地学実験の記録
2009年度前期(その1:10月2日〜10月30日)

2009年10月2日:ガイダンス(地学学生実験室)

 履修予定者は18名.前期と比べたら少ないものの以前を思えばかなりの数だ.この授業のガイダンスを実験室で行ったのち,道具箱の割り振りを行い実習用具一式を学生たちに手渡した.


 朝からの豪雨のため歩測の実習は中止.次回の実習予定を知らせて午後2時半に終了.

2009年10月9日:野外調査実習(1:金沢市野田山)

 朝方はいい天気だったが昼過ぎから大雨になった.野外へ行くべきかどうか迷ったものの,晴れそうな予感もあって思い切って野外実習へ行くことにした.男子学生5名の行方不明騒ぎもあって20分遅れで角間キャンパスを大学のマイクロバスで出発し,その約20分後に野田山の実習地に到着.バスをおりてみると路面は乾いていた.大雨はどうやら角間キャンパス付近だけだったらしい.駐車場で学生たちに現在地をまず地図上で確認してもらい,それから林道沿いに歩き始めた.角間の雨が信じられないほどのいい天気だ.


 林道沿いにある最初の観察地点に到着.学生たちにはまず好きなように地層を観察してもらう.大型車両がよくとおる林道なので,TAの三宅はやや離れた位置に立って安全の確保につとめる.

 この露頭には円礫からなる礫岩が露出している.学生たちは崖を掘ったり礫をたたき割ったり.

 2番目の観察地点は最初のところから林道をやや下ったところにある竹林の中にある.この奥には大桑層の黄褐色細粒砂岩が露出する.その上位にはいま見たばかりの礫岩が位置する.

 学生たちには,砂岩とはどのような岩石か,そして上位の礫岩との関係はどうなっているかを観察してもらう.竹につかまりながら全員がちょっとした斜面をよじのぼっていく.ひとりがころんでしまったが幸いにも怪我はなかった.

 林道をさらに奥へと歩きながらその途中にある露頭を観察していく.ごみの不法投棄禁止の立て看板がやけに目立つようになってきた.

 3番目の観察地点はこの林道沿い.ここにも大桑層の細粒砂岩が露出している.学生たちはふたてに分かれて観察を開始.

 この細粒砂岩からは貝の印象化石が発見される.

 最初はなかなかみつからないようだったが,こつをつかんだ学生たちはつぎつぎと化石をみつけだしていた.

 最後の観察地点は林道をずっとくだった烏骨鶏の里の近くにある.

 ここに露出するのは青灰色泥岩からなる御峰層だ.これで学生たちには礫岩,砂岩,そして泥岩を観察してもらったことになる.

 実習を終えたら駐車場で待っているマイクロバスまで歩測の練習.みんな無駄口もきかずにもくもくと歩いていく.

 午後4時すぎにマイクロバスに到着.山側環状道路をとおって角間キャンパスへ.

 午後4時20分にキャンパスに到着.実験室に戻って簡単な説明ののちに実験終了.

2009年10月16日:野外調査実習(2:金沢市大桑)

  2回目の野外調査実習は大桑町の犀川河床で実施した.朝からいい天気.雨の心配はまったくいらない.午後1時に学生実験室を出発し大学のマイクロバスで現地に到着.紅葉しかかった木々の下でまず現在地の確認から.


 化石の採集方法について簡単に説明したのちに河原へ下りた.犀川の水位はほどほどといったところか.

 現地で化石をみせながら採集方法についてさらに説明し,それから思い思いに化石採集にとりかかってもらった.

 下流側に学生たちの大半が集まっている.

 力まかせに砂岩を掘りまくる.ちょっとぬれた砂岩はてごろな硬さになっている.

 TAの三宅は慣れないツルハシで血だらけになりながらのアシスト.

 採集した化石は新聞紙でていねいに包み込む.砂はなるべく落とさない.

 新聞紙に包んだ化石をビニール袋にしっかりと包み入れる.

 午後3時半すぎに終了.慣れない作業でくたびれたのか三宅が河原でたそがれる・・・・.

 午後4時前に角間キャンパスの実験室に戻った.採集した化石は新聞紙に包んだままビニールからとりだし乾燥させる.午後4時すぎに実験終了.
 

2009年10月23日:土質力学実習(1:金沢大学角間キャンパス) ※ベトナム出張

  共同担当者の高原利幸さんによる土質力学実習の1回目.角間キャンパスの地盤の解説と見学だったようだ.ただし,画像の記録はなし.


2009年10月30日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

 この日も朝からすばらしい天気になった.今年度は前期も後期も天気にめぐまれるようだ.午後1時に実験室を出発し大学の大型バスで前回と同じ大桑町の犀川に向かった.おんまかいがら橋のたもとでバスを降り,今回は中新統犀川層が分布する犀川の上流側へ向かう.そしてまずは自由観察時間をもうけた.学生たちは露頭一面にひろがって地面を掘り始める.


 炭化した植物化石がある.白い貝化石も表面にちらばっている.

 露頭にしゃがみこんで砂岩の色が青灰色になるまで掘る.

 石灰質ノジュールや白い軽石も砂岩からみつかる.

 火山岩のかけらと生痕が発達する植物化石もある.自由観察のあとは,地層からみつかったものにもとづき当時の自然について考えてもらう.

 下流側へみんなで移動した.橋の近くには下部更新統の大桑層下部が分布する.ここで犀川層と大桑層下部との地質時代の違いを認識してもらい,不整合と整合とについて説明した.そして,学生たちには不整合を捜すテーマを与えた.

 学生たちは犀川層の砂岩と大桑層の砂質泥岩とを比べながら移動する.

 だんだん上流側へ移動していく学生たち.犀川の段差にも何人かの姿がみえる.

 来日中のアプサラ公団のハン・パゥも飛び入り参加.

 学生たちにはふたつの地層の岩相の違いに着目してもらう.

 学生たちの動きがだんだん止まってきた.どうやらそれぞれに不整合面の位置を決めたようだ.

 正解となる場所を示したうえで,その根拠となる観察事実について説明を加える.

 最後の露頭はかいがら橋の直下.ここでは2枚の火山灰層が観察される.

 この付近は脊椎動物の化石がまれにみつかるところでもある.

 化石を求めて力いっぱい地面を掘りつづける.

 おおきな歓声があがった・・・・が,貝殻だった.

 午後3時45分に実習終了.角間キャンパスにバスでもどって実験室で解散.

  • Camera: Pentax Optio WPi
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.3.3-4.0