地学実験の記録
2007年度前期(その2:5月11日〜6月1日)

2007年5月4日:みどりの日


2007年5月11日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

 朝からいい天気だった.金曜日はいつも好天に恵まれるのでありがたい.予定どおりに3回目の野外調査実習を大桑町の犀川河床で実施した.角間キャンパスを午後1時に官用車で出発.山側環状道路をとおってすぐに現地に到着.受講生にはさっそく現在地の確認をやってもらう.


 昨日の雷雨のため犀川の水位はやや高めだった.しかし,この程度ならば実習には支障ない.

 大桑貝殻橋から100mほど上流にある河岸の露頭で最初の自主観察をさっそく開始してもらう.

 ここに露出するのは中新統犀川層の凝灰質砂岩だ.暖流系の貝化石や生痕のある木片化石などが散見される.

 左右の殻がくっついたままの二枚貝化石や小さなホタテガイの化石もある.

 直径が2センチほどの軽石や小さな巻貝の化石も見つかる

 そして石灰質ノジュール.受講生のひとりがクルミの化石を見つけ出した.

 奇妙になまなましい生痕が残る植物片も見つかる.

 好天のもとでしばらく自主観察をやってもらい,その後に犀川層の地質時代や金沢の地史を考えるうえでの位置づけを説明する.

 下流へ移動.このあたりに分布するのは更新統大桑層の下部だ.植物化石に富む暗灰色の砂質泥岩を主体とする.

 ここで受講生たちに大桑層と犀川層の不整合を探してもらう.犀川の水に洗われた不整合面はみごとな平面になっている.

 大桑貝殻橋をこえてそのやや上流の大桑層で白色凝灰岩を観察する.このあたりになると大桑層も青灰色細粒砂岩の中部となり,貝化石が散見されるようになる.

 そして最後の露頭へ全員で移動する.

 いつもの場所で貝化石の採集をやってもらう.ここで採集した貝化石は古生物学実習の材料にもなる.しかし,今回はいい化石がなかなか見つからないようだった.

 河床には特殊な道具で掘ったらしい痕跡が残っていた.河岸の崖にも同じ削り跡が残っている.化石マニアの仕業だろうか.あまり愉快なものではない.

 開始後1時間が経過してもそれほどの収穫はないようだった.

 TAの神納がつるはしで受講生を援護する.しかし,その結果は・・・・.

 午後4時すぎに実習終了.採集した貝化石を新聞紙とビニール袋に包んで角間キャンパスへ引き返す.学生実験室で化石を台に広げ,それから野帳の清書.そして午後5時に終了.

2007年5月18日:図学実習(1:地形図の読み方,地学学生実験室) ※カンボジア出張中

 カンボジアへの出張があったため,共同担当者の高原さんの監督のもと,TAのふたりに地形図学実習を頼んでおいた.帰国して実験室に入ってみたらTAたちの苦労の跡が黒板にしっかりと残っていた.なかなか丁寧に教えてくれたようだ.


 説明すべきところはちゃんと説明してくれたようだ.ただ,左端の図は何の説明なのかよくわからない.

2007年5月25日:図学実習(2:空中写真の読み方,地学学生実験室)

  野外実習の予定だったが朝からあいにくの雨になった.そのため前回に引き続いての図学実習を実験室で行うことにした.地形にみるリニアメントの意味やリニアメントがどのような地質構造を反映するかなどを黒板を使ってまず説明する.そしてキャンパス周辺の地形図を用いて水系図の作成にとりかかってもらった.


 2万5千分の1地形図にトレーシングペーパーを重ね,その上に青鉛筆で水系をていねいになぞって描く.だんだんとできあがってはいくものの,初めての作業とあって谷系を認識するのに履修生たちはてまどっているようだ.

 その間にTAの小河原君が空中写真からリニアメントを読み取るための手本を作成してくれる.

 リニアメントを読み取る実習までやるつもりだったが,水系図がある程度できあがったところで時間切れ.次回への持ち越しになった.

2007年6月1日:古生物学実習(1:貝化石の整形と鑑定)

 朝から雨が降り続く肌寒い日だった.雨はお昼前にやんでくれたが沢の増水のため室内実習に切り替えることにした.野外実習で採集してきた貝化石の整形と鑑定を行う.化石を砂岩から取り出す方法やそれをきれいに整形する方法をおおざっぱに説明してすぐに実習を始める.新聞紙に包まれた化石はすっかり乾いていた.


 化石にくっついた砂岩を千枚通しを使ってかき取る.

 固く凝固した砂も千枚通しで静かにつついてはぎ取る.

 化石の表面に残った砂粒子はやわらかい歯ブラシでていねいに取り除く.

 植物の種が見つかった.魚の歯らしい骨のかけらも見つかる.

 図鑑と比べながら化石に名前を付けておしまい.砂岩のかけらが実験台に残る.

 床に落ちた砂粒をはき集めて午後6時ちょうどに実験終了.

  • Camera: Ricoh Caplio 500G wide, Canon PowerShot S20 and Pentax Optio WPi
  • Lens: Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3, Canon Zoom Lens 6.5-13mm f.2.9-4.0 and SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8
  • GPS: Sony GPS-CS1K