地学実験の記録
2002年度前期(その3:6月21日〜7月5日)

6月21日:顕微鏡観察用岩石薄片の製作(その1:地学学生実験室)

 プリントを使って作業手順を説明したあと,さっそく製作にとりかかってもらった.試料となる岩石は宝達山のカコウ岩.回転台上での粗擦りからまず始める.受講生が多いために4人ずつ一組となって作業を開始してもらった.


 粗擦りが終わったらガラス板上での中仕上擦り.これを2段階にわたって繰り返し仕上げ擦りを終えたところで試料片面の研磨が終了となる.

 そして熱した鉄板上でレーキサイドセメントを使って試料をスライドグラスに貼り付ける.気泡が入らないように注意しながらの作業だ.

 熱した試料がさめたところで反対側の粗擦りにとりかかる.試料を取り落としたらしい悲鳴がときどきあがっていた.
 試料がだんだん薄くなってきたところで鉄板上あるいは止めた回転板上での粗擦り作業.試料を均一に薄くするのが難しかったようだ.肩を寄せ合いながらも真剣なまなざしで自分の試料を見つめ手を動かしつづける.

 試料がかなり薄くなったところでガラス板上での中仕上に入ってもらった.試料をすり切ってしまわないように注意を注ぎつづける.

 試料の厚さを確認するため,用意した偏光顕微鏡で干渉色をときどき見てもらう.試料はまだまだ厚い.

 試料がかなり薄くなってきた.もう一息で仕上げ擦りに入ることができそうになってきた.

 完成した薄片試料には表面保護のためにマニキュアを塗っておく.初めての作業にしては全員がうまく試料を作ってくれたようだ.参考としてTAに作らせた試料だけが予想どおりにおそまつだった・・・・.

6月21日:顕微鏡観察用岩石薄片の製作(その2:地学学生実験室)

 中新統七曲層に挟在する玄武岩を試料として2枚目の岩石薄片試料を作ってもらった.一般の受講生たちは回転板上でさっそく粗擦り作業に取りかかる.二度目だけあって全員手際よく作業を進めていた. 研究室の学生たちはダイヤモンドカッターを使うところから始めた.


 仕上擦りが終わったところで試料をスライドグラスに貼り付ける.希望する受講生にはこの作業を自分でやってもらった.そうでない学生の試料はTAの陰地君が貼り付けを手伝う.

 引き続いて試料の反対側の研磨を開始する.比較的やわらかい試料なので作業を注意深く進めてもらう.

 粗擦りから中仕上擦り,そして仕上げ擦り.受講生たちは順調に作業を進めていく.しかし試料をすり切ってしまったために,最初から作業をやりなおすことになった受講生も数名がいた.

 偏光顕微鏡で薄片の厚さをたしかめながら仕上げていく.できあがった試料の表面を透明マニキュアで保護して作業はおしまいだ.予想以上に時間がかかったものの,午後5時にはおおかたの受講生が試料を作り上げていた.

 研究室では冷えたスイカが待っていた.

6月21日:偏光顕微鏡による岩石薄片試料の鏡下観察(地学学生実験室)

 2週間にわたって作ってもらった2枚の岩石薄片試料を偏光顕微鏡で観察してもらった.偏光顕微鏡の仕組みをおおざっぱに説明し,試料となる玄武岩と花崗岩についても簡単な説明を加えたうえで実習を開始した.スケッチをとりながら構成鉱物を鑑定してもらう.作業テーブルの高さが中途半端だったため受講生たちはちょっと窮屈な中腰の姿勢をとらざるをえないようだった.

 
 
 
 まずは初日に作った花崗岩から観察に入ってもらう.構成鉱物の種類やそれらの形状の違いなどにとくに注意をはらってもらう.

 続いて玄武岩の観察に入る.斑晶鉱物となる斜長石の配列に気をつけながらスケッチをとるよう指導する.

 不安定な姿勢で3時間も顕微鏡をのぞきつづけたためか,実習終了時刻の間際になると受講生たちはかなりくたびれたようすだった.それでもおしまいには立派なスケッチができあがっていた.