金沢市北袋～駒帰（2008年10月3日）

金沢市南部北袋～駒帰地域（卒論フィ－ルド指導）
２００８年１０月３日（金）　担当：糀　剛史・大隅崇太郞
糀が調査を行っている金沢市南部の北袋と大隅が担当する駒帰地域にでかけた．大学を午前８時４０分に出発し山側環状道路を南下する．その途中で湯涌温泉方面への県道にのりかえ糀の調査地へまず向かった．北袋付近から林道をやや入ったところに最初の露頭があった．


林道ぎわの比較的大きな露頭だ．みるからに軟弱な感じがする．泥岩や礫岩がおおまかに互層している．


もっとも下には軟らかい灰色の泥岩が位置する．


この泥岩には細礫や白色軽石，粗粒砂が雑多に含まれる．細礫～中礫岩と不規則に互層する．単層の連続性もあまりよくない．


林道を歩いて次の露頭へ向かった．しばらく歩くと沢の対岸に大きな露頭がいくつもみえてきた．


しかし次の露頭も同じ林道沿いだった．基底に礫岩がある．


細礫から巨礫までじつに雑多だが，個々の礫はよく円磨されている．


礫同士がしっかりと密着した構造をとる．


その上位には灰色の砂質泥岩が位置する．細礫や軽石が含まれ全体としての淘汰はきわめて悪い．風化残りのようにみえる安山岩の大礫もある．


林道をさらに歩いて次の露頭へ．林道沿いの沢の中には露頭がありそうにはない．


対岸にはあいかわらずいい露頭が連続する．


３番目の露頭の林道沿いだった．これまでの露頭と同様に礫岩と砂岩，そして泥岩が不規則に互層する．


砂岩には直径１cmほどの巣穴痕が観察される．


生痕は上位に向かって増える傾向にあるようだ．


林道をさらに歩いたところにある三叉路には地元の方々が清水を汲むところがあった．


右手遠くに採石場をみながら４番目の露頭へ．


ここもさまざまな粒径の堆積岩が雑多に成層している．この露頭の右手で観察される基底部には葉理が発達する細～中粒砂岩がある．


その上位には浸食面をもって淘汰の悪い礫岩が位置する．


そのさらに上位となる露頭の左手には平行葉理が見事に発達する細～中粒砂岩があった．微細な礫が葉理に沿って配列する．


そのさらに上位には灰色の泥岩があった．これまでの露頭でみてきたものと同じだ．砂や礫が含まれ全体としての淘汰は悪い．真っ黒い植物化石も含まれる．


平行葉理が観察される泥岩の上位には礫岩が浸食面をもって位置する．


細礫から中礫がおおまかに配列する．個々の礫の円磨度はいい．


どうにもわからない地層がある，という糀の言葉にしたがって急な林道を上へ向かった．


礫岩の延長が林道沿いに露出する．別の林道に乗り換えたところにその露頭があった．


これまでに見てきたものとほぼ同じ淘汰の悪い灰色の泥岩だった．露頭面には派手なムカデもいる．


層理面はそれほどはっきりとみえない．30度くらい傾斜しているようにみえる．この露頭のずっと左手が糀のいう「どうにもわからない」地層だった．


近づいてみると典型的な凝灰岩だった．風化のため灰色になっているがおそらく緑色凝灰岩だろう．だとすると医王山層だろうか．


露頭の一部はかなりの風化を被っている．この岩石が左手へずっと連続する．


ここまでみたところで林道をひきかえした．


セイタカアワダチソウが茂る林道沿いを公用車へ戻る．


そして車に乗って大隅のフィ－ルドへ移動した．





北袋から駒帰へつづく道路が工事のため通行止めになっていた．そのため途中で細い林道に入ったところ，道路の切り割りに地層が露出しているのをみつけた．


近づいてみると細かく成層した暗灰色の泥岩だった．叩いてみるとかなり硬い．朝ヶ屋層か，それとも砂子坂層の泥岩だろうか？それにしても不思議な場所にあるものだ．これが気になりながらも時間がなかったためこの露頭を離れた．


駒帰から細い道をわずかに入ったところに露頭があった．北袋でみてきたような雑然と成層した堆積岩だった．固結度はやはり低い．


露頭の右手では下位から細～中粒砂岩，円礫岩，そして灰色泥岩が成層している．砂岩には細礫岩が挟在する．


最下位の砂岩は上位の細礫岩に不規則で凹凸の激しい浸食面をもって削りこまれている．その上位に円礫岩が位置する．そのさらに上位に灰色で植物遺骸を豊富に含む泥岩がある．


その上位の砂岩は露頭の左手でみることができた．不規則な形状をした泥岩礫が多量に散在する．生痕化石かあるいは偽礫か・・・．


そのさらに上位には淡黄色～白色の泥岩があった．


泥岩直下の砂岩には斜交層理が発達する．おおまかに測った古流向は北北西のようだ．


大隅が「ぜひともみてくれ」という露頭へ車で移動した．彼の言うとおり，その露頭には断層があった．


おおざっぱに南落ちの正断層だ．落差は４ｍほど．断層面の右手には礫岩と砂岩とが雑然と成層する．


断層面の右側には落差が10cm程度の小断層がいくつも確認される．


不明瞭ながらも断層面の左手にも正断層がいくつかあるようだ．


ここまでみたところで大学へひきかえした．


戻る途中の道路から建設中の辰巳ダム現場を見下ろすことができた．思った以上に大規模な工事だ．砂子坂層が分布するあたりがきれいに削り取られている．


正午すぎに大学に到着．
今日のルート Camera: Pentax WPi Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 GPS: Sony GPS CS-1K