地学実験の記録
2005年度後期(その2:10月28日〜11月11日)

10月28日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

 大学のバスが予約できなかったため官用車に受講生をのせて現地へ向かった.「おんまかいがら橋」付近の犀川河原に到着後,上流へやや移動してまず中新統犀川層の観察から実習にとりかかってもらう.秋晴れのいい天気だった.ポスドクの堂満華子も久しぶりに参加してくれた.


 学生たちが自分たちで観察している間は犀川層の岩相を見て回る.水に洗われたせいか貝化石や植物化石がよく見えていた.

 犀川の水位はあいからず低い.受講生たちは河床のあちこちを動き回りながら観察を続ける.

 犀川層を切るスラストもよく見えていた.学生たちが観察を終えたあとで犀川層について説明し,それから全員で下流へ移動した.

 下部更新統大桑層下部の露頭へ移動する.そして整合と不整合について説明したあと,受講生たちに下位の犀川層と上位の大桑層との不整合探しをやってもらう.

 このあたりの大桑層下部は泥質の細粒砂岩でできている.植物破片と円礫の密集層が挟在するが貝化石は見あたらない.

 不整合を探しながら受講生たちはだんだん上流へ移動していった.

 そして不整合面付近で全員がたちどまった.不整合がまず地形として現れることを河床の段差で説明する.

 そして両層の不整合面直上にある円礫層についても説明を加える.

 ここでいったん橋にあがって犀川を見下ろしてみた.水位が低い.受講生たちに凝灰岩を見せるためTAの大植靖士が下流側へ回り込んできた.

 この露頭説明は大植にまかせてみた.

 凝灰岩の地質学的な意味や堆積機構などを大阪弁ながらもなかなかうまく説明している.

 さらに下流へ移動して化石採集地へ向かった.河原へ降りる階段付近には微少な虫の柱が立っていた.

 貝化石が豊富な大桑層中部で化石最終を始めてもらう.

 このあたりにくると犀川の水位はそう低いようには見えなかった.河道の形状が変わったせいなのだろうか.

 河床の細粒砂岩は生痕化石が見事に密集している.

 受講生たちは下流側で化石を掘っていた.新しくできつつある環状道路がとおくに見える.

 慣れない手つきでハンマーをふるう受講生たち.大きな化石はあまり見つかっていないようだった.

 大きなホタテガイの化石らしいものを見つけた学生がいた.その採集を大植が手伝いはじめたが時間がなくて途中であきらめた.採集した化石を新聞紙にくるみ,午後4時半に現地を出発して大学へ戻った.

11月4日:大学祭のため休講


11月11日:野外調査実習(4:金沢市小二又)

 小回りのきく官用車で受講生とともに角間キャンパスの裏手となる小二又に向かった.キャンパスから約10分で現地に到着.今日の実習内容を説明してすぐに実習にとりかかってもらう.もう11月半ばだというのに植生はまだ深い.


 その植生をかき分けながら金腐川沿いの露頭へ下っていく.濡れた蔓草が足にからみつき歩きにくい.

 最初の露頭に到着した.この露頭の風化もかなり進んでいるがさっそく観察にとりかかってもらう.

 ここには貝化石を含む大桑層中部の暗灰色細粒砂岩が露出している.巻貝の化石が見つかった.

 受講生たちが観察している間に,TAの大植靖士が脱出用足場を露頭面に作る.

 その足場を使ってTAの竹内朝美がまず道路へテスト登攀.彼女に続いて受講生たちも道路へ上がる.

 道路から地すべり地形について説明したあと金腐川へ降りるルートへ向かう.しかし,下ばえが深く足を滑らせる危険性があったため川へ降りることはとりやめた.

 水田跡を迂回しながらふたたび道路へ.そして道路から川に露出する露頭を眺めながら下流へ移動した.

 移動途中に工事中ののり面があった.

 のり面の側面はいい露頭になっている.ハンマーを使わないように注意を出してから観察にかかってもらう.

 ここにも大桑層中部の細粒砂岩が露出していた.貝化石層が挟在している.

 足元にもいい露出があった.巻貝の大きな化石がここでも見つかる.

 さらに道路を歩いて大桑層と下位の上涌波凝灰岩とが不整合で接する露頭へ到着.しかし,ここも下ばえが深くて川へ降りることは断念した.大植が川に降りて凝灰岩の試料を採ってきてくれる.

 小二又のバス停付近に露出する上涌波凝灰岩へ受講生を案内する.

 大きな軽石がたくさん入っていること,空隙率がきわめて高くてもろいこと,平行葉理が発達すること,などを受講生によく観察してもらう.

 その近くには凝灰岩から洗い出された軽石の山があった.そのさらに奥にも上涌波凝灰岩の露出が続く.

 残念ながら凝灰岩の下位層がここでは見つからなかった.官用車に全員で乗り込み下位層捜しに出かけた.

 車で10分ほど移動したところにある上涌波で下位となる高窪層の露頭を観察してもらう.そして金沢市田上へ移動して戸室山の崩壊堆積物や太陽が丘の造成地などを見学しながら大学へ戻った.

  • Camera: Pentax Optio S4 and Casio G.Bros GV10
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5.8-17.4mm f.2.6-4.8 and Casio Lens 4.6mm f.2.8