地学実験の記録
2009年度前期(その1:4月10日〜5月1日)

2009年4月10日:ガイダンス(地学学生実験室)

 履修登録週間の初日にあたったせいか,受講予定者は29名と昨年にも増しての多さだった.実験室で地学実験の目的や予定などについてまず説明する.そしてハンマーなどの実習道具一式を配布したがルーペやゴーグルがまだ足りなかった.


 その後は総合教育2号館前で歩測の練習.50mの距離を静かに往復して自分の一歩の長さを測ってもらう.ここまでやって初日の実験終了.

2009年4月17日:野外調査実習(1:金沢市野田山)

 朝方はまだこぬか雨が降っていたが,それもお昼前にはあがって日が差し込んできた.予定どおり野外実習の一回目を行うことにする.履修者が3名減って26名になったがそれでもかなりの数だ.実験前に全員分のヘルメットを準備しておく.


 午後1時に学生実験室を出発し大学のマイクロバスで野田山の実習地へ向かった.15分ほどで現地に到着.まずは地形図上で現在地の確認.そして林道を歩いて最初の露頭へ到着した.この露頭では弱固結の礫岩が観察できる.

 簡単な露頭説明のあと,約20分間の自由観察時間.学生たちは礫を掘りおこしたりそれをハンマーでたたき割ったり.

 自由観察時間のあとで礫岩の意味や観察方法などを説明する.

 林道をくだって2番目の露頭に到着する.この竹林の奥にその露頭がある.

 竹林の中に分け入って最初の露頭でみた礫岩と,その直下にある砂岩を観察する.この人数だと竹林の中はさすがにきゅうくつだ.

 3番目の露頭は林道をさらにくだったところの道路際.

 ここでは大桑層の泥質砂岩を観察してもらった.

 風化が進んで黄褐色の砂岩の中からは貝の印象化石がたまにみつかる.

 そして林道をずっと歩いてくだり最後の露頭へ向かった.途中にある露頭でも風化した泥岩を観察する.

 烏骨鶏の里の入り口付近にある泥岩の露頭.ここに露出するのは中新統御峰層だ.

 表面は真っ黒だがその直下は風化して茶褐色となる.それをさらに削り取ると新鮮な灰色の泥岩が出現する.

 ここで今日の観察終了.駐車場で待っている大学のバスまで全員で歩測.

 くだってきた林道をもくもくと歩く.

 ただ黙ってひたすら歩く.知らない人がみたら異様な光景かもしれない.

 竹林を抜けたところで大学のバスが待っていてくれた.これに乗り込んで角間キャンパスへ.

 午後4時ちょうどに学生実験室に戻ってきた.実習道具の片付けと実習のとりまとめをやって今日の実験終了.

4月17日の観察露頭


2009年4月24日:野外調査実習(2:金沢市大桑)

 2回目の野外実習もいい天候に恵まれた.やや肌寒いが日差しはやわらかくて地層の観察にはうってつけ.予定どおり午後1時15分に大学の大型バスで角間キャンパスを出発した.山側環状道路をとおって15分ほどで大桑町を流れる犀川のほとりに到着する.駐車場での現在地確認のあと,今日の実習での注意点や化石の採集方法などについて説明し,それから犀川右岸の露頭へ移動した.犀川の水位はほどほどに低くて露頭が大きく離水していた.


 化石のとり方などについてのやや具体的な説明のあと,学生たちにはさっそく採集作業にとりかかってもらった.上流側と下流側とにわかれてハンマーの音が響き始める.

 川の近くの露頭では,表面が水に洗われて貝化石がきれいにみえていた.

 学生たちは化石を一心に掘り続ける.

 共同担当者の高原さんとTAの中野君も学生の存在を忘れて掘っている.

 川沿いの崖を叩いたり,その崖のうえに登ってみたり・・・・.

 露頭から化石が姿を現すと歓声があがる.

 大きい化石もあれば小さい化石もある.

 実習開始1時間後.まだまだ元気.

 全員がとっても元気.

 せっかくの化石を割ってしまう不運があったり・・・.

 出席者みんながそれぞれに化石を掘りあげていた.

 実習開始2時間後.午後3時半.そろそろ帰り支度に入ってもらう.

 掘りあげた化石を新聞紙で包み込み,それをビニール袋にしまいこむ.

 ふたたび山側環状道路をとおって午後4時ちょうどに総合教育棟に到着.

 採集した化石を新聞紙に包んだまま実験室に広げて本日の実習終了.


2009年5月1日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

 今日も朝からいい天気だった.今学期の地学実験はありがたいほどの天気に恵まれる.午後1時に学生実験室を出発し,公用車とマイクロバスとに分かれて前回と同じ大桑町へ.駐車場での現在地確認のあと,犀川上流右岸の河床露頭へ移動する.犀川の水位は今日もほどよく低い.今日の実習内容についての簡単な説明のあと,まずは15分間の自由観察時間にした.


 ここに分布するのは中新統犀川層.灰白色の凝灰質細〜中粒砂岩から構成される.露頭表面は風化のため白っぽくなっている.

 女子は下流,男子は上流となぜか分かれて自由観察が始まる.

 貝化石を見つけたり,

 露頭にひたすら穴を開けたり,

 植物化石を見つけたり・・・・.思うように地層を観察してもらう.

 暑いほどの好天だ.

 高原さんの実習を先取りするような液状化の実験が始まったり・・・.

 ここで観察される犀川層や当時の堆積環境について説明し,それからみんなで下流側へ移動した.

 大桑貝殻橋近くの河床に露出する下部更新統大桑層の下部層の岩相をまず説明する.暗灰色の砂質泥岩から構成されること,植物化石がそこに層をなしていること,など.

 ここで学生たちに見てきたばかりの犀川層とこの大桑層との不整合探しをやってもらった.

 あまりの好天のため,そして犀川のせせらぎのため,学生たちはすぐにひなたぼっこモ−ドに入ってしまう.川辺での語らい・・・.

 露頭の上での談笑・・・.

 瀬ノ音を聞きながら・・・.不整合面の上に座っていることには気づいていないようだ.

 不整合の意味や基底礫岩などを説明しここでの実習終了.

 最後の観察は貝殻橋近くの大桑層下部に挟在する2枚の火山灰層.

 ここでもなんとはなしのひなたぼっこモ−ド.

 でも,ときおり元気に掘ってみたり.

 意味なく大きく掘ってみたり.

 午後3時半に現地での実習終了.マイクロバスと公用車で角間キャンパスに戻った.

 今日の実習のまとめをやって午後4時すぎに実験終了.

  • Camera: Pentax Optio W30, Pentax K10D and Pentax K-m
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.3.3-4.0,Sigma Zoom DC 18-200mm f.3.5-6.3 and SMC Pentax-DA L 18-55mm f.3.5-5.6 AL