地学実験の記録
2016年度前期(その1:4月15日〜4月25日)

2016年4月15日:ガイダンス(地学学生実験室)

 金沢大学の共通教育課程が4学期制になって初めての地学実験.おもに2年生以上が対象の授業となった.受講希望者は予想どおり2年生の男子が3名のみ.人数が少ないのはやや寂しい気もするが,少人数だと行動範囲を広くできる.


 午後1時からガイダンス.授業予定を伝え,野外調査実習用具などを説明したうえで,それぞれの道具入れを用意してもらった.3名だけなのでヘルメットも実験室内におくことができた.

 その後,総合教育2号館前で歩測実習を行って今日の予定が終了した.

2016年4月22日:野外調査実習1(金沢市野田山)

 朝から小雨がふるあいにくの天候だったが予定どおり第1回目の野外実習に出かけた.少人数になったため共通教育の公用車を移動に使えるようになった.自由に予定を変更できるのはありがたい.午後1時に学生実験室をふたりの受講生と1名のTAとともに出発し,公用車に乗って野田山の実習地へ移動した.到着後はまず現在地の確認から.それから林道を平栗方面へ歩いた.


 林道をしばらく歩くと左手に弱固結の礫岩が露出する.これが最初の観察露頭だ.学生たちに15分ほどの自由観察時間をまずあたえた.

 野外で本物の地層をみるのは初めての学生たちだった.不慣れな手つきながらもハンマーで礫を割ったりルーペで破断面を観察したりしていた.観察後は礫岩について,また地層からどうやって古環境を推定するかなどについて解説した.

 林道をさらにくだったところに2番目の露頭がある.この竹林の奥に全員で分け入った.

 高い位置に礫岩層がある.その直下に弱固結の黄褐色極細粒砂岩が位置する.最初の礫岩層との位置関係から,この両者が連続する可能性を考えてもらう.また,砂岩と礫岩との上下関係から両者の時代的連続性についても考えてもらった.

 曲がりくねった林道をずっとくだったところにある3番目の露頭で足をとめた.ここには先ほどみたばかりの極細粒黄褐色砂岩が露出する.


 ここでもしばらくの自由観察時間を学生たちにあたえた.ふたりの学生たちはそれぞれに露頭にとりついて砂岩を掘りはじめた.

 この露頭では二枚貝の印象化石がみつから.

 学生たちもそれらしきものを見つけてくれた.

 最後の露頭は林道をさらにくだったところに露出する泥岩だった.風化のため黄白色になった泥岩がこのあたりに分布する.泥岩の手ざわりや均質性をここで実感してもらった.また,泥岩の実用的な用途についても解説しておいた.

 実習を終えて公用車をとめてる駐車場へひきかえした.竹林から遠く離れたふしぎなところにタケノコが生えていた.

 公用車で角間キャンパスへ引き返した.次回の実験予定を学生たちに伝え午後4時前に実験終了.

2016年4月25日:野外調査実習2(金沢市大桑町)

 いい天気に恵まれた.実験室に集合ののち,公用車に乗り換えて大桑町を流れる犀川での野外調査実習にでかけた.簡易野球場の駐車場には車が1台もみあたらない.そこに公用車を置いて犀川の河原へ移動した.


 足元には雑草がうっそうと茂りはじめている.犀川の水位はそれほど高くはないようだ.

 河原におりて上流へ向かって歩く.ほどよく低い水位のおかげで河床の露頭がかなりの範囲にわたって離水していた.

 このあたりには中新統犀川層が分布する.いつものようにここで学生たちに自由観察時間をあたえた.

 凝灰質砂岩でできた露頭の表面には炭化した植物や貝の化石がみえている.円磨された白色軽石も散在する.

 犀川の流れのそばでの野外実習が心地よい.

 大きめの生痕化石や石灰質ノジュールも露頭面に散在する.

 学生たちの安全管理をTAにまかせて下流側の露頭状況を見にいった.

 犀川層と下部更新統大桑層との不整合面をこえる.

 下流側の露頭状況も良好だった.だが,誰が残していったのか,山のようなバーベキューの残骸から強烈な悪臭がただよっていた.

 観察をつづける学生のいるところへ引き返し,この地層で観察されるものや,そこからみちびかれる古環境について解説した.

 学生たちとともに下流側へ移動した.大桑層下部には植物化石こそ散在するものの,貝化石や石灰質ノジュールはほとんどみあたらない.

 学生たちにはここで犀川層と大桑層との不整合面さがしの実習にとりくんでもらった.

 大桑層下部に挟在する2枚の凝灰岩層がきれいに離水していた.

 このあたりの大桑層下部はサメの歯の化石がときおり見つかるところでもある.

 河床での観察をおえて駐車場へ引き返した.

 駐車場をとおりぬけてさらに下流となる犀川の河原へ移動する.

 このあたりでは犀川の川幅がぐっとせまくなる.

 河岸の露頭には貝化石層がきれいにみえていた.

 次回の貝化石採集の予定をここで学生たちに伝えておく.

 ここで今日の野外実習が終了.公用車へひきかえす.

 公用車で角間キャンパスへ引き返した.学生実験室でのまとめののちに午後4時に実習終了.

  • Camera: Pentax Optio WG-1 GPS, Ricoh WG-M1 and Ricoh Caplio 500Gw
  • Lens: SMC Pentax 5-25mm f.3.5-5.5, Pentax 3mm f.2.8 and Ricoh Zoom Lens 5.8-17.4mm f.2.5-4.3