地学実験の記録
2014年度後期(その1:10月3日〜10月30日)

2014年10月3日:ガイダンス(地学学生実験室)

 後期の地学実験にそなえて夏季休暇期間直後にTAたちと学生実験室を掃除しておいた.


 野外実習用具や地形図,フィ−ルドノートなどの配布物も30名分用意しておく.

 実験台をふきあげ,実習用具用の運搬箱を30個用意して準備終了.

 ガイダンスの当日,学生実験室に集まった学生の数は40名ほどにのぼった.薬学類の学生たちがやけに多く,5〜6名の人文学類の学生がそれにまじっている.そのため,授業の概要を説明したのち,やむをえず抽選で受講生の数を30名に制限した.その後は学生たちに貸し与える野外調査用具の説明と総合教育2号館前での歩測実習など.30名ともなると学生の数がとても多く感じられる.

 次週の実験予定を説明し午後3時に終了.

2014年10月10日:簡易測量実習(角間キャンパス)

 朝から好天にめぐまれた.予定どおり角間キャンパスでの簡易平板測量実習を行った.学生実験室で測量の基本について,また,クリノメーターの使い方について説明し,それから総合教育2号館前に移動して実際の測量作業にとりかかってもらった.2号館の玄関からまず西へ50メートルほど歩く.


 B10教室のすぐ前で北へと向きを変える.

 学生たちははじめての作業にとまどいがちだった.北と南,西と東の区別がすぐにつかないようだった.それぞれに教えあったりしながら作業を進めていた.

 体育館の入口でこんどは東へと方向をとる.このあたりまでくると作業の概要がつかめてきたようだった.

 人間社会5号館のすぐ西側でこんどは北へと進路をかえる.

 それから北地区の周回道路沿いのルートにはいる.今学期の学生たちはほぼまとまって動いてくれるので指導が楽だ.

 歩いて行く方向をしっかりと確認し,それから歩測で前進する.

 周回道路は曲線のためルートをとるのに苦労していたようだ.

 ここから人間社会学域の敷地へと侵入する.3号館の近くをとおって2号館方向へ.ここで3限終了のチャイムが鳴ったためしばしの休憩.

 休憩ののち,ふたたび2号館方向へ進路をとる.このあたりまでくると学生たちの足取りもたしかなものになってくる.

 北福利施設のそばをとおって人間社会1号館方向へ.

 やや肌寒いほどの気温だったがいい天気が続いてくれる.

 測量の結果がいい感じでできあがってきた.

 総合教育棟の東側を歩いて行く.

 北へ移動しながら最後のルートをとる.

 人間社会5号館にそって総合教育2号館の玄関へ.

 ここで測量作業が終了となる.残りの学生たちもつぎつぎとスタート地点へ戻ってきた.

 学生実験室に全員で移動し,簡易測量の結果を確認したのちに今日の学生実験を終えた.

2014年10月17日:日本応用地質学会での講演のため休講

 


2014年10月24日:野外調査実習(1:角間キャンパス)

 第一回目の野外調査実習は角間キャンパスの中で実施した.自然にめぐまれたキャンパスならではの実習だ.学生実験室で今日の予定や注意点などを学生たちに伝え,それから全員で外にでた.


 北地区の紅葉はすでに盛りをすぎていた.落ち葉の積もる歩道を県道方向へくだっていく.

 それでもみごとな紅葉を歩きながら楽しむことができた.

 県道沿いの歩道を若松町方向へ学生たちと歩いた.

 県道の途中で露頭を発見.学生たちにまず位置を確認するように指示し,それから露頭状況を確認するため森の中に入った.ここ数日の雨のため森の中はかなりぬかるんでいた.

 男子学生たちがあとにつづいて森の中に入ってきた.ぬかるむ地面に騒ぎはするものの楽しそうでもあった.

 森に入ってきた学生たちには露頭を自由に観察するように指示をだす.

 この露頭で観察されるのは下部更新統の大桑層だ.黄褐色の細粒砂岩から構成される.露頭の表面にはたくさんの生痕化石が浮き出ている.

 この露頭での観察を終え,それから全員で県道沿いの歩道をさらにくだっていった.

 金沢大学のポンプ室あたりで北へのびる沢の中に入った.学生たちもあとにつづいてやってくる.

 今年は寒くなるのがはやかったせいか,沢の中には植生がすでになくなっていた.

 沢の右手にそって露頭がずっとつづいている.

 学生たちは沢の中をおそるおそる歩いてくる.

 露頭がみやすいあたりで列をとめてここで見ることができる地層について説明した.ここにも大桑層の細粒砂岩が露出する.それから学生たちには20分間の自由観察時館をあたえた.

 一部の希望者をつれて段差をのりこえ,沢の奥にある露頭へ移動した.

 ここにも大桑層が露出する.二枚貝や巻貝の印象化石がたくさんみつかるところだ.

 化石探しの学生たちをTAの坂本君にまかせて沢沿いの露頭へ引き返した.学生たちは露頭にはりついて観察しているところだった.

 上の露頭で化石探しをやっていた学生のひとりが,巻貝のきれいな印象化石を持ちかえってきた.

 下の露頭で崖をたたいていた学生のひとりがきれいなホタテガイの化石を見つけだした.この露頭での化石の発見はかなり珍しいことだ.

 午後3時すぎにこの露頭での観察を終えて県道へひきかえした.

 歩道を総合教育棟へとひきかえす.

 角間中央バス停付近の駐輪場を通過する.

 総合教育棟へつづく北地区の周回道路を歩く.

 そして総合教育1号館へ.

 学生実験室に戻ってきたのは午後3時半だった.今日のまとめを学資たちにはやってもらい,そして午後4時に今日の学生実験を終了した.

2014年10月30日:野外調査実習(2:金沢市野田山)

 朝からいい天気にめぐまれた.予定どおり大学のバスを利用しての野外調査実習にでかけた.実習内容についての実験室での説明ののち学生たちとバスに乗り込み野田山へ向かった.午後1時10分に総合教育棟前を出発.


 角間キャンパスの北地区から中地区をとおって自然科学研究科がある南地区へ.

 そこから学内道路を田上方面へとくだる.クマがときおり出現する道路だ.

 田上地区をとおって山側環状道路を南下する.

 山側環状道路の樹木はいまが紅葉のさかりだった.

 大乗寺付近から野田山墓地をとおって野田山の林道入口へ.

 林道入口の駐車場でバスから降りた.学生たちをあつめて現在地を地形図上にプロットするように指示をだす.

 それから林道を最初の露頭へ歩いた.

 最初の露頭は竹藪の中の道路の切り割りにある.高位砂礫層と推定される砂質礫岩がここに露出する.

 今日の実習内容についての簡単な説明ののち,学生たちに15分間の自由観察時間をあたえた.

 学生たちは露頭をまず叩きはじめた.ハンマーをあつかう手つきがちょっと危なっかしい.

 露頭のあちこちを掘ってみたり,礫岩から礫を取り出して割ってみたり.

 おしまいにはしゃがみ込んでの観察になっていた.自由観察時間の終了後,この露頭で観察される礫岩についての全般的な説明を行っておいた.

 2番目の観察地は林道をややくだったところにある.30名ともなるとあとにつづく学生たちが大人数にみえる.

 露頭がある竹林の前で学生たちをとめた.

 ここでまず現在地の確認.

 それから学生たちとともに竹林の中に入った.枯れた竹に足をとられる.

 学生の数が多いのでこの露頭では説明だけにとどめておいた.上のほうに先ほど観察した礫岩の延長があることを目で確認してもらう.

 ふたりの学生がその礫岩までのぼってじっさいに確認してくれた.また,その下位には黄褐色の細粒砂岩があることも視認してもらう.

 林道をさらにくだって3番目の観察地へ.林道の先に廃棄物処理場があるため大型ダンプが林道を行き交う.

 林道がややひらけたところに3番目の露頭がある.ここには下部更新統大桑層の黄褐色細粒砂岩が露出する.貝の印象化石がみつかるところだ.

 学生たちは化石探しにむちゅうになっていたが,ほとんどみつかっていないようだった.

 さらに林道をくだって最後の露頭へ移動した.

 道路沿いに灰白色の泥岩が露出する.中新統御峰層の泥岩だ.新鮮な部分は青灰色だが風化のためここでは灰白色で軟弱だ.

 学生たちは泥岩のてざわりをたしかめていた.砂岩とのちがいをしっかりと認識してもらう.

 最後の露頭からバスまでは,例年どおり歩測で距離を測りながら戻ってもらった.

 くだってきた林道を全員でひきかえした.誰も口を開かない.無言で歩数を数えていた.

 観察してきた露頭のそばをもくもくと歩きすぎる.

 竹林の中の林道をぬけて大学バスが待つ駐車場へ.

 バスに乗り換えて角間キャンパスへ戻った.野田山墓地がある坂をまずくだる.

 紅葉をながめながら山側環状道路を北上.

 野田トンネルと涌波トンネルをぬけて田上地区へ.

 田上地区の山側環状道路はこの時間にしてはすいていた.

 角間キャンパスへ移動する.

 県道沿いの紅葉もなかなかみごとなものだった.

 角間中央の交差点から総合教育棟へ.

 午後4時前に総合教育棟に戻ってきた.ここでバスを降りて地学学生実験室へ移動する.

 実験室で今日のまとめをやって実習終了.

  • Camera: Pentax Optio WG-1 GPS, Pentax Optio W90, Pentax Optio WG-3 GPS and Nokia Lumia 630
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5 and SMC Pentax Zoom 4.5-18mm f.2.0-4.9