地学実験の記録
2010年度前期(その1:4月16日〜5月14日)

2010年4月1〜9日:地学学生実験室の大掃除

 新年度にむけて地学学生実験室の大掃除.椅子やファンヒーターなどすべてを実験台の上へ.


  運び出せるものはすべて廊下へだしてまずフローリングの掃除から.

 フローリングには臨時でワックスをかけてもらった.床が8年ぶりにぴかぴかになった.

 廊下のものをすべて運び入れ,実験台の椅子などをおろして大掃除終了.これで実験室の中がすっきりと片付いた.

 

2010年4月16日:ガイダンス(地学学生実験室)

 履修登録週間の最終日のせいか履修予定者は19名と例年よりもやや少なめだった.昨年とは違って地域創造学類の学生が多いようだ.地学実験の主題や内容,実習予定などについてまず説明する.その後,ハンマーなどの実習道具一式を配布して使い方などを説明する.


 歩測とクリノメーターの使い方の練習までやる予定だったが,午後から冷たい雨が降ってきたため今日はここまでで実験終了.

2010年4月23日:地形図学実習1(地学学生実験室)

 角間キャンパスでの野外実習の予定だったが朝から雨が降っていた.気温も真冬のように低い.野外へ行ける天候ではないため,室内での地質図学実習に予定を変更し,灯油を足したファンヒーターで実験室を暖めておいた.


 午後1時に実習開始.第一回目ということで.等高線から立体地形を読みとる地形図学実習にした.黒板とバウムクーヘンとで等高線の意味や読み方などを説明し,配布した練習問題を使ってさっそく実習にとりかかってもらう.

 ちょっとばかりまちがえてはいるが,今年の受講生はなかなかいいセンスをしている.

 あまりセンスがよくないのもいる・・・.

 TAの大畑さんの熱心な指導もある.

 予定以上の早さで図学実習が進んでいった.

 午後4時すぎにできたところまでで実習終了.来週の好天をみんなで願って解散.

2010年4月30日:野外調査実習(1:金沢市野田山)

 朝方の強い雨もお昼前にはあがってくれた.実験室を片付けヘルメットなどを準備して午後の野外実習にそなえておく.


 午後1時前には履修生全員が実験室に集合した.大学のマイクロバスへ乗車し野田山の実習地へ向かう.この3月に新車になったばかりのマイクロバスの乗り心地はは快適だ.

 学生たちはちょっとした遠足気分のようだった.

 山側環状道路をとおって15分ほどで野田山の実習地に到着した.

 最初の作業は現在地の確認から(P).地形図上に現在地を点で記入してもらう.

 八重桜が盛りの公園をあとにして林道へ入った.野田山にはなせかサックスの音色がひびきわたっていた.

 林道沿いの最初の観察地(1)に到着.説明を簡単にすませ自由に観察してもらうことにした.

 この露頭は礫岩でできている.円礫を主体とする礫の淘汰はわるい.基質はやはり淘汰不良の砂からなる.

 学生たちは露頭を叩いたり掘り出した礫をハンマーで割ったりと好きに観察をつづけた.観察終了後は礫岩についてここで説明しておく.

 林道をくだって2番目の露頭(2)へ.場所を確認したあとTAの三宅君を先頭に竹林へ入る.

 大人数のため竹林の中でふたてにわかれて露頭の観察に入った.

 この露頭には赤褐色の細粒砂岩が露出する.淘汰良好の砂はいかにも砂浜の砂を思い出させる.砂岩の上位にはさきほど見たばかりの礫岩が位置する.

 林道をちょっとだけ歩いて3番目の露頭(3)へ.ここでは頭上高くに細粒砂岩とその上位の礫岩を見ることができる.

 人数が多いことと今朝までの雨で足下が不安定だったためここは下から見るだけにとどめた.三宅君が砂岩の見本を採ってきてくれる.

 さらに林道を歩いて4番目の露頭(4)へ.ここにも淘汰良好の赤褐色細粒砂岩が分布する.大桑層の中部から上部に相当するものだ.

 この細粒砂岩からはわずかながらも貝の印象化石が見つかる.

 学生たちは一所懸命に露頭を掘って化石を探しはじめた.

 最初はなかなか見つけられないようすだったが,おしまいにはなかなかきれいな巻貝や二枚貝の化石を掘り出していた.

 林道をさらに歩きくだって最後の露頭へ向かった.

 烏骨鶏の里の露頭へ行く時間がなさそうだったため,途中にあった露頭を最後の観察地にした(5).ここには風化が著しいながらも均質な泥岩が露出する.

 泥岩の感触を学生たちには指先でしっかりと確認してもらった.これで本日の観察すべてが終了.

 ここでスタートラインにみんなで立ってバスが待つ公園までの歩測開始.

 傾斜がきつい林道を歩きつづける.みんな無言・・・.最後の坂では足取りがかなり重くなっていたようだ.

 公園で待っていたバスに乗車して角間キャンパスへ引き返した.

 午後4時すぎに角間キャンパスの総合教育棟に到着.学生実験室で簡単なまとめをやって今日の実習終了.

4月30日の観察ルートと観察地


2010年5月7日:※月曜日の授業に差し替え


2010年5月14日:野外調査実習(2:金沢市大桑)

 ここ数日降り続いた雨も朝方にはあがってくれた.お昼前には青空が広がるようになった.2回目の野外調査実習を予定どおりに行うことができる.午後1時に学生実験室を出発し,大学のマイクロバスに乗って15分ほどで金沢市大桑の犀川沿いにある簡易野球場の駐車場に到着.ここで学生たちには現在地の確認をまずやってもらう.  


 みずみずしい緑が広がる犀川の河原へみんなで移動した.降り続いた雨のせいで犀川の水位はやや高い.流れも早い.

 ここに露出するのは更新統大桑層.青灰色の細粒砂岩からなる.大桑層の地質学的な位置や古環境などをおおざっぱに解説し,化石の採集方法を説明してすぐに実習にとりかかってもらった.

 学生たちは思い思いの場所で露頭を叩き始めた.

 女子学生たちのほうがパワフルに掘っているような気がする.

 露頭を掘りつづけていくと白い貝化石が姿をみせる.

 これが大桑層の貝化石層.この層準だと厚さ20センチほど.

 今年もTAの三宅君がたそがれる・・・.


 露頭一面に広がる生痕化石の説明もおりにふれてやっておく.

 約1時間が経過.学生たちはまだまだ元気だ.

 三宅君がかなりきれいな二枚貝の化石を掘り当てた.

 貝化石がつぎつぎと掘り出されていく.

 おおきなホタテガイの化石もでてきた.

 別の場所からもホタテガイがまたひとつ.

 約2時間が経過.学生たちもさすがにくたびれてきたようだ.

 午後3時半に採集終了.掘り出した貝化石を新聞紙でていねいにつつみこむ.澄んだ犀川の流れで砂だらけの手足を洗う.

 そして駐車場で待つマイクロバスへひきかえした.

 午後4時ちょうどに角間キャンパスの学生実験室に到着.貝化石を新聞紙に包んだまま実験台に広げて実習終了.

5月14日の移動ルート(Google Earth + Nokia E71)


5月14日の採集地(Microsoft Virtual Earth)


  • Camera: Pentax Optio W60, Ricoh Caprio 500G wide and Nokia E71
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5 and Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4 f.2.5-4.3
  • GPS: Garmin eTrex Venture HC and Nokia E71