地学実験の記録
2010年度前期(その2:5月21日〜)

2010年5月21日:野外調査実習(3:金沢市大桑)

  早朝からいい天候にめぐまれた. 予定どおりに3回目の野外実習を実施する.午後1時に学生実験室を出発し,大学のマイクロバスに乗り換えて15分ほどで先週と同じ大桑町を流れる犀川に到着.おんまかいがら橋でバスから降りた.例によって地形図上でまず現在地を確認し,それから橋よりも上流側となる河床に下りた.


 ここ数日降り続いた雨のせいか犀川の水位はやや高い.濡れずに露頭を観察できる範囲がかなり狭くなっていた.

 もっとも上流側となる最初の観察地点(1)に到着.まず30分間の自由観察時間.学生たちは離水した露頭に散らばって実習を開始した.

 輪になって露頭を掘るグループがいる.

 ここに露出するのは中新統犀川層だ.灰色細粒の凝灰質砂岩.木片化石をふつうに見ることができる.

 よく発泡した白色軽石もときどき見つかる.

 TAのふたりがこの地層を特徴づける岩石や化石をさがしておいてくれた.これは生痕が発達する木の化石.

 くるみのような植物化石もみつかっていた.内部には琥珀色の鉱物が形成されている.なんだろう?

 自由観察時間のあと,犀川層について説明し,それからみんなで下流側へ移動した.それにしてもいい天気だ.

 60mほど歩いて次の実習地点(2)に到着.ここに露出する地層が下部更新統の大桑層であって犀川層とは約900万年の時代の差があることや,「整合」と「不整合」について,などをここで説明する.そして学生たちには不整合面探しにとりかかってもらった.

 このあたりの大桑層下部には巣穴状の生痕化石が発達する.学生たちは露頭をときどき叩きながら上流側へゆっくりと移動していく.

 自分の足下の地層を観察し,その結果を上流側でみてきた犀川層の観察記録と比べる.同じだったら不整合面をすでにとおりすぎたことになる.

 しばらくすると学生たちは離水した河床いっぱいにひろがっていった.

 不整合面にしゃがみ込んで観察している学生もいたが,結局のところ正解者はいなかった.不整合面の位置を示しながら,不整合の探し方などを解説する.

 説明後に学生たちはその不整合面を観察に行った.ふたりが水に落ちた・・・.

 橋の直下あたりとなる最後の観察地点(3)に移動した.しかし,水位が高すぎて観察露頭へ容易に近づけない.そこで高原さんに土木地質などの説明をとりあえずお願いする.

 長靴をはいている学生たちには川の中を露頭へ移動してもらった.そうでない学生たちも濡れずに行けるようなルートがみつかった.

 狭い露頭の上で火山灰層の観察.ここで見られるのは大桑層下部に挟在するOV凝灰岩.

 この凝灰岩付近の層準からはサメの歯の化石がたまにみつかる.凝灰岩の観察後は化石探しにとりかかる.しかし,今回も発見者はゼロだった.

 学生たちを露頭においたまま橋にあがってみた.見おろすと学生たちはひなたぼっこしたりおしゃべりしたり・・・

 水遊びをしたり・・・.

 高い水位のおかげで大桑層下部の地質構造が上からよく観察できる.

 何人かの学生たちが気づいた.

 マイクロバスがなかなかやってこない.

 マイクロバスはまだ到着していなかったが,学生たちにそろそろ上にあがるように指示する.

 予定時間ぴったりにマイクロバスがやってきた.それに乗り込んで角間キャンパスへ.

 午後4時前に角間キャンパスの地学学生実験室に戻った.今日のまとめと次週の予定を簡単に話して実験終了.

5月21日の観察地(Microsoft Virtual Earth)


2010年5月28日:簡易測量実習(4:金沢大学角間キャンパス)

  いまにも雨が落ちてきそうな天候だった.気温も低い.どうしようかとかなり迷ったが,時間がかぎられていることもあって,クリノメーターと歩測とによる簡易平板測量実習をキャンパスで実施することにした.学生実験室でクリノメーターの仕組みと使い方をまず説明し,平板測量の原理について解説する.それから全員で屋外に出た.


 総合教育2号館前に設定された50mラインを使って自分の歩幅をまず測定する.学生たちにはゆっくりと自然に歩くように心がけてもらう.

 自分の歩幅を確認したら平板測量をさっそく開始する.2号館の玄関からまず西へ約50m.

 クリノメーターで歩いてきた方向を確認し,歩測から歩いた距離を求める.

 つづいて体育館がある北へ歩く.TAの三宅君は学生たちに同行しながらの見本の作成.

 体育館の入口に着いたら,つぎは人間社会5号館がある東方向へ.

 歩測を終えるたびにそのルートや現在地を方眼紙に記入する.先頭集団が北キャンパスの周回道路に達しているのがはるか遠くに見えた.

 先頭集団は周回道路をさらに東へ歩き始める.

 2番手集団がそれに続く.

 最後尾の学生たちも周回道路にやってきた.

 周回道路は曲線になっているためいくつかの直線に分けて測る作業が必要になる.学生たちは思い思いの位置で立ち止まって方向変換.

 P駐車場前で人間社会3号館(教育学部)方向へ.ここから再びキャンパスの中になる.

 北福利施設の横をとおって人間社会2号館(法学部棟)前へ.このあたりで3限終了のチャイムがなった.一般学生たちがキャンパスにあふれだしたため簡易測量は一時中断.

 北福利施設の前をとおり人間社会第二講義棟前で向きを変えて人間社会1号館(文学部)方向へ歩く.ここはゆるやかな斜面を下ることになる.図面がだんだんとできあがってきた.

 先頭のふたりは総合教育2号館前のゴールに到着していた.アスファルトに座り込んでのとりまとめ作業.ただ,その結果は・・・・.

 引き返してみたら最後尾は第二講義棟付近だった.TAの大畑さんがその集団についていてくれる.

 最後尾集団も人間教育1号館方向へ移動.

 図面を清書しながら総合教育2号館方向へゆるやかに曲がる斜面を歩いていく.

 やっとゴールがみえてきた.図面もほぼ完成.

 スタートして約2時間後に全員がゴールに到着.

 実験室で実習の結果をまとめて本日の地学実験が終了.

 それにしても寒い一日だった・・・.

5月28日の簡易平板測量ルート(Bing Maps)


  • Camera: Pentax Optio W60, Optio WPi and Pentax K20Dand Nokia E71
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5, SMC Pentax Zoom 6.3-18.9mm f.2.6-4.8 and Sigma Zoom DC 18-200mm f.3.5-6.3