地学実験の記録
2003年度後期(その1:10月3日〜10月17日)

10月3日:ガイダンス(地学学生実験室・角間キャンパス)

 今学期の受講生は女子4名,男子2名の計6名だった.最近の後期としては平均的な数だろう.学生実験室でのガイダンスのあと,午後2時半から外に出た.総合教育棟近くでまず歩測の実習を行う.秋晴れのすばらしい天気だった.


 歩測を終えて角間キャンパスの散策にでかけた.プール裏のいつもの散策路の入り口が枯れ草の廃棄場となっていたため,駐車場横の道路をくだって沢の出口へまっすぐ向かうことにする.

 10月初頭とあって沢はまだ草深かった.背丈ほどもある草藪をかき分けながら奥へと入り,すぐ右手に現れた地層を受講生にみてもらう.大桑層中部の青灰色細粒砂岩だ.

 受講生たちは初めて手にするハンマーをぎこちなくふるう.地層がどんなところでみられるかについて説明しておく.また,生痕化石についてもちょっとばかり説明しておいた.

 沢をさらに奥へ入ると風化が著しいながらも化石を産する大桑層の砂岩があった.いっしんにハンマーをふるう受講生もいる.巻貝や二枚貝の印象化石が見つかっていた.

 ここで技術員の陰地章仁が杉登りのパフォーマンスをみせてくれる.

 地層をざっとながめたところで沢を引き返した.

 キャンパスへと通じる歩道をさらに引き返す.

 青空に木々の緑が映えていた.セイタカアワダチソウまできれいに見えるから不思議だ.

 駐車場をとおってキャンパス内へ.

 坂を上って総合教育棟へ向かう.

10月10日:野外調査実習(その1:野田山)

 国外渡航中だったため,野田山での野外調査実習を共同担当者の加藤さんと技術員の陰地君がやってくれた.


10月17日:野外調査実習(その2:上辰巳)

 晴天に恵まれたこの日は上辰巳へ2回目の野外調査実習へでかけた.ロープが張られた駐車場にマイクロバスをとめてもらい,そこから犀川を川沿いルートと崖伝いルートとに分かれて露頭へと向かった.


 犀川が左へ大きく曲がるところが最初の観察露頭だ.ここには中期中新統砂子坂層が露出している.ここで受講生たちに時間をあたえてそれぞれ好きなように地層を観察してもらう.受講生たちもスタッフたちも露頭に張り付くものの,技術員の陰地章仁のみはなぜか川の中をのぞき込んでいた.

 思い思いにハンマーをふるう受講生たち.秋晴れのほんとうによい天気だった.

 ハンマーで岩石を叩き,観察結果をノートに書きとどめる.

 地層の説明は陰地君がやってくれる.化石についてはポスドクの堂満華子が説明してくれる.ふたりの解説にいくらかの補足を加えておく.

 この露頭での観察を終えたところでやってきたルートを引き返した.犀川の水はいつになく少なかった.

 引き返す途中で川の中ほどへ受講生たちを案内し,砂子坂層を切る断層群をみてもらう.川の水は思ったよりも温かい.

 そしてバスが待つ駐車場へといったん引き返した.

 駐車場を素通りしてふたたび犀川の河原へ降りた.その対岸には斜交層理の発達する砂子坂層の最上部が露出している.その上位には七曲層の凝灰角礫岩がある.崖に近づくと落石の危険があったため,河原の転石を受講生たちに観察してもらった.

 そこから川伝いに最後の露頭へ向かった.流れが弱いながらも川を横切る受講生たちをスタッフたちが補助してくれる.

 この露頭には灰白色の凝灰質泥岩が露出している.木の葉や枝などの植物化石がたくさんみつかるところだ.

 柔らかい泥岩に受講生たちがハンマーをふるいつづける.きれいな木の葉の化石が見つかっていたようだ.ここで研究室の陰地章仁と大植靖士の姿が見えなくなった(詳しくは「研究室所属者たち」のページで).

 日が傾いた駐車場をあとにする.ここでなぜか服を脱ぎ始める大植がいる.なぜか水を滴らせた陰地が手にビニール袋を持って立っている.

 引き返す道路から駐車場を見下ろすと,そこには半裸になった大植の姿があった.美しい秋の風景が台無しだ・・・.

  • Camera: Fuji BigJob DS-270HD
  • Lens: Super Fujinon 6.2mm f.2.8