地学実験の記録
2002年度前期(その4:7月12日〜7月26日)

7月12日:有孔虫化石の鏡下観察(その1:地学学生実験室)

 今回は加藤さんの担当で有孔虫化石の拾い出しと鑑定実習とを行った.最初に有孔虫とは何かについての講義がある.有孔虫には浮遊性種と底生種とがあって,底生種は殻の構造でさらに膠着質と石灰質とに分かれる・・・など.


 説明のあとに実体顕微鏡の使い方を教わりさっそく実習に入る.試料は例年使っている1992年の白鳳丸航海で持ち帰った西赤道太平洋の石灰質軟泥を洗ったもの.ほとんどが浮遊性有孔虫殻でできているため最初の実習には最適の試料だ.

うだるような暑さは風鈴の音でしのいでもらう.

 まずは顕微鏡の下で有孔虫をひとつずつ拾い出す.試料を入れているトレイは黒の輪島塗に金箔で方眼を入れたもの.加藤さん自慢のトレイだ.

 拾い出した有孔虫殻は同じ種が集まるように群集スライドにのマス目に並べていく.

 2時間ほどこの作業を続けたところで殻の形状にもとづく有孔虫の分類についての説明があった.

 それぞれの分類群からひとつを選び出してスケッチをとる.午後5時に実験終了.次週は底生有孔虫の鑑定実習となる予定.

7月19日:有孔虫化石の鏡下観察(その2:地学学生実験室)

 今回も加藤さんの担当で底生有孔虫化石の拾い出しと鑑定実習とを行った.今日も最初は底生有孔虫についての講義がある.底生有孔虫鑑定の基本となる殻の巻き方について.自身の専門とあって説明が細かい.

 
 
 
 蒸し暑い日の昼食後とあって,受講生たちのまぶたが自然と閉じてくる.
 
 
 
 講義を聞いているふりをしながら熟睡する受講生もいれば,堂々と舟をこぎ始めるものもいる.少人数のためかさすがに机に突っ伏す受講生はいなかった.TAの陰地君も起きているのがつらいようだった.受講生のようすをうかがうふりをしながら舟をこいでいた.
 
 
 
 ラジオ放送への出演のため2時間ほど部屋を空けて戻ってみたら,受講生たちは底生有孔虫化石の拾い出しとスケッチに取り組んでいるところだった.さすがに眠り込んでいる受講生はいないものの,蒸し暑い中での化石の拾い出しはつらそうだ.ある受講生の顕微鏡をのぞきこんでみたら,接眼レンズの向こうには有孔虫の破片があった・・・.
 
 
 
 拾い出した有孔虫のすべてから,講義で説明のあった殻の巻き方を基準に6種類を選んでスケッチをとる.あまりの暑さにぐったりとなる受講生が続出したため午後4時で実習はおしまいとした.これで今学期の地学実験での実習はすべておしまいとなる.
 

7月26日:成績判定会など(地学学生実験室)

 期末定期試験との名目で全受講生に集まってもらった.もっとも試験など最初からする予定はない.地学実験での単位認定方法の基準などを受講生にまず説明する.それから受講生たちに貸し与えていたハンマーなどの掃除をしてもらい,私物を整理して持ち帰るように指示をする.これで本学期の地学実験はすべて終了となった.午後6時からは地学実験の打ち上げとTAの小島君の乗船壮行会を兼ねて犀川川原でのバーベキューパーティ.