地学実験の記録
2005年度後期(その1:9月30日〜10月21日)

9月30日:ガイダンス(地学学生実験室) ※東南アジア出張中

 出張中だったためTAの大植靖士らが共同担当者の加藤道雄さんの援護をあおぎながらガイダンスを実施した.受講生が男子1名,女子4名だという連絡がメールでカンボジアへ届いた.


10月7日:地質図学実習(1:地形図の読み方)

 大学バスの予約が取れなかったため学生実験室で地形図の読み方の実習を行った.地形図からどのようなことが読み取れるかを黒板と金沢市地域の5万分の1地形図を使って説明し,それから地形図実習に取りかかってもらう.TAの3名が補助を務めてくれる.


 受講生たちは立体的な思考がまだ苦手なようだ.いくつかのお菓子を使って地形の読み取り方を覚えてもらう.

 あるいは空中写真を立体視してもらう.

 地形図実習の課題がだんだん仕上がっていく.午後5時半に今日の実験が終了.

10月14日:野外調査実習(1:金沢市野田山)

 午後から雲行きが怪しくなってきたが,予定どおり野田山へ野外調査実習に出かけた.墓地の駐車場でバスを降りる.今日の実習の要点と注意点をそこで説明し,現在位置を確認して最初の露頭へ向かう.道路際に露出する礫岩をまず観察してもらうことにした.


 露頭では受講生たちに自由な時間を与えて思い思いに地層を観察してもらった.

 道路にしゃがみ込んで礫をたたき割る受講生たち.最初にしてはハンマーの扱いがうまい.

 割れた礫の断面で岩石の種類を判断してもらう.そして礫岩の観察方法などを説明してこの露頭を後にしたが,このあたりでぽつぽつと雨が落ち始めてきた.


 雨が落ちる中,道路をさらに下っていった.

 道路が右へ曲がるあたりで竹林の中に入った.ここには大桑層の細粒砂岩が露出している.

 ここでも自由に地層を観察してもらう.そして最初に見た礫岩を探しに竹林の斜面をよじ登った.

 礫岩と砂岩との境界を斜面の上のほうで発見.ふたつの地層がどのように接しているかをしっかり見てもらい,それがどんな意味を持っているのか考えてもらってから斜面を下る.

 さらに別の斜面へ登り,ここでも礫岩と砂岩との境界を見てもらう.

 そして次の露頭へ移動した.

 道路の左側に砂岩の露頭が見つかった.さきほどの露頭と連続しているかどうかを考えてもらう.

 この砂岩からは二枚貝や巻貝の印象化石がたくさん見つかる.全員がひとつは見つけて満足のひととき.

 最後の泥岩の露頭へ向かう.泥岩の手触りをよく確かめてもらった.口で確かめてしまった学生もいた・・・・.

 雨があがる気配がなかったためここで実習を終えてバスへひきかえした.

10月21日:野外調査実習(2:金沢市上辰巳)

 午後から曇り空になったが予定どおり犀川上流の上辰巳へ実習に行った.河原で大学バスを降り,現在地を確かめてもらってからさっそく露頭へと向かう.秋だというのに植生は深かった.


 犀川の水がこれまでにないほど少ない.草をかき分けながら最初の露頭へ向かう.

 一番目の露頭に到着.受講生たちはまず自分自身の目で地層を観察することから始める.

 ここには中新統砂子坂層の石灰質砂岩が露出している.オパキュリナや貝などの化石が見つかる.

 観察を終えたあとこの地層について説明しそれからさらに上流へ向かった.

 河岸のちょっとした崖を伝いながら上流へ.

 受講生たちは思ったより上手に崖を伝い歩いていた.

 受講生の何人かはTAの大植に連れられてより安全な川伝いルートで上流へ向かう.

 2番目の露頭に到着する.ここにも砂子坂層を観察することができる.砂子坂層のもっている地質学的な意味についてここで説明する.

 ここで河原を横断して対岸へ.

 この露頭の全体像を対岸から観察する.ついでに河原の礫にみられるインブリケーションも眺める.

 ここから河床を歩いて下流へ向かった.

 その途中の河床で生痕化石を観察する.

 露頭に発達する正断層も見てもらう.

 橋をくぐってさらに下流へ.

 砂子坂層最上部に発達する大きな斜交層理を対岸から説明し,それから河原に落ちている七曲層の凝灰質礫岩を観察してもらった.

 凝灰岩に大きな角礫が交じっているのが不思議だったようだ.

 そして川をふたたび渉って最後の露頭となる砂子坂層の泥岩を観察してもらった.

 この露頭は植物化石を多産することで有名だ.ここで大植や坂井とちょっとイベント会場へ移動した.

 観察を終えた受講生たちがTAのふたりに連れられて川を渉って戻ってきた.

 いまの露頭を対岸から眺め,そして辰巳用水の取水口を見学して大学バスへ戻った.この2枚の画像はなぜか滲んでいる・・・.

  • Camera: Pentax Optio S4 and Casio G.Bros GV10
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5.8-17.4mm f.2.6-4.8 and Casio Lens 4.6mm f.2.8