地学実験の記録
2002年度後期(その1:10月4日〜10月11日)

10月4日:ガイダンス(地学学生実験室)

 後期の地学実験にしては珍しく7名もの受講生がいた.まず実験室で実験予定や内容などの説明をする.そして地図などを配布し実験で用いる地質調査用具一式の使い方を説明してから外に出た.最初に歩測の練習をやってもらう.それから角間キャンパスの裏山の散策に出かけることにした.


 教育学部の裏手をとおり室内プールの裏を抜けて坂道を上っていく.いちばん上の平坦面には枯れ草が山のように積まれていたが,それを乗り越えて狭い山道を登っていくと眼下に角間キャンパスが一望できるところに到着する.久しぶりの好天のおかげで戸室山がよく見えていた.

 山道をさらに歩いていく.学生たちはドングリを拾ったりヘビを見つけてよろこんだりしている.そのうちに「里山回廊」の標識にたどりついた.左手に行くと「奥卯辰山健民公園」にたどりつくのはよくわかる.しかし「金沢大学」の下向きの矢印はどの方向を意味しているのだろう.背後の崖を滑落しなければ大学へは到着できないように思う.

 さらに足を進めると小さいながらも感じのよい竹林に到着する.ここでちょっと休んでいるあいだにTAのふたりが沢へと降りる道を探しに行ってくれた.

 クマザサの生い茂る急斜面を沢の底へと降りていった.受講生たちは全員なかなかよいバランス感覚をもっているようだ.よろけながらもころぶことなく歩いている.

 沢を歩きながら露頭をいくつか見てもらった.ここでは大桑層の中部から上部にかけてを観察することができる.砂岩に刻み込まれた二枚貝の印象化石がいくつも見つかっていた.ある露頭の下では「文部省」と書かれた赤い標識が流水に洗い出されていた.
 沢をくだりきって大学のポンプ小屋のところから県道にでた.それから総合教育棟までぶらぶらと歩いて戻り,実験室で次回の予定などを知らせて解散した.

10月11日:野外調査実習(金沢市野田山)

 後期も好天のもとでの最初の野外実習となった.今日から1名増えて受講生が8名にもなった.受講生たちは大学のマイクロバスで野田山へ.塚脇のみは途中で東京に出発しなければならないためバイクで現地へ向かう.現地到着後に実習について簡単に説明しさっそく歩き始めた.道路に沿って露出している礫層をまずたたいてもらう.ここで「泥」と「砂」と「礫」のちがいについて説明する.


 さらに道路を歩き左手のちょっとした崖をのぼってもらった.ここには大桑層上部の砂岩が露出している.受講生たちはなれない崖登りを楽しんだようだ.ひとりひとりが太い竹を一本ずつ確保し,それに身を寄せながらの露頭観察になった.「マイ竹」という言葉が生まれた.

 ここに露出する大桑層は風化が著しい.その上位には道路際で最初に見たものと同じ礫層が位置している.「地層の重なり」について理解してもらう.

 崖を降りてちょっとだけ歩くとすぐに泥岩の露頭が見つかった.この露頭も風化が著しい.TAの陰地君がさっそく貝化石を見つけてくれる.

 この泥岩は道路に沿ってずっと露出している.

 露頭の風化は以前よりもさらに進んだようだ.新鮮な灰白色の部分がほとんど見つからない.

 さらに下位の地層へ向かおうかというところで出発時間になった.受講生たちを共同担当者の加藤さんとTAたちに残して空港へ向かった.
 

  • Camera: Casio G.Bros. GV-10
  • Lens: Casio Lens 4.6mm f.2.8