金沢市北袋地域（2008年11月12日）

金沢市南部北袋地域（卒論フィ－ルド指導）
２００８年１１月１２日（水）　担当：大隅崇太郞・糀　剛史
四年生ふたりが卒業論文研究の調査を行っている金沢市南部の北袋へでかけた．角間キャンパスを午前８時半に発って山側環状道路を南下．県道を湯涌温泉方面へさらに南下し大隅の調査地へまず向かった．北袋のバス停をすぎてやや走ったところで右折し，その道路からさらに林道へ入ったところが最初の露頭だった．田んぼの向こう側に３つの露頭がならぶ．はるか遠くに糀のフィ－ルドもみえる．


水のない田んぼの畝をつたっていちばん左側の露頭へまず向かった．


最下位にあるのは砂や植物遺骸まじりの灰色の泥岩．節理はあるがとてもやわらかい．


その上位に人工物かと思うような礫層がある．最大のものは直径30cmを優に超える大きさだ．すべて円礫で安山岩や礫岩から構成される．個々の礫は層理面にはおおまかに平行に配列する．


その上位には細礫を多量に含む黄褐色の砂岩がある．


落差20cm程度の小正断層がいくつかあった．植物遺骸からなると思われる暗褐色の層が断層の影響かゆるやかに波打っている．


最上位にあるのは淘汰不良の砂を含む灰色の泥岩だ．下位の泥岩より固結度が高い．


やや離れてみるとこの露頭での層序があらためて確認できる．走向・傾斜はおおよそ北西-南東で北へ傾斜する．


真ん中の露頭は最初の露頭の最上位にあるような砂質泥岩だった．そして左側のもっともおおきな露頭へ移動．


下位にあるのは淘汰不良で風化の進んだ中粒の砂岩．


上位には黄白色の泥岩や細礫岩などがある．泥岩には層理面が発達する．ここにも小さな正断層がある．


最上位には灰白色の泥岩がある．


露頭から離れてあらためて３つを見くらべてみる．左から右へとより上位の層準が露出する．


田んぼの下へ移動した．このあたりにもいくつかの露頭があるという．そのもっとも下にある露頭では，走向傾斜がかなり異なっている．


別の田んぼぎわには古土壌のような植物遺骸や礫を含む淡紫色の泥岩もある．


畝づたいに道路へ引き返す．


道路をやや上がったところにも露頭がひとつ．ここにも淘汰不良の中粒砂岩があった．このあたり全体をとおして岩相の垂直・水平変化がとても著しいように感じる．


車にのって２番目の露頭へ移動した．県道からやや南西に入ったあたりになる．道路ぎわに大きな露頭があるが，まだ未調査らしい．


その巨大露頭の横をとおりぬけて，その奥にあるいくつかの露頭をめぐり歩いた．


層理面が不明瞭ながらも観察される泥質の砂岩がある．


そのさらに奥には円礫交じりの砂岩．


その左手には泥岩もある．このあたりも岩相変化が著しい．


この泥岩は淡灰色できわめて軟弱だ．ハンマーにべたべた貼りついてくるほどにやわらかい．


秋晴れのいい天気だ．


とおりがてらにみた泥質砂岩をあらためて眺める．


このあたりにも小さな露頭があちこちにある．この小露頭群の解析の鍵になるのは道路際の巨大露頭だろう．ここまでみたところで車にのって北袋の北側となる糀の調査地へ移動した．


北袋のバス停から狭い道路を北へ入り，いくつかの民家を抜けたところの沢沿いに車を停めた．


多量の円礫がころがる沢を奥へ歩く．


すぐ左手上方に大きな露頭がみえてきた．


露頭のもっとも下には固結度が比較的高い細～中粒の暗灰色砂岩がある．砂粒子の淘汰は不良．層準によっては多量の円礫をともなう．糀の話では円礫はこのあたりにしかないという．


沢へ下りてさらに上流へ移動する．


林道には何台もの車が停まっていた．測量の作業中らしい．


沢沿いの林道はその基礎があちこちで崩落していた．


さきほどみたものとよく似た砂岩が沢に沿ってときおり露出する．


沢の途中で左手上方にある露頭へ登った．その途中にわりと硬そうな泥岩が露出していた．


細かい節理が発達する．新鮮な部分はあざやかな青灰色となる．砂はほとんど含まれていない．


露頭の本体は淘汰のわるい中粒砂岩から構成されていた．


不明瞭ながらも露頭の表面には堆積構造らしいものが観察される．


露頭の上部には軟弱で砂や植物遺骸を含む紫白色の泥岩がある．


ふたたび沢へ下りてさらに上流へ移動する．


このあたりでも林道が崩落していた．この夏の水害の影響なのだろうか．


沢に沿ってふたたび砂岩が露出する．


平行葉理が観察される．礫質となるところもある．


この砂岩は沢に沿ってずっと連続するようだ．


その砂岩をずっとながめながらさらに上流へ．


崩落した林道の基礎基底に灰色の泥岩が露出していた．


ハンマーがめりこむほどにやわらかい．表面は灰色だが新鮮な部分はきれいな青灰色となる．


ここで林道へあがってさらに上流へ足を進める．その途中の対岸に泥岩と砂岩とが接する露頭があった．しかし，帰り道で観察することにしてさらに先へ進む．


沢にかかる林道の橋が崩落しているところにも砂岩と泥岩とが露出していた．灰色の泥岩と暗褐色の砂岩．色の違いで両者の分布状況がよく把握できる．


橋の下流側では右岸に砂岩，左岸に泥岩がが分布する．しかし，上流側では左岸に左岸，右岸に泥岩と逆の分布となる．


林道から沢におりてみた．下流側にある砂岩は比較的硬く新鮮な部分は青灰色だ．中粒で淘汰のよい砂粒子から構成される．


灰白色の泥岩は比較的やわらかい．ハンマーで叩くとぽろぽろと崩れる．


風化した泥岩の表面は黄白色を呈する．上流側に分布する泥岩もほぼ同じ岩相だ．


泥岩の中には黒っぽい植物遺骸が発見される．


しかし，上流側の左岸に分布する砂岩は下流側のものと違って黄褐色で脆弱だった．砂粒子の淘汰は比較的いい．


その砂岩の上位には淘汰不良で脆弱な礫岩がある．この礫岩は下位の砂岩を大きく浸食している．


上流側の右岸に分布する泥岩に砂岩が脈状に挟在していた．しかし，粒子分布をみるかぎりでは砂岩の岩脈ではなさそうだ．断層で接触している可能性もまずありえない．じつに不思議な分布だと感じる．


ここで沢を下流側へひきかえした．


その途中の右岸に砂岩と泥岩との境界があった．直線的で平坦な傾斜面をはさんで上に泥岩，下に砂岩がある．


砂岩は下流側でみてきたものと同じ淘汰不良で礫をともなう暗褐色のもの．


さらに下流へ移動し，往路でやりすごした砂岩と泥岩の露頭をここであらためて観察する．ここでは不規則な漸移境界をもって上に泥岩，下に砂岩が分布している．この境界は下流へ約20度傾斜する．しかし，砂岩も泥岩も層理面はほぼ水平のようだ．


砂岩はこれまでにみてきたものとほぼ同じだ．


一方の泥岩も同じもの．比較的脆弱で表面は黄白色．


砂岩には不明瞭ながらも層理面が観察される．多量の細礫をともなう層準もある．


この露頭をすぎたところで林道に上がった．左手にも大きな露頭があった．


沢を下りきって車へ戻る．


やってきた道路をひきかえして角間キャンパスへ．午後１時半に総合教育棟に到着．
今日のルート Camera: Pentax W30 Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 GPS: Sony GPS CS-1K