淡青丸KT00-17次航海(Leg. 1)
東シナ海〜西南日本沖太平洋(2000年12月10日〜17日:その4)

12月14日(都井海丘南方コアリング→日向海盆測線)

 午前3時前に起きて研究室に入る.主任の太田先生はすでに研究室で待機中だった.船は都井海丘南方の採泥地点近くで停船している.風速は毎秒8m程度.うねりもそれほど高くはないようだ.ときおり激しい雨が降ってくるのが気にはなる.そして船長が研究室に現れ「できそうですね」と一言.採泥器を組み立てるにはまだまだ時間があったが,海況が気になったためそのまま研究室に残ることにした.

 午前6時半に黒田君が起きてきた.昨夜の深酒の影響か顔色がさえない.しかし最初のコアリングとあって気合いは十分のようす.他のみなさんにも手伝ってもらい雨の中採泥器を組み立てる.そして朝食を済ませてすぐの午前8時すぎに採泥器を投入した.採泥器の投入と前後するように風が吹き始める.風速計が毎秒10mを越えるようになる.うねりもだんだんと大きくなってくる.そしてとうとう「2度目のピストン採泥はなし」との最終通達が船長からあった.


 ワイヤーアウト2,700mで採泥器をいったん停めたときの風速は毎秒15mを越えていた.雨も降り続けている.ワイヤーを停めたまま5分間待機し,それからふたたびワイヤーを繰り出す.しかし,水深2,793mにもかかわらず,ワイヤーを2,850m繰り出しても採泥器が着底した気配がない.張力計が動いたのはワイヤーアウトが2,900mを越えた直後だった.張力計が記録した着底が二重になったのが気になる.さらに引き抜くときに張力がかかった気配も認められない.不安をかかえたまま採泥器の巻き上げをウインチにお願いする.

 午前10時に採泥器が後部甲板に回収される.急いでパイプの中をのぞき込む.しかしパイプの中はからっぽだった.アウターチューブの外側には堆積物が付着していたが,インナーチューブ内に堆積物が入った気配がない.採泥器を下ろしているときか採泥器が天秤から離れる瞬間にピストンが作動してしまったのだろう.パイロット採泥器に67cmの泥質堆積物が入っていたのが救いだった.

 

 このコアリングで堆積物チームのすべての作業が終わった.パイロット採泥器の試料をチューブごと密封しピストン採泥関係の機材を片づける.そして昼食をとってから居室のベッドで仮眠をとった.


 

 午後5時に目覚めて甲板に出てみたら,外は見違えるような好天になっていた.どうやら最悪の時間帯でのピストン採泥だったようだ.


 夕食をとったあとで4日ぶりの入浴.研究室に戻ってみたら宮崎沖でのビームトロールがちょうど回収されたところだった.しかし,ネットに入っていたのはわずかな魚とクラゲだけ.天気はよくなったものの風とうねりが残っているのが原因だろうか.この日は堆積物・生物両チームにとって収穫の少ない日だった.明日に予定されている最後のビームトロールでの成功を祈って研究室内で軽くパーティ.そして午後11時に就寝.

  • Camera: Pentax Z-20
  • Lense: SMC Pentax-FA Zoom 28-80mm f.3.5-5.6
  • Film: Fujicolour Reala Ace
  • Scanner: Epson FS-1200WINS