地学実験の記録
2007年度前期(その3:6月8日〜)

2007年6月8日:図学実習(3:地質図学実習,地学学生実験室)

  野外実習のつもりだったが天気予報どおりの雨になった.これで3週連続の雨だ.不満はつのるが3回目の図学実習として地質図学の練習問題を実験室でやることにした.黒板を使って地質図の意味や地質図学の基本的な方法を説明する.そしてイメージトレーニング用のバウムクーヘンを配布し,練習問題にさっそくとりくんでもらった.


 まずは簡単な6枚組の問題から.単純な地形に地層境界がひとつだけある.

 この練習問題では地層境界の傾斜が水平から垂直まで6通りに変化する.それに対応して地層境界線が地形図上にどのように表現されるかを考えてもらう.

 履修生たちはこの作業に最初はとまどっていたが,慣れてくるにつれて作業の手際がよくなってきたようだ.平行な補助線を図に引き,それらと等高線との交点を抜き出す.

 交点を連続する曲線で結んで1枚の作業が終了する.TAたちもお手本の作成にとりくんでいた.

 実験途中でなぜか地震避難実習・・・.この状態で家屋が倒壊したら脱出にさぞ困るだろう.

 午後5時に実習終了.そして,なぜか1時間後の午後6時に解散.

2007年6月15日:図学実習(4:空中写真の読み方,地学学生実験室)

  昨日から降り出した雨が午前中も残っていた.予定していた最後の野外実習はまた中止.これで4度目の延期になる.そこで空中写真の判読実習を実験室で行うことにした.黒板を使って空中写真の意味や判読方などをあらためて説明する.


 実物映写装置と大型テレビを使って実際の作業方法を説明.倉庫で拾ってきた廃棄品だがなかなか重宝だ.

 そして立体視装置を使って作業に入ってもらった.角間キャンパス周辺の空中写真からリニアメントを赤鉛筆で抜き出す.

 時間とともに赤線の数と密度が増えていく.

 午後も遅くになると天気が回復してきた.TAの小河原は実験室のすみで内職中・・・・.

 実習生全員がなかなかいい結果を出していた.彼らが読み取ったリニアメントについて地質学的な説明を加え,午後5時40分に実習終了.

2007年6月22日:野外調査実習(5:手取川)

  朝からときおり強い雨が降る最悪の天候だったが,これまで4回連続で野外実習が中止になっていたし,河川工学が専門の徳島大学の竹林さんがいらしていたこともあって,暴れ川で有名な手取川の河床・河岸地形の見学にでかけることにした.午後1時に公用車で角間キャンパスを出発.山側環状道路,そして加賀産業道路をとおって旧辰口町付近の手取川に到着.小雨の降る天気だったがここで下流をまず見学した.降り続く雨のため川は増水している.竹林さんが河床の礫や植生,生態系などについてじつにていねいに説明してくれる.


 続いて手取川中流となる手取峡谷の綿が滝へ.濡れて滑る階段を川へと下るといつも以上の水量の滝が見えてくる.川水は濁ってすっかり泥水になっている.

 このあたりの地質を構成する安山岩や凝灰岩について,そして地質の違いが地形の違いに直結することなどを説明する.

 竹林さんからは岩盤上を流れる堆積物についての説明がある.

 手取峡谷にかかるセメント橋でちょっと車を止めてみた.上流側,下流側ともにかなりの流れだ.

 上流へさらに移動して手取川ダムへ.日本最大級のロックフィルダムだ.ここではTAの神納君がダムについて解説してくれた.不足するところは竹林さんが補ってくれる.

 ダム湖のほとりへ移動.落石の危険があるため展望台はフェンスで閉鎖されていた.水路を横切って遊歩道へ移動する.

 遊歩道のほとりからダム湖を眺める.ほぼ満水状態だ.水路からは泥水がダム湖へはき出されている.

 ここで手取層群を構成する白亜紀堆積岩類について説明する.竹林さんからはダムの功罪や河川への影響についての説明がある.

 さらに上流へ移動したが桑島あたりで雨がさらに強くなってきた.化石壁を車の窓から眺めて金沢へ引き返した.午後5時ちょうどに角間キャンパスに到着.


2007年6月29日:古生物学実習(2:有孔虫の鏡下観察)

  この日も朝から雨だった.しかもときおり雷鳴がとどろく強い雨.これで金曜日は6週連続で雨ということになる.しかし,共同担当者の加藤さんによる有孔虫化石の鏡下観察を予定していたため,この天候に影響されることなる午後1時に実験が始まった.有孔虫化石についてまず説明がある.


 そして各自で有孔虫化石を鏡下で観察する.

 まず赤道太平洋の海底から回収された浮遊性有孔虫化石,続いて千里浜の現世底生有孔虫遺骸.

 群集スライドに拾い上げた有孔虫を種ごとにきちんと並べ,そのスケッチを取る.

 午後4時半に実験終了.それにしても湿度の高い日だった.

2007年7月6日:岩石学実習(1:教育学部地学実験室) ※カンボジア出張中

 共同担当者の酒寄さんによる岩石薄片試料の製作実習その1.


2007年7月13日:岩石学実習(2:教育学部地学実験室)

 共同担当者の酒寄さんによる岩石薄片試料の製作実習その2.


2007年7月20日:岩石学実習(3:教育学部地学実験室) ※大学院演習担当日

 共同担当者の酒寄さんによる岩石薄片試料の鏡下観察実習.


2007年7月27日:期末定期試験(地学学生実験室) ※大学院演習担当日

 自然科学研究科棟で開講している大学院の演習を1時間で切り上げて総合教育棟へ戻る.午後2時から例年どおりの期末試験を行いこれで今学期の地学実験がすべて終了した.その後はアイスクリームとTAの神納の学生証写真で軽い打ち上げ.


  • Camera: Pentax Optio WPi, Ricoh Caplio 500G Wide, and Fujitsu F703i
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3
  • GPS: Sony GPS-CS1K