金沢市上涌波地域(野外調査実習,その5)

2009年6月24日(水) 担当:塚脇真二


 4年生たちが地質調査実習を行っている上涌波へ最後の指導にでかけた.彼らが作成した柱状図の不確かな層序の再確認が目的だ.午後1時すぎに角間キャンパスを出発し15分ほどで上涌波に到着.まずルート1の林道に沿って車をゆっくりと走らせ,このルートでの層序を再確認する.そして,道端に車をとめてルート1の西隣となるルート2へ入った.


 6月も下旬とあって真夏のような陽気だった.

 このルートの入り口には青灰色の砂質泥岩/泥質砂岩が露出する.暗褐色の植物遺骸がわずかに含まれている.


 同じような岩相が林道沿いにずっと続く.

 林道の入り口から50mほど歩いたところもやはり青灰色の砂質泥岩だった.


 砂の含有量が層準によって変化するものの岩相に大きな変化は認められない.

 しばらく歩いたところで含礫含軽石の粗粒凝灰岩が出現した.風化のため黄褐色になっている.


 この凝灰岩が層厚数mにわたって続く.

 いったん青灰色の泥質岩となるが,その先には層理の発達する白色細粒の凝灰岩があった.OL2a凝灰岩だ.


 この凝灰岩の主部は緻密で堅硬だが,基底部は粗粒で比較的脆弱だ.全体に白色から黄白色だが基底部のみは青灰色となる.

 この凝灰岩の層厚は3〜4m.


 林道をさらに奥へ向かって歩く.野生のガクアジサイをあちこちでみかける.

 厚層凝灰岩の上位には青灰色の粗粒砂岩が位置する.深緑色の礫や白色の軽石を含んでいる.


 林道の奥は深い植生にすっかり包み込まれていた.

 ここで薄い白色細粒凝灰岩を確認.ルート1のOL3凝灰岩に対応する凝灰岩だ.


 この凝灰岩の直上には黄褐色の中粒砂岩があり,その上位には青灰色の細粒砂岩がある.

 ときおり泥質となるものの,これより上位には青灰色細粒砂岩が層厚10m以上にわたって連続する.


 深い草むらの奥にあったのも同じ青灰色の細粒砂岩.ここで実習を終えて林道を引き返した.

 公用車をとめた道端へ引き返す.


 ルート1のOM3凝灰岩がみたくなって林道をふたたびのぼってみた.

 学生たちが植生をはいでいたためOM3凝灰岩はすぐにみつかった.しかし,吉岡の有名なステップは植生におおわれたままだった.


 午後3時半に角間キャンパスに到着.簡単なまとめをやって終了.

  • Camera: Pentax Optio WPi
  • Lens: SMC Pentax 6.3-18.9mm