地学実験の記録
2006年度前期(その1:4月14日〜5月19日)

2006年4月14日:ガイダンス(地学学生実験室)

 受講生は女子が3名に男子が1名と例年になく少ない.学生実験室でこの実験の概要をまず説明する.登録確定後に角間キャンパスの散策に入る予定だったが,あいにくの雨のため総合教育棟前での歩測の練習のみでおしまいにした. 画像記録なし.


2006年4月21日:地質図学実習(1:地形図の読み方) ※カンボジア出張中

 共同担当者の加藤さんの指導で大桑へ実習に行く予定だったが先週に続いての雨だったようだ.学生実験室での地形図学実習を実施してもらった.画像記録なし.


2006年4月28日:野外調査実習(1:金沢市野田山)

 昨夜の雨がうそのような好天になった.予定どおりに第一回目の野外調査実習を実施する.午後1時すぎに官用車で角間キャンパスを出発.完成したばかりの環状道路のおかげで15分足らずで現地に到着した.実習目的や注意点などを説明したあと林道を平栗方面へ歩き始める.野田山にはまだ桜が残っていた.


 林道沿いの最初の露頭に到着.まず受講生たちに好きに地層を観察してもらう.ハンマーをふるう手つきは危なっかしいがそれでも全員が地層を掘りまくっていた.

 ここには段丘礫層と思われる地層が露出している.淘汰不良の円礫を主体とするが粘土からのみなる部分もある.いずれも風化が著しい.

 林道をやや下って竹林の中にある次の露頭に到着した.

 受講生たちは竹林内に散らばって地層の観察を開始する.

 ここに露出するのは大桑層の細粒砂岩だ.砂岩とはどのような岩石かをここで理解してもらう.

 さらに足を進めて同じ細粒砂岩ながらも貝の印象化石がみつかる露頭を観察する.ここでしばらく貝化石の採集を楽しんでもらう.

 貝化石の見つかる細粒砂岩からやや下ったところに泥岩が露出している.御峰層の泥岩だ.しかし,この風化が著しいため観察は簡単に済ませて次の露頭へ向かった.

 林道沿いに次の露頭があった.やはり御峰層の泥岩だ.前の露頭よりも規模は大きくなるがやはり風化が著しい.

 さらに林道を下って次の露頭へ.規模がさらに大きくなるがやはり風化の進んだ泥岩だった.

 そして烏骨鶏の里近くの御峰層の露頭に到着した.風化をあまり被っていないため新鮮な泥岩を観察してもらえるところだ.

 学生たちの指導をTAの三宅にまかせて官用車を取りに駐車場へ戻った.

 車で露頭へ戻ったところでいきなり大きな予定変更となった.社長直々の案内による烏骨鶏飼育場の見学だ.見学後,烏骨鶏の生み立てタマゴをひとつずつもらって大学へ戻った.たった2個で市販価格1000円!

2006年5月5日:子どもの日


2006年5月12日:野外調査実習(2:金沢市上辰巳)

 朝からいい天気だった.予定どおりに2回目の野外調査実習を金沢市の上辰巳で実施する.午後1時すぎに官用車で角間キャンパスを出発.今日も環状道路のおかげで例年よりも早く現地に到着できた.実習目的や注意点などを説明したあと犀川河床に降りて上流へ100mほど移動する.


 最初の露頭には砂子坂層の凝灰質中粒砂岩が露出する.大型有孔虫化石を多量に含むものだ.その下位には黒色頁岩といっていいほどに硬い泥岩が位置する.

 受講生達にはまず自由に地層を観察してもらった.そして,地質について説明し,その後は加藤さんが古生物についての説明を加えてくれた.

 次の露頭へ移動しようとしたが,今日の犀川は例年にないほどに水量が多かった.1メートルくらいは高いだろう.川沿いルートでは流されてしまいそうなので,全員で崖伝いルートをさらに上流へ向かった.受講生たちは足取りがやや不安ながらも無難についてきてくれる.

 犀川が流れを北へ変えるあたりにある露頭に到着する.ここに露出するのも砂子坂層だが石灰質ノジュールがなぜか多産する.自由時間を設定してここでも受講生たちに自由に観察してもらう.

 凝灰質砂岩が緑色となるのもこの露頭の特徴だ.みごとな平行葉理が発達する部分もある.

 TAの三宅と相澤は新4年生たちをつれて上流側ルートを開拓に向かった.しかし戻ってくる気配がない.水量も多いし流れも速い.あきらめて受講生たちと来たとおりの崖伝いルートで戻ることにした.

 全員が落っこちることもなく崖を渉りきった.上流側ルートを探しにいった連中が戻ってくる気配はいまだにない.高い草藪の中に彼らの姿がときおり見える.

 ここで河床に露出する正断層群と生痕化石とを見る予定だったが,この水ではそれもかなわなかった.ちょっとした浅瀬で生痕化石だけを見てもらう.

 そして犀川左岸の大露頭に向かった.ここに露出するのも砂子坂層だ.これまで見てきたものよりも上位となる.中位層準あたりに発達する斜交層理の成因や地層の液状化,地層の垂直変化から地史を読み取る方法などを説明する.

 足元には砂子坂層の上位となる七曲層の軽石凝灰岩が落ちてきていた.これを使って上位層の説明もすませる.

 植物化石を採集する予定だった砂子坂層の泥岩へはどうやってもたどりつけそうになかった.研究室恒例の川渡りイベントも足場にたっするほどの水量ではあきらめるしかなかった.

 午後4時に現地を出発.小立野をとおって段丘の説明をしながら角間キャンパスへ戻った.

2006年5月19日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

 朝から雨が降ったりやんだりの天気だったが思い切って3回目の野外調査実習に出かけた.角間キャンパスから10分ほどで大桑の犀川河床に到着した.


 犀川の水量はかなり多い.同行した研究室の新4年生たちは思い思いの調査を始める.

 地学実験の受講生たちにはまず現在地の確認から始めてもらった.犀川にかかる「大桑貝殻橋」が地図上のよい目印になる.

 現在地の確認後,川沿いの土手を上流側へ100mほど歩いたところで河床へ降りた.このあたりには中新統犀川層の凝灰質中粒砂岩が分布する.水の多さに露頭面積がとても小さくなっていたが,受講生たちはそこで地層の観察を開始した.

 灰白色の凝灰質砂岩には炭化植物や貝化石が散在する.

 石灰質ノジュールや生痕化石も見つかる.

 河床には断層か節理かが幾本も刻み込まれている.

 生痕が発達する木片,そしてわりと大きなホタテガイ.

 ときおり雨が降ってくるあいにくの天気だったが受講生たちは思い思いの興味で観察を続けている.

 五十嵐君がホタテガイを掘り始めた.ちょっと壊れてしまったがきれいな化石が採集できた.

 下流側へやや歩くと巨大な石灰質ノジュール層がある.このあたりの犀川層は炭化植物を多産するようだ.

 午後3時前から雨脚が強くなってきた.それぞれの戦果を手に大学へ戻った.

 午後3時すぎに角間キャンパスに到着.次回以降の実験予定を説明して解散.

  • Camera: Pentax Optio S4, Pentax Optio WPi and Fuji BigJob DS-270HD
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5.8-17.4mm f.2.6-4.8, SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and Super EBC Fujinon 6.2mm f.2.8