地学実験の記録
2011年度前期(その1:4月15日〜4月26日)

2011年4月6日:野田山ルートの下見

 いい天気だったため新しいGPSカメラのテストをかねて野田山まで露頭状況の確認にでかけた.1番目となる林道沿いの礫岩の露頭は昨年とかわらずまずまずの状況.


 2番目の竹林の中にある細粒砂岩の露頭は草藪が枯れてみやすくなっていた.3番目となる貝化石を産出する細粒砂岩も昨年度と同じように観察できそうだ.

 この冬は雪が多かったせいか,沢のところどころに雪が残っていた.林道のさらに奥にある泥岩の露頭もちゃんと観察できそうだ.

 林道をくだりきったところにある川沿いに車を駐めた.

 沢の水はかなり多い.このままだったら対岸へ渡るのはむずかしいだろう.

 林道沿いに凝灰岩のいい露頭もみつかった.この春の雪どけで表面の植生が崩落してできたもののようだ.

 足下には凝灰岩の転石がいくつもころがっていた.

 雪が残る林道をとおって別所へ,そして角間キャンパスへ.

 

2011年4月15日:ガイダンス(地学学生実験室)

 3限のガイダンスにそなえて午前中のうちに実験室の掃除をすませ,軍手や地図,野帳などの配布物をそろえておいた.


 履修生に貸し出すためのクリノメーターやルーペなどの数も確認.

 ハンマーとタガネも数をそろえておく.

 ガイダンス開始時に実験室にいた履修希望者は定員の30名を大きく超える42名だった.これではバスに乗り切れないため抽選でやむなく32名に減らした.それから実験室内で道具などの配付と実験日程などの説明.その後は総合教育2号館前で歩測の実習.32名もいるとさすがに多く感じる.

 
 キャンパスのサクラがちょうど満開だった.

 実験室に戻って次回の野田山での野外実習について簡単に説明し午後2時半に解散.

2011年4月22日:野外調査実習1(金沢市野田山)

 午後から雨との予報だったが,予定どおり第一回目の野外調査実習にでかけた.学生数が多いため大学のマイクロバスと公用のワゴン車に分譲して総合教育棟を出発.15分ほどで野田山の実習地に到着した.実習にあたっての注意点の説明のあと,学生たちに現在地を地図上で確認してもらい,それから最初の露頭へと林道を歩いた.


 最初の露頭は道路沿いにある.ここにはわりと新しい時代の砂質礫岩が露出する.地層の見方などについての簡単な説明のあと,学生たちにはさっそく自由観察にとりかかってもらった.

 おそるおそるハンマーをふるっていた学生たちだったが,

 だんだんと手に力がこもってきたようだった.

 道路に置いた礫をハンマーでたたき割りはじめた.

 自由観察時間のあとは,この露頭についてや礫岩についての説明を加え,それから次の露頭へ移動した.

 林道をさらにくだっていく.雨はまだ落ちてこないがだんだん暗くなってきた.

 この竹林の奥が2番目の露頭になる.

 その竹林に全員で分け入り,左右ふたてに分かれて露頭を観察してもらった.

 ここに露出するのは下部更新統大桑層の黄褐色細粒砂岩だ.学生たちにはここで砂岩という岩石を理解してもらう.

 林道をさらにくだって3番目の露頭へ.いつもより交通量は少ないものの,大型トラックがときおりとおりすぎていく.

 3番目の露頭も大桑層の細粒砂岩.ここでは貝の印象化石がよくみつかる.

 学生たちがさっそくいくつかみつけてきた.いずれも小さな二枚貝.

 化石探しがよほど楽しいようで,みんななかなか露頭から離れようとしない.

 雲行きがあやしくなってきたので,足をはやめながら林道をさらにくだっていった.

 最後の観察地は烏骨鶏の里近くの露頭だ.ここには中新統朝ヶ屋層の青灰色泥岩が露出する.

 泥岩のてざわりを自分の指先で確認する.イオウのにおいもここで確認してもらう.

 貝化石がまれにみつかる露頭だが,残念ながら今回は誰も発見できずに終わった.

 雨が落ちてきたのでここで野外実習終了.バスが待つ駐車場まで歩測しながらもどってもらうことにした.学生たちは一列になって無言で林道をひきかえす.

 これまで観察してきた3つの露頭をとおりすぎ,15分ほどで駐車場に到着.マイクロバスとワゴン車に分かれて角間キャンパスへ.

 実験室でまとめの作業後に解散.

4月22日の実習ルート


2011年4月26日:野外調査実習2(金沢市大桑)

 午前中のうちから雨が降りはじめてしまったが,午後にはあがりそうな気配があったため予定どおり2回目の野外調査実習にでかけた.マイクロバスと公用車に分乗して金沢市大桑の犀川へ.雨続きのせいか犀川の水位はやや高めだった.


 天気が不安だったため,化石の採集方法などを現地で簡単に説明し,その後すぐに化石採集にとりかかってもらった.ときおり雨が落ちてくるあいにくの天気だ.

 学生たちは河原に広がって化石を掘り始める.

 細粒砂岩の露頭がほどよくしめって掘りやすくなっている.

 貝化石がみつかったらタガネとハンマーでそっと掘り出す.

 露頭の表面には雨に洗われた白い貝殻があちこちに露出していた.

 開始後30分ほどでふたたび雨がふりだしてきた.だんだん激しくなってくる.やむ気配はない.

 午後2時前に作業中止.駐車場で待っているバスへひきかえした.そのまま角間キャンパスへ.

 午後2時半に実験終了.

  • Camera: Pentax Optio WG-1 GPS, Pentax Option W60 and Nokia E72
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5
  • GPS: Pentax Optio WG-1 GPS and Sony GPS CS-1K