地学実験の記録
2014年度後期(その2:11月7日〜11月21日)

2014年11月7日:岩石学実習(1:角間キャンパス北地区)

  朝から好天にめぐまれた日になった.当初は実験室で図学実習を行う予定だったが,この予定を変更してキャンパス北地区での岩石観察実習を実施した.実験室にて岩石全般について説明したうえで,用意した岩石試料をまず室内で観察してもらった.


 用意したのは火成岩(カコウ岩,玄武岩,安山岩),堆積岩(泥岩,砂岩,頁岩),そして変成岩(結晶質石灰岩)など. 

 それぞれの岩石試料の構造や鉱物組成に留意しながらスケッチをとってもらう.

 それぞれの岩石の特徴をつかんでもらったうえでキャンパス北地区に出た.ここにはさまざまな記念碑や枯山水があり,そこにはいろいろな岩石がもちいられている.岩石の観察にはうってつけの場所だ.

 何人かの学生が図書館前のモニュメントにすぐ集まった.

 このモニュメントには結晶が比較的おおきいカコウ岩が使われている.

 枯山水にも学生たちがいた.

 枯山水にもちいられた特徴的な礫岩のスケッチをとる.

 このあたりには安山岩が多数用いられている.

 共通教育学務係前あたりの枯山水.ここではさまざまな岩石を観察できる.

 中央にある比較的大きな岩は細礫まじりの粗粒砂岩.

 縁に置かれた岩石には変成岩もまじっている.

 枯山水からやや離れたところにもおおきな礫質砂岩がおいてある.

 スレーキングがはじまった泥岩もみつかる.

 学生たちは4種類の岩石をさがして枯山水の中を歩き回っていたが,1時間もたつと学務係の前あたりに集まってきた.

 枯山水にもちいられている結晶質石灰岩.

 気温が下がってきたこともあって午後3時半に野外での観察を終えた.

 実験室内にてまとめをやり,これで今日の実験が終了した.

2014年11月14日:地質調査実習(3:金沢市大桑町)

 朝から冷たい雨が降るあいにくの天候だったが,午後から回復することを期待して予定どおり野外実習に出かけることにした.今日の実習は大桑町を流れる犀川での化石採集.午後1時に集まった学生たちに学生実験室で今日の実習内容を手短に説明し,それから大学のバスで現地へ移動した.


 冷たい雨が降る中をバスは角間キャンパス中地区から南地区へと移動する.

 空には黒い雲が立ちこめている.紅葉がほとんど散ってしまった田上の道路を山側環状道路へ走る.

 山側環状道路をとおって涌波方面へ移動する.

 大道割で涌波の道路から小径を下って大桑町の犀川へ.

 雨はまだ降りつづいていた.大桑簡易野球場の駐車場にとめたバスの中でしばらくようすをみることにした.

 5分ほどで雨がやんでくれたので,バスを降りて犀川の河原へ歩いた.

 いきなり明るい日光がさしこんできた.しかし小雨はまだ降りつづいている.

 犀川の水位はやや高めだった.

 ぬれた露頭の上を歩いて化石の採集地へ歩く.

 小雨がまだ降ってはいたが,手近なひとつの露頭で足をとめ,ここで化石の採集方法について学生たちに具体的に説明しておいた.

 それからさらに下流へ移動し,川沿いの露頭で学生たちに化石採集をはじめてもらった.

 冷たい雨の中,傘をさしての化石採集はなんだか気の毒な感じだった.

 そんな雨にもかかわらず,学生たちは足元の細粒砂岩をいっしんに掘っていた.

 西の空がだんだん明るくなってきた.

 掘り下げた砂岩の中から貝化石が姿を現す.

 かなり大きな貝化石を掘り出した学生もいる.

 じきに雨もやんでくれた.学生たちの化石採集にも熱がこもってきた.

 ひとりの学生が大きなホタテガイの化石を発見した.化石の周囲を注意深く掘り下げていく.

 その化石が無傷で掘りあげられた.姿を現したのは合弁のきれいなホタテガイだった.

 やはり大きなイシカゲガイを掘り出した学生もいた.

 気温がだんだん下がってきたため午後3時前に化石採集を終了.掘り出した貝化石を新聞紙でていねにつつみこむ.

 駐車場で待っていてくれた大学バスに乗って角間キャンパスへ引き返した.

 涌波の道路から山側環状道路へ.雨はすっかりやんでいた.

 山側環状道路から田上の道路へ.

 前方には青空が広がりはじめていた.

 角間キャンパスの周回道路をとおって総合教育棟へ.

 午後3時20分に総合教育棟に到着した.

 学生実験室に移動し,掘り出した貝化石がすぐに乾燥するよう実験台にならべて今日の地学実験終了.

2014年11月21日:地質調査実習(4:金沢市大桑町)

 この季節にしては珍しいほどの好天に恵まれた.予定どおり大学のバスを利用して金沢市大桑へ野外調査実習に出かけた.


 角間キャンパスの中地区から自然科学研究科のある南地区をとおってバスは南へ.

 学内のトンネルをぬけてさらに南へ.2年前に子熊をみかけたあたりだ.

 田上方面へ県道を下る.

 山側環状道路から涌波方面への坂を上がる.

 大道割で大桑簡易野球場への小道を下る.

 小道の左右の紅葉はほとんど散っていた.

 大桑貝殻橋あたりでバスを降りて実習の開始.まず実習地の位置を学生たちに確認してもらう.前回の化石採集地のすぐ近くなので確認は容易のようだった.

 学生たちをつれて犀川の河床に降りた.そのまま上流へと移動する.

 犀川の水位はやや高めだった.そのため露頭の大半が水没していて,観察できる範囲はかぎられていた.ここに露出するのは中新統犀川層の凝灰質砂岩.

 ここで学生たちに30分間の時間をあたえて自由に観察してもらうことにした.この地層に含まれているものにとくに留意するようにも伝えておく.

 学生たちは露頭一面にひろがって観察を開始した.

 そのあいだに露頭状況や地層に含まれるものを再確認しておく.木片の化石はすぐに見つかった.

 よく円磨された白色軽石もすぐに見つかる.生痕化石が発達する木片化石も見つけることができた.

 学生たちはいくつかの場所に固まって観察を続けていた.

 あたたかい秋の日差しがありがたい.

 合弁の二枚貝化石もみつけることができたが,貝化石がある層準の大半は水面下にあった.

 石灰質ノジュールを一心に叩いている学生もいる.

 地層をやたらと掘っている学生たちもいる.

 きれいなホタテガイの化石が見つかっていた.

 炭化した木片化石も学生たちは見つけだしていた.

 自由観察時間終了後に学生たちをあつめ,観察結果をまず報告してもらった.その後にこの地層の時代や古環境について解説し,地層に含まれている白色軽石や貝化石,木片などについて説明しておいた.

 学生たちをつれて2番目の露頭へ離水した河床を歩いた.

 大桑貝殻橋の近くで学生たちを集めた.ここには下部更新統大桑層の下部が露出する.青灰色の泥質細粒砂岩からなる地層だ.

 最初に観察した中新統犀川層と,足元に露出する下部更新統大桑層とに約900万年間の時間の差があることをここで説明し,地層の整合関係と不整合関係についても説明した.そのうえで,ふたつの地層が整合関係にあるのか不整合関係にあるのか,また,不整合関係にあるのならば,その不整合はどこにあるかを学生たちにさがしてもらった.

 大桑層は細粒の砂質泥岩あるいは泥質砂岩から構成されている.一方の犀川層は中粒の凝灰質砂岩からなる.両者のちがいは一目瞭然だ.

 学生たちは露頭を叩きながら上流へゆっくりと移動していった.

 段差を越えてさらに上流まで移動した学生たちもいた.

 足元に直線的な構造があるところでは足を止めて地層の違いなどを確認する.

 学生たちの大半が段差のあたりに到達した.

 そこでこの段差があるところが不整合面であることを地形と岩相のふたつの点から解説した.さらに,ここでは基底礫岩が観察されることにもふれておいた.

 大桑貝殻橋方向へさらに移動して最後の実習地へ.

 水位が高いために移動経路もかぎられる.

 このあたりには砂質泥岩の中に細礫がならぶ層準があり,ここではサメの歯の化石がたまにみつかる.

 学生たちはサメの歯をここで探し始めた.制限時間は約20分ほど.

 貝殻橋へちょっとあがってみた.

 化石探しをつづける学生たちが真下にみえた.

 それぞれに目標をさだめて露頭を掘りつづけているようだった.

 ふたたび河原へ降りたところで制限時間終了.残念ながら今学期もサメの歯の化石はみつからなかった.

 大桑簡易野球場の駐車場へ全員で移動した.

 そこで待っていてくれた大学のバスに乗り換えて角間キャンパスへひきかえす.

 バスは小道を引き返していく.

 簡易野球場の紅葉はすっかり散っていた.

 大道割から涌波方面へ.

 涌波トンネルを抜けて山側環状道路へ.

 山側環状道路は意外と混んでいた.

 田上から金沢大学へ向かう県道をバスは走る.

 角間キャンパスの南地区から中地区へ.

 そして県道を横切って総合教育棟がある北地区へ.

 学生実験室で今日の実習内容についてのまとめをやって終了.

  • Camera: Pentax Q10 and Pentax Optio WG-1 GPS
  • Lens: SMC Pentax Zoom 5-15mm f.2.8-4.5 ED AL [IF] and SMC Pentax Zoom 5-25mm f.3.5-5.5