富山県氷見市南部小竹地域

2005年7月19日(火) 担当:大植靖士


 博士課程前期2年の大植靖士が担当する氷見市南部地域のフィ−ルドを見にいった.午前7時すぎに研究室を出発し北陸道そして能越道と乗り継いで午前8時半に小竹の土砂採取場に到着した.7月も半ばとあって緑が濃い.


 車を道路際へ停めて露頭へと歩く.遠くにいくつかの大露頭が見えてくる.

 採取場から流れ出した砂と礫とが扇状地地形や蛇行河川地形を見事に形作っていた.

 最初の露頭に到着する.下位に白色泥岩と細粒砂岩の細互層,上位に細〜中礫岩がある.

 上位の礫岩は下位の泥岩あるいは細粒砂岩を明瞭に浸食している.礫岩の淘汰はそれほどよくないがとてもよく円増された礫が多い.


 礫岩を構成する円礫に明瞭な覆瓦構造は認められないが,長軸を層理面に平行にしたものが多いようだ.

 土砂採取場へと斜面を登る.その途中にも上位の礫岩と下位の泥岩/細粒砂岩互層との境界を見ることができる.礫の密集度がきわめて高い.礫を構成するのはおもに安山岩や凝灰岩だ.

 そして土砂採取場正面の大露頭に臨んだ.おおまかに下位の礫岩砂岩互層そして上位の砂岩から構成される.

 下位の互層には典型的な河川成堆積物の堆積構造が記録されている.

 下位の礫岩にはレンズ状の細〜中粒砂岩が挟在する.礫岩と砂岩とはおおざっぱに互層しそして全体として大きな斜交層理を形成する.

 中〜粗粒砂から構成される砂岩もある.礫岩は上位に向かって徐々に層厚を減じながら上位の砂岩へ移行する.

 斜交葉理が発達する砂岩もある.

 大露頭の右手にある次の露頭へ移動.ここも礫岩と砂岩との互層だ.

 さらに次の露頭へ.ここもほぼ同じ岩相.

 その次の露頭では上位と思われる砂岩を間近に見ることができた.淘汰があまり良いとはいえない中粒砂岩だった.化石らしきものはまったく見あたらない.

 車を走らせて高岡第一高校の野球場へ到着した.廃棄されたとしか思えない荒れたグラウンドだ.

 この野球場の近くに泥岩と砂岩とが露出する.振り返ると大植のフィ−ルドを特徴づけるラブホテル群が遠くに見える.

 下位に赤褐色の細〜中粒砂岩がある.不明瞭ながらも平行葉理らしきものが認められる.

 上位の泥岩は青灰色を呈する緻密なものだ.その泥岩のさらに上位に下位の砂岩と同じような砂岩が位置する.下位の泥岩と上位の砂岩との境界は明瞭ながらもやや波打っている.上位の砂岩には斜交葉理が発達する.

 泥岩にはコンボリューションや小断層も認められる.大植の表現を借りれば「やるせない露頭」だ.

 さらに車で移動してラブホテル群正面にある露頭へ向かった.

 かつての土砂採取場だろう.下位に礫岩,そして上位に平行層理が発達する砂岩がある.

 下位の礫岩には細〜中粒砂岩がレンズ状に挟在し,礫岩とともにおおざっぱな斜交層理を形成する.礫岩の岩相は最初に見た露頭とまったく同じだ.

 背丈よりも高く繁った草をかき分けて車へ戻った.

 車を走らせて国道を横切り小竹の東にこんもりと盛り上がる丘陵地に入った.林道沿いに車を停める.ここに不思議な露頭があるという.

 見てみたところ,泥質岩に発達する典型的な玉葱状構造だった.それにしても見事だ.

 そこから林道を歩いてやや引き返す.すると林道沿いに細粒砂岩あるいは泥質砂岩の露頭があった.

 これまで見てきた礫岩や砂岩と比べて固結度がきわめて高い.石灰質ノジュールの層が何枚も挟在する.小さな貝化石を産出するという.この露頭で今日のフィ−ルドはおしまいにした.

 金沢へ戻る途中で頭川の露頭に立ち寄った.

 淘汰良好の細〜中粒砂から構成され,生痕化石がまばらに認められる.この近くには土砂採取場となっている巨大露頭がいくつもある.ここでカメラのフィルムもデジタルカメラの電池も切れた.

 きた道をそのままひきかえして金沢へ.午後1時ちょうどに総合教育棟に到着.


  • Camera: Fuji BigJob DS270HD and Pentax MZ-7
  • Lens: Super EBC Fujinon 6.2mm f.2.8 and SMC Pentax-FA Zoom 28-70mm f.4
  • Film: Fuji New Pro 400
  • Scanner: Canon Canoscan FS4000US