地学実験の記録
2003年度前期(その2:5月2日〜5月16日)

5月2日:野外調査実習(その2:大桑)

 「大桑貝殻橋」付近の犀川河原に野外実習にでかけた.すばらしい好天に恵まれたものの犀川の水量は多かった.


 橋の上流側へ行って河原に露出する犀川層の凝灰質砂岩をまず観察してもらう.高い水位のために露頭が狭くなっていて全員が観察するにはきゅうくつだった.

 研究室のスタッフや新人学生たちも受講生たちといっしょになって露頭を叩く.

 地層の説明は技術員の陰地君がやってくれた.やはりまだぎこちない.犀川層の岩相や地質学的位置などを補足しておく.

 下流側へ移動して大桑層の下部をまずみてもらう.それから「不整合」の地質学的な意味について説明したうえで,見たばかりの中新統犀川層と更新統大桑層の不整合を探してもらった.全員が足下の地層を叩きながら上流側へと引き返していく.

 地層を叩くのにくたびれてしゃがみ込む受講生がいる.その一方で遠くを地道にひとり叩く学生もいる.

 全員が不整合の位置と意味とを確認したところでさらに下流へとくだった.高い水位のせいで大桑層下部に挟在する凝灰岩群はどれも見ることができない.

 そして貝化石の採集実習に入る.加藤さんから大桑層の貝化石の特徴や化石の採集方法についての説明をうけたあとで,受講生たちはそれぞれに場所を決めて採集にとりかかった.

 受講生にまじって研究室の新人たちも化石の採集にとりくんでいた.

 不慣れで地道な作業だけに受講生たちはだんだんとくたびれてきたようだ.

 この化石採集に飛び入りで参加した2年生たちもいる.

 ここしばらく雨が降らなかったわりには化石はよく洗い出されていた.その露頭面に張り付くようにして採集を続ける.

 ルーペを片手にさらに張り付くティーチングアシスタントもいる.

 うららかな天気の日だった.北陸には珍しいほどの青空が終日広がっていた.

 実習が終わるころにはバーベキュー用の炭火がコンロに赤くおこっていた.

5月9日:野外調査実習(その3:上辰巳)

 犀川沿いを最初の露頭へ歩く.犀川の水量はこの日も多かった.川に入ったり崖をつたったり骨の折れる道のりだった.技術員の陰地君や研究員の田中君らが受講生らの足場を確保してくれる.


 ようやくのことで最初の露頭に到着した.

 河岸に沿って露出する砂子坂層をまず自由に観察してもらった.

 この日もすばらしい天気に恵まれていた.しかし雪解け水が流れる川の水は冷たかった.

 受講生たちに地層を観察してもらったあとで,砂子坂層の岩相や日本海の地史の概略を説明する.

 砂子坂層には貝化石や大型有孔虫化石が含まれている.加藤さんが産出する化石について説明を加える.

 それから対岸へと川をわたる.水量が多いため全員がわたるのに一苦労する.

 大きな転石や浅瀬をつたうように対岸へ移動する.水が切れるように冷たい.

 全員がわたり終えたと思って振り返ってみたら,新4年生の大植の姿がなぜか対岸のはるか遠くにあった.

 岸辺から対岸にみえる地層の全景を観察してもらう.ここでの砂子坂層は下流側へほんのわずかに傾いている.

 さらに下流へ向かった.ふたたび川に入る.水はあいかわらず冷たい.

 駐車場にいったん上ってからふたたび川岸へ降りる.目の前の巨大な崖に露出する砂子坂層には大きな斜交層理が観察される.崖の下の方が一部崩落していた.

 川岸に見事な級化層理をみせる転石があった.まさに教科書的だ.基底の浸食面や最上部の脱水構造などもよく見ることができた.

 そこからさらに下流へくだった.河原のレキには覆瓦構造が観察される.

 川沿いは日陰になっているせいかちょっと肌寒い.

 そしてふたたび川をわたってこの日最後の露頭を見にいった.

 植物化石が多産する砂子坂層上部の凝灰質泥岩がここに露出している.そのはずれにあの崖がある.(この続きは「研究室所属者たち」の「研究活動の記録」で)

5月17日:貝化石の整形と鑑定実習(地学学生実験室)

 国外渡航中.共同担当者の加藤さんの指導で貝化石の整形と鑑定実習があったようだ.学生実験室の作業台には整形途中の貝化石と整形器具とが置いてあった.

 

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD, Canon PowerShot S20 and Casio G. Bros GV-10
  • Lens: Super Fujinon 6.2mm f.2.8, Canon Zoom Lens 6.5-13mm f.2.9-4.0 and Casio Lens 4.6mm f.2.8