地学実験の記録
2003年度前期(その1:4月11日〜4月25日)

4月11日:ガイダンス(地学学生実験室)

 受講生は前期にしては5名と少なかった.男子が3名に女子が2名.女子が少ないのも珍しい.それに対して指導する側は教官2名にTA2名の4名.COE技術員・研究員の4名や再来週に配属となる新4年生がこれに加わることを考えると,研究室関係者が受講生の倍以上の数になってしまう.ひとつのテーブルを囲んで実験の概要を説明をしたあと,2回目のガイダンスに備えて午後1時半にいったん解散した.


 ガイダンスの合間に工学部で新4年生への研究室紹介をすませてくる.

 受講を決めた学生たちにそれぞれの調査用具をまず貸し与え,道具の使い方を簡単に説明しておく.それから実習をかねた散歩に出ることになったものの,あいにくの雨のため歩測実習のみで散歩は中止した.

 歩測実習後にまた実験室へ戻り,傾けた卓袱台を利用してクリノメーターの使い方を教え,来週の予定を伝えて本日の実験は終了した.

4月18日:野外調査実習(金沢市野田山)

 先週とはうってかわって好天のもとでのフィ−ルドとなった.暑くも寒くもない絶好の日和だ.大学のマイクロバスでまず野田山へ.墓地近くの公園で下車したあと今日の実習予定について受講生に簡単に説明しさっそく歩き始める.まず道路際に露出している段丘礫層をたたいてもらう.


 初めての地層に受講生たちはおそるおそるハンマーをふるう.しかし,すぐに勢いのいい音に変わっていった.この露頭を最初は好きに観察してもらい,それから礫とは何か,礫の形や配置などについて説明する.

 続いて道路を下って左手にある竹やぶに入る.この奥には大桑層上部の細粒砂岩が露出している.


 ここでも最初は好きに観察してもらった.断層らしきものがあることや,水平に縞模様が入っていることなど,受講生たちはなかなかいいところに目をつけていた.砂岩とは何か,断層について,そして平行葉理について説明したあと,最初に観察した礫岩との関係を確かめるため,右手の高いところにある砂岩と礫岩との境界を技術員の陰地君の案内で見に行ってもらった.

 それから道路をさらに下ってやはり左手にあるちょっとした斜面に登ってもらい,ここにも砂岩と礫岩との境界があることを示すことで,地層の境界面が水平に広がっていることを受講生たちに理解してもらう.

 道路をずっと下ったところに泥岩が露出しているのが見つかった.風化が進んだ露頭面はきわめて脆弱で表層部ならば指先でかんたんにつまみ取ることができる.いわゆる「高窪層」だ.この露頭では,泥岩とは何か,風化とは,などについて受講生に説明した.

 研究室でセメント壁登りのアトラクションをする地点にさしかかった.研究員の堂満君が意外に身軽なところを見せてくれる.

 そして烏骨鶏の里近くにある「高窪層」の新鮮な露頭へ受講生を案内した.この露頭には青灰色で緻密な泥岩が露出している.風化の有無で地層のみかけがどれほど異なるかを理解してもらう.古生物学を専攻する堂満君らが「高窪層」に含まれる有孔虫などの微化石について説明してくれる.

 知識のかわりに筋力で実習に貢献するTAもいる.新鮮な露頭面があらわになってくる.

 「高窪層」に挟在する白い凝灰岩を陰地君が説明し終えたところでこの露頭を後にした.

 道路を下りきるちょっと手前あたりになると下荒屋層の軽石質粗粒凝灰岩が連続するようになる.

 ここで凝灰岩をじっくりと観察してもらうつもりだったが,廃棄物処理場へ向かうトラックが狭い道路をあまりにもひんぱんに通るため,道路の末端に露出する朝ケ屋層の泥岩をさっと見終えたところで今日の実習をおしまいにした.

4月25日:地形図学実習(地学学生実験室)

 上辰巳へ野外調査実習にでかける予定だったが朝からの雨のため地形図学実習に差し替えた.黒板を使って地形図の重要性や等高線の意味についてまず説明し,それから3枚の練習問題に取り組んでもらう.


 受講生個別の指導は技術員の陰地君がほとんどやってくれた.5年目とあって手慣れたものだ.

 今週から研究室に配属となった新4年生たちも同じ課題に取り組む.

 大植が雑ながらも手際よく課題をこなしていく.この課題には3人の研究員たちも手こずっているようだった.

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD, Casio G.Bros GV-10 and GV-20
  • Lens: Super Fujinon 6.2mm f.2.8, Casio Lens 4.6mm f.2.8
  • 写真の一部は陰地章仁の撮影