地学実験の記録
2008年度前期(その3:5月23日〜6月20日)

2008年5月23日: 野外調査実習(5:小二又)

 今日は地学実験の野外実習最終回.実際的な地質調査を履修生たちにちょっとばかり味わってもらうため,角間キャンパスの北となる金腐川沿いを地層をみながら歩くことにした.キャンパスをバスで午後1時すぎに出発.金沢市東部のゴミ処理場近くの四つ角で下車.ここで今日の注意点などを伝えたあと,金腐川沿いの最初の露頭(1)へ下りた.この露頭をまずは自由に観察してもらう.地層の傾斜方向とこれまでみてきた地層との岩相の類似性への注目を求める.


 ここに露出するのは下部更新統の大桑層中部.青灰色〜暗灰色の細粒砂岩.粒がよくそろった細粒砂からなる.生痕化石や貝化石が多産する.

 観察を終えたら草やぶの斜面をよじ登って次の露頭へ移動.数年前,ここでマムシが出現したことを思い出した.

 道路を歩きながら地すべり地形の説明など.

 2番目の露頭は道路からやや入ったところにある法面.ここにも貝化石を豊富にふくむ大桑層中部の細粒砂岩がある.

 さらに次の露頭へ移動する.実習用に足場を作ってある小さな沢へ入る予定だったが,その入り口までがかなりのぬかるみになっていたためここでの観察は中止.金腐川へ下りることも考えていたが足場があった斜面が護岸工事で消失していたためこれも中止.

 3番目の露頭として道路沿いの切り割りを観察することにした.ゴミ収集車が道路を走りすぎていく.TAの橋本がスピーカーを片手に交通情報を伝えてくれる.

 ここに露出するのは鮮新統高窪層最上部の上涌波凝灰岩.大きな白色軽石を多量にふくむ脆弱な凝灰岩だ.今日も研究室の4年生たちが地学実験に参加.口笛がうまいか下手かがちょっとした話題となる.

 さらに歩いたところで対岸の崖にみえる地層の観察(4).遠くにみえる層理面がここで逆方向に傾斜することに注目してもらう.

 そして小二又のバス停近くの露頭の観察.ここに露出するのも上涌波凝灰岩だ.このあたりでは斜交層理の発達がよく観察される.

 観察後は露頭前で学生同士のディスカッション.露頭に背を向けての討論はとても不自然.満面の笑顔はさらに不自然.

 ノートをとる真剣なまなざしにも不自然さがただよう.

 午後3時半に大学のバスに乗車して角間キャンパスへ.実験室にて次週以降の実習予定について説明し解散.

今日の観察露頭の位置


2008年5月30日:土質力学実習(1:地学学生実験室) ※カンボジア出張中

 共同担当者の高原さんが液状化の実習をやってくれた. 以下,実験中のスナップ写真.(撮影:橋詰朝美・正井 晶)








2008年6月6日:土質力学実習(2:地学学生実験室) ※カンボジア出張中

 この日も高原さんの担当.土質力学の演習だったらしい.


2008年6月13日:古生物学実習(貝化石の整形と鑑定)

 今日は共同担当者の加藤さんによる貝化石の整形と鑑定実習.担当外だったが実験室のようすをときおり見に行く.


 実験終了後の不思議なオブジェと不思議な笑顔・・・・.

 それぞれが持参した箱にクリーニングと鑑定の終わった貝化石を詰め込んで午後4時に終了.

2008年6月20日:地形図学実習(2:地形図と空中写真の読み方)

 「地形から地質構造を読む」をテーマに実習を行った.断層や地層の硬軟が地形に出現することをまず黒板を使って説明し,それから水系図の書き方と読み方,空中写真の意味などを説明する.そして金沢大学周辺の地形図などを使って地形のリニアメントを読み取る作業に入ってもらった.画像記録はなし.

 これで今学期の地学実験の担当がほぼ終了.次回からは酒寄さんの担当で岩石学実習が始まる.


  • Camera: Pentax Optio WPi, Pentax Optio W30 and Pentax Optio S10
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and SMC Pentax Zoom 7.9-23.7mm f.2.8-5.4
  • GPS: Sony GPS CS-1K