地学実験の記録
2008年度前期(その2:5月2日〜5月16日)

2008年5月2日:野外調査実習(2:上辰巳)

 午後1時に学生実験室を出発して総合教育1号館前でバスに乗車. 今回はマイクロバスだったため総合教育棟の公用車を併用して上辰巳の実習地に向かった.山側環状道路から末町をとおって午後1時半に現地到着.辰巳ダム工事現場の駐車場で実習上の注意点を伝え犀川左岸の最初の観察地点(1)へ下りる.


 犀川の水位がやや高いため,河床にわずかに露出する砂子坂層の凝灰質砂岩をまず観察してもらう.

 川岸にへばりつきながらの観察.澄んだ水底に凝灰質砂岩のうす緑色が鮮やかだ.

 ひととおりの観察が終わったら対岸の第二地点へ移動.TAたちが履修生たちを案内してくれる.

 希望者は犀川を渉って対岸へ移動.研究室の4年生が彼女らを先導する.


 渡渉グループは早々と実習地に到着.河岸を大回りしてやってくる残りのグループが遠くに見える.

 全員がそろったところで左岸側(2)で地層の観察を開始.砂子坂層に含まれる化石や鉱物にとくに注目してもらう.

 渡渉グループは河岸でひと休み.

 ウニや巻貝の化石がみつかっていた.全員が観察を終えたところで3番目の地点へ移動する.

 この地点(3)では遠くから砂子坂層最上部に発達する斜交層理を観察する.その後は河床に落ちている七曲層の凝灰角礫岩の観察.

 辰巳用水の取水口を見学し,午後3時半にマイクロバスへ.

 午後4時前に角間キャンパスに到着.実験終了.

今日の露頭位置

※Google Earthの金沢付近の画像がいつの間にか冬のものになっていた.


2008年5月9日: 野外調査実習(3:大桑)

 角間キャンパス内での地質調査実習の予定だったが,幸いにも大学バスの予約がとれたため大桑町の犀川で実習を行うことにした.いつもどおりに総合教育1号館前でバスに乗車.山側環状道路をとおってすぐに現地に到着.野球場の駐車場で実習上の留意点などを伝えすぐに河原へ下りた.


 貝化石が散乱する河原で大桑層の説明や化石採集の注意点などを学生に伝え,さっそく採集にとりかかってもらった.学生たちは思い思いの場所で採集を開始する.

 大きな貝化石がすぐにみつかる.とりあげるときにちょっと壊れたもののなんとか採集に成功.

 不慣れな手つきながらもハンマーとタガネでひたすら掘りまくる.

 下流側にも学生たちの一群がいた.

 力まかせに地層を掘ったり,掘り上げた砂岩を地道にくずしたり採集方法はいろいろだ.

 小さいながらも合弁の二枚貝化石がみつかる.

 TAの橋本が合弁の大きなホタテガイをみつけだした.専門外ながらもTA2年目とあってさすがに手慣れてきたようだ.

 男子学生が集まっているあたりでは大きな貝化石がたくさんみつかっていた.

 橋本の指導で大きな化石を地層の中から掘り上げる.

 午後3時半に実習終了.掘った化石を新聞紙でていねいにつつんでバスへ引き返した.

 午後4時前に角間キャンパスに到着.実験室で化石を乾燥させて実験終了.

今日の実習地


2008年5月16日: 野外調査実習(4:大桑)

 朝から好天に恵まれた.予定どおり大桑町の犀川河原で野外実習.前回と同じ場所だが大桑貝殻橋のやや上流側になる.午後1時すぎに総合教育1号館前をバスで出発し10分ほどで実習地に到着.現在地の確認ののち,貝殻橋から80mほど上流にある犀川層の露頭へ移動した.ここで履修生たちに「地層に含まれる4つのもの」を探すように指示し自由観察に入ってもらう.


 学生たちは露頭にしゃがみ込んで地層を掘り始める.白色の「軽石」がすぐに見つかっていた.

 貝化石もすぐに見つかる.寒流系の大桑層と違い,暖流系のものであることを説明する.

 30分ほどで4つのものがそろった.貝化石,植物化石,軽石,そして火山岩の角礫.

 犀川層の地層そのものや地質時代などについておおまかに説明し,これらの4つから考えられる当時の自然環境について思いを巡らせてもらったのち,下流側へ全員で移動した.

 貝殻橋近くで足下の露頭が下部更新統の大桑層であることを説明する.最初に観察した地層が中新統であること,そして両者の間に不整合があることを説明し,その不整合が河原のどこにあるのか学生たちに探してもらった.

 学生たちは河原に広がって足下の地層を叩きはじめた.しかし動きはあまりよくない.同じところばかりを叩くばかりで広い範囲にわたって観察しようとはしない.

 しばらくののちに一部の学生がようやく上流の犀川層の分布域へ移動していった.

 制限時間が過ぎた.正解者はゼロ.不整合面上で不整合が川の段差となって現れていることや,基底礫の存在などを説明しておく.ついでに犀川層に特徴的な石灰質ノジュールについても説明を加える.学生が割ったノジュールからは生痕化石が発達する植物化石や安山岩の円礫などが見つかった.

 さらに下流へ移動して貝殻橋直下で大桑層下部の岩相観察.しかし学生たちはもうかなりくたびれているようだった.

 大桑層下部には珍しい貝化石がここで発見される.河原に露出する凝灰岩を観察して実習終了.駐車場のバスに引き返した.

 山側環状道路のおかげですぐに角間キャンパスに到着.実験室にて解散.

今日の実習地


  • Camera: Pentax Optio WPi and W30
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8
  • GPS: Sony GPS CS-1K