのは砂岩だった.層理面は明瞭だが発達しているとは言いがたい.

 沢へ下りてさらに歩くとすぐに別の露頭があった.


 青灰色の硬い泥岩がそこに露出していた.風化の進んだところはまるで頁岩のように露頭面が薄くはがれてくる.

 さらに上流へ進むと・・・.

 青灰色の細粒〜中粒砂岩が現れた.蔵原層の砂岩みたいだ.比較的淘汰のいい砂粒子からできている.

 雨が本降りになってくる.逃げ場がないのでそのまま上流へ向かう.


 ちょっとした滝が正面に出現する.凝灰質の泥岩でできているようだ.

 層理面が薄く発達するところもみうけられる.

 その滝を登ってさらに上流へ.細粒凝灰岩の露頭がみつかる.

 そのすぐ近くには青灰色泥岩の露頭がある.この沢に分布する地層はかなりふしぎだ.


 さらに上流へ向かったが深い笹藪にとうとう行く手を阻まれた.あと200メートルで道路に出られるはずだと谷が主張する.しかし,道路に出たとしてもそこから車まで7キロほどの距離を歩かなければならない.雨も降り止まないことだし,相談の結果,登ってきた沢を引き返すことにした.


 ずぶ濡れの服のため身体が重い.長靴に満ちた水で脚も重い.滑りやすい沢を下流へと下る.ようやく上流側のダムが見えてくる.

 そのダムを乗り越えてさらに下流へ歩く.

 主沢へ下りてさらに歩くとふたつめのダムが見えてきた.


 そのダムを乗り越えてさらに下流へ.

 止めた車がようやく見えてきた.あまりの寒さに指がかじかんでシャッターがうまく切れない.


 ずぶ濡れの服を車の暖房で乾かしながら角間キャンパスへ戻った.午後3時に到着.成果は大きかったがそれにしても寒いフィ−ルドだった.


本日の走行ルート


本日の露頭位置


歩いた沢ルート

 


  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3
  • GPS: Sony GPS-CS1K