地学実験の記録
2002年度前期(その1:4月12日〜5月24日)

4月12日:ガイダンス(地学学生実験室)

 実験開始前にTAたちが実験室の掃除と調査用具の整備をやってくれる.卒業論文のとりまとめなどでちらかっていた部屋も,見違えるようにきれいになった.


 地学実験の受講生はさまざまな学部からの計11名.実験の概要をまず説明し,受講を決めた学生たちに各自の調査用具入れに名前を書いてもらう.それから外に出て歩測の実習.そして来週の実験予定を伝えて本日の実験は終了した.予定していた角間キャンパス周辺の散策は,雨が降りそうなことや寒いこともあって中止した.

4月19日:野外調査実習(金沢市野田山)

 好天のもとでの野外実習となった.大学のマイクロバスで野田山へ.現地到着後に実習について簡単に説明しさっそく歩き始める.まず道路端に露出している段丘礫層をたたいてもらう.そのまま道路に沿って露頭を観察する予定だったが,第3金曜日のせいか廃棄物処理場へ向かうダンプが狭い道路をひっきりなしに走って危ないこときわまりない.そこでちょっとした崖をのぼって大桑層の砂岩をみてもらったあと,まっすぐに「烏骨鶏の里」付近に露出する高窪層の泥岩へ,そして下荒屋層となる凝灰岩の露頭をとばして朝ケ屋層の凝灰質泥岩をみてもらった.今回はカメラを忘れたために画像はなし.


4月26日:野外調査実習(金沢市上辰巳)

 犀川沿いを最初の露頭へと歩く.川に入ったり崖をつたったり,受講生たちにとってはスリルのある道のりだったようだ.


 砂子坂層の露頭をまず観察してもらう.粗粒の凝灰質砂岩には貝化石や大型有孔虫化石が含まれている.受講生たちに観察してもらったあとで砂子坂層の岩相や日本海の地史の概略を説明する.続いて加藤さんが産出化石について説明を加える.

 犀川を渡って対岸から地層の傾斜などを観察してもらう.TAの陰地君が元の川岸まで引き返してスケールになってくれた.

 そしてふたたび川をわたってこの日最後の露頭を見にいった.植物化石が多産する砂子坂層上部の凝灰質泥岩がここに露出している.

 日が傾きかけたころになってバスへと引き返した.研究室関係者のみはなぜかずぶぬれになっていた(「研究室所属学生」の「研究活動などの記録」参照).

5月10日・17日:地形図学,地質図学実習(地学学生実験室)

 塚脇・加藤ともに出張だったため,教育学部の酒寄さんならびにTA2名が図学実習をやってくれた.


5月24日:野外調査実習(金沢市大桑)

 この日の実験では「大桑貝殻橋」付近の犀川河原にでかけた.北陸には珍しいほどの好天だった.まず橋の上流側へ歩いて河原に露出する犀川層の凝灰質砂岩を観察してもらう.貝化石や軽石,そして炭化木片が見つかっていた. 犀川層の岩相や地質学的位置などを説明しておく.


 続いて犀川層が産出する貝化石についての説明が加藤さんからあった.ハンマーが河原に散らばっていた.

 下流側へと50mほど移動したところで犀川層と大桑層との不整合を探してもらう.浸食段差となった不整合上では一羽のサギが魚をねらっていた.

 大桑貝殻橋からみた上流側(左)と下流側(右).犀川の水量は比較的少なくて露頭の露出状況はわりと良好だった.

 そして下流側へと移動し,加藤さんの説明を受けたあとで貝化石の採集に入ってもらう.採集地の近くには3個の卵が入った鳥の巣があった.

 いい化石がなかなか採れなかったようだ.採集開始直後にはハンマーにも勢いがあった.しかし,その手がだんだんと下がってくる.

 実習終了後には恒例となった河原でのバーベキュー.肉が,野菜が,みるみるうちになくなってゆく.