地学実験の記録
2009年度前期(その2:11月6日〜11月20日)

2009年11月6日:野外調査実習(4:金沢市小二又)

 今日も朝から快晴だった.当初の予定どおりに午後1時に学生実験室を出発し大学のマイクロバスに乗り換えて小二又の実習地にすぐ到着.いつものとおりまず現在地の確認から始める.新しい道路が地図にはまだ描いてないため学生たちやややとまどったようだ.


 最初の露頭(1)へと金腐川へ下りた.植生はそれほどでもないがからみあった枯れ枝が手足にまとわりつく.

 川の護岸壁のすぐ上に砂岩が露出する.これをまず自由に観察してもらう.

 青っぽい灰色をした細粒の砂岩だ.

 テントウムシがやたらと多い.しかもいろんな種類がいる.

 砂岩には貝化石もみつかる.この露頭で地層が南へ傾斜していることを学生たちによく認識してもらう.

 観察を終えて道路へ上がった.

 道路沿いに歩きながら地すべり地形の観察(2).

 晴れ渡って気持ちのいい天気だ.道路を金腐川の下流方向へ歩く.

 ふたつめの露頭(3)はその道路沿い.ここにも青灰色の細粒砂岩が露出する.

 白い貝化石もふつうにみつかる.

 学生たちには最初の露頭との位置関係/層位関係にとくに気をつけてもらう.

 道路をさらに歩いて3番目の露頭(4)に到着.

 この露頭には青灰色の砂質泥岩と白い軽石を含む脆弱な凝灰岩が露出する.このあたりではもっとも下位となる地層だ.

 おおきな白色軽石もすぐにみつかる.

 この露頭の対岸となるあたりの金腐川へ移動した(5).

 ここでは凝灰岩のさらに下位となる高窪層の砂質泥岩をみることができる.しかし,護岸が高くて容易に近づけなくなったのが残念だ.ここでは地層がほぼ水平になっていることにも気づいてもらう.

 道路へと引き返し,さらに下流へ歩いたところでは地層が下流側に傾斜するようになることを学生たちに知らせる(6).大きくてゆるやかな褶曲構造の存在だ.

 さらに歩いて小二又の町内へ入った.

 遠くに砂取り場の大露頭がみえるようになった(7).金腐川沿いでこれまでに観察してきた地層がここでまとめてみることができる.

 今日の最後の露頭は軽石質凝灰岩.吉岡の上涌波凝灰岩だ.粗粒で脆弱な凝灰岩が道路にそって露出する.

 平行葉理や斜交葉理が露頭一面に発達する.

 午後3時半すぎに現地での実習終了.待っていてくれたマイクロバスに引き返す.

  午後4時前には角間キャンパスに戻ってきた.実験室で次回の実習予定などについて簡単に説明し解散.

今日の観察地点など

 

2009年11月13日:地形図学実習(1:地形図の読み方)

 角間キャンパスでの簡易測量実習の予定だったがお昼前から雨が降ってきた.そのため次週に予定していた学生実験室内での地形図学実習に差し替えた. 地形図とはどのようなものか,等高線とは,などについて黒板でまず説明する.


 つづいてチョコバームや厚紙と透明プラスチックケースなどをつかって実際の地形や等高線を三次元で考える練習をする.

 そして練習問題の開始.

 TAのふたりは模範解答を作成.

 さすがにそれなりに描き上げてくれた,

 その後は練習問題にとりくむ学生たちの指導.

 学生たちもそれぞれに問題をこなしていたようだ.

 地形図についてのおさらいを最後にやって今日の実験終了.
 

2009年11月20日: 岩石学実習(1:岩石薄片試料の作成)

 朝からいい天気だったがこの好天が午後までもつのかどうか不安だった.とりあえずは野外でも室内でもどっちでもいいように準備をしておき,ぎりぎりまで迷ったあげく今日から室内での岩石学実習に入ることにした. 岩石薄片試料の意味と作り方をまず簡単に説明し,研磨台で実際のやり方をみせ,それからすぐに作業にかかってもらった.材料には今回もホームセンターで購入した白色のカコウ岩を用いた.


 学生たちは回転研磨台での粗擦りからガラス板での中擦り作業へと順番に移動していく.履修生が20名近くになるとさすがに混雑する.

 中擦りが終わったらガラス板での仕上げ擦りへ.ちょっと窮屈そうだ.

 片面を磨き終えた試料はレーキサイドセメントでスライドグラスに貼り付ける作業.ここはTAの三宅がまず実際にやってみせる.

 おたおたしているうちにセメントが沸騰してしまった・・・.あせりながらもなんとか貼り付け作業が終了.

 続いて回転研磨台を使って試料の反対側の面を磨きながら薄くする作業にとりかかる.

 最初の研磨台にだんだんと人が増えてきた.

 実習を始めて1時間後にはほぼ全員が試料の反対側を擦る作業に移行した.

 十分に薄くした試料はガラス板の上でふたたび中擦り,そして仕上げ擦り.

 薄片試料の厚さを顕微鏡でときどき確かめる.

 ここまで薄くなったら研磨作業は終了となる.研磨した面をオーバーコートで保護して試料の完成.

 ひとりの失敗もなく無事に実習が終了した.

  • Camera: Pentax Optio WPi, W30 and Optio S4
  • Lens: SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.3.3-4.0 and SMC Pentax Zoom 5.8-17.4mm f.2.6-4.9